「重力とはなにか」(大栗博司著)への手紙32
著者 高田敞
(以下{ }内は上記本よりの引用)
問題
{「ハッブルの法則」}について。
{ゴムひもをまっすぐに引っ張ると、点と点の間隔が広がりますよね?}
{ハッブルの発見は、3次元空間宇宙でもこれと同じことが起きていることを意味していました。つまり宇宙は膨張しているのです}
考察
ゴムひもを伸ばした時の原理で宇宙の空間膨張を説明できるのかを考えます。
ア ゴムひもを引っ張ることと、空間膨張の力のかかりかた。
・ ゴムひもは、両端を引っ張っている。その力がゴムひも全体に伝わりゴムひもが伸びる。
・ 空間膨張は内部の空間がそれぞれに膨張して押しあいながら広がっていく。
ゴムひもは、外から引っ張る力がかかっているが、空間膨張は中から押す力である。
力のかかり方は違う。加速度と、引力の関係に似ている、こちらも押す力と、引く力の違いがあった。もちろんそんなことは得意の無視を決め込んでいたけど。
イ エネルギー
・ ゴムひもは、手の力である。
これは、人間が食べた食物から得られているエネルギーである。食物のエネルギーは太陽エネルギーが元になっている。太陽エネルギーは、太陽の核融合によって生まれている。
・ 空間膨張のエネルギーは、残念ながら一切不明である。
ダークエネルギーという名が付いているが、その名の通り、どのようなエネルギーか何一つ分かっていない。また観測されたことがない。謎しかないという代物である。
また、このダークエネルギーは、今までの物理学で分かっているエネルギーとは異なるエネルギーであるようだ。今まで分かっているどのようなエネルギーも、空間には作用しない。しかし、このエネルギーは、空間にだけ作用するという摩訶不思議なエネルギーである。
このエネルギーの起こす現象は地球上では何一つ発見されていない。また太陽系でも発見されていない。
何もない空間に作用し、何もない空間の構造を変化させるのである。なにもない帽子から、ハトが出るようなものである。手品か、魔法か、神業である。神業と言いたいんでしょうね。
ウ 仕組み
ゴムひもの伸びる仕組みは、両端にかかった人間の引っ張る力がゴムひもの分子に伝わり、左右に動くことで伸びる。力はゴムひもの分子間の電磁気力による結びつきで、途切れることなく伝わる。
空間の膨張の仕組みは解明されていない。
ダークエネルギーは、空間のどこに作用してどのように空間を膨張させているのか何一つ分かっていない。また、膨張が、どのように伝わっていくのかも何一つ分かっていない。
この地球の占める空間も膨張しているはずだから、その膨張が宇宙の果てまで伝わっているはずである。
たとえば、A、B,C,Dの離れた他点があるとする。AB間の空間が膨張するとする。すると、その膨張はBを押す。また、Cも押すことになっているし、Dも押すことになっている。ゴムひもの伸びではそのように説明している。
BC間、CD間も{一様に膨張すると、遠方の銀河は距離に比例する速さで遠ざかる}と述べているようになるとすると、AB間の膨張は、Dも押しているということだ。これを宇宙で考えてみる。太陽と地球の間の空間が膨張すると、木星を押すことになり、それと同じ速度で、遠く1光年先の宇宙空間も押すことになり。同速度で1万光年先の空間も押すことになり、同速度で10億光年先の空間も押すことになっている。そして宇宙の果ての空間まで同速度で押しているのである。万有引力が宇宙の果てまで弱まりながら届き物質と引き合っているというのと反対のようです。しかし、大きな違いは、引力が物質間に働く力だけど、空間膨張は何もない空間同士が押し合うということです。なにもない空間同士が押し合う仕組みはどうなっているのでしょうか。
太陽地球間の空間膨張は、どれくらいの速度で1光年先の空間に届くのでしょうか。
相対論では光速より速いものはないといいます。もし光速なら、1光年先の宇宙空間を押すのは1年先です。10億光年先の空間を押すのは10億年先になります。その間空間膨張はたぐまっているのでしょうか。縦波になってウネウネと伝わっていくのでしょうか。これでは宇宙が均一に膨張するのは至難の業になります。
1光年先の空間も膨張しているはずです。その膨張は、地球まで届いて、地球を押すことになります。やはり地球も押されているのでしょうね。四方八方の1光年先の空間が膨張して、その膨張が1年後地球に届いて、地球を回りから押しているということになりそうです。地球の空間も頑張って膨張して、それを押し返さないと、地球は圧縮されて縮まってしまいそうです。でも、相手は1光年先の空間だけではありません2光年先の空間も3光年先の空間も、そのまた先の空間もと、ずっと先のはるかな先の空間も膨張して押し寄せてきます。それも、上からも、下からも、横からも、斜めからもと、あらゆる方向からぎゅうぎゅう押してきます。多勢に無勢です。勝ち目はあるのでしょうか。ありがたいことにそのような現象は今のところ見つかっていません。地球ができてからこの方、46億年にわたって地球は無事に過ごしてきたから大丈夫のようです。
こちらの膨張と、あちらの膨張は、同速度で伝わっていることでしょうから、真ん中でぶつかってしまいます。そのときどちらが譲るのでしょう。ともに押し合って、ともに後ろに下がるのでしょうか。しかし、後ろ1光年の場所の空間もやはり膨張しているから、反対側でも空間は押し寄せてくる空間と衝突して押し合っているはずだから、後ろに下がるにしても下がりようがなさそうです。地球の四方八方から膨張して押しこんでくる空間と地球の占める空間の膨張はぶつかり合っているから、押されても行き場がありません。
ゴムひもは1本で、左右一定方向にだけ伸ばしているという設定なので、向こうからゴムひもが伸びてきて、ぶつかり合って困るということもありません。しかし、宇宙空間の膨張はそう単純ではなさそうです。そのあたりはどうなっているのでしょう。
大きさはどうでしょう。
ゴムひもは、手いっぱい広げても1m60cmくらいしか引き延ばせません。この本もそれくらいしか考えていないようです。それくらいなら矛盾は発生しません。伸びていくところもあります。しかし、地球と月で、引っ張り合ってゴムひもを均等に引き延ばすのは至難の業です。これが、太陽系の大きさになると、ゴムひもを引き延ばすのは不可能でしょう。
空間膨張を風船に例えたりする人もいます。風船も、小さいから、ふくらませることができるのです。膨らむところもあります。
地球ほどの風船を膨らますのも、至難の業でしょう。太陽系ほどの大きさの風船を均等に膨らますとなるとまあ不可能でしょう。
ところが、ビッグバン論では宇宙全体が均等に膨らむというのです。言うは易し、行うは難しです。
ある区間の膨張が隣の空間を押す原理は究明されていません。ある区間の膨張が隣の空間を押しやり、その向こうの空間も押しやるということになるのでしょうが、膨張の力が何をどのように伝わって隣の空間を押し、その向こうの空間を押し、そのまた向こうの空間を押しているのかが不明です。なにもないものが、どのようにして膨張の力を伝えているのでしょう。
空間とは何もないものと思われます。なにもないものがどのようにして、膨らみ、どのようにして縮むのか。0はいくら足しても0です。多くも少なくもなりません。
もし空間が膨張するなら、空間には何らかの構造があることになりそうです。その構造を解明し、その膨らむ仕組みを究明する必要があります。それまでは空間膨張は、仮説以外の何物でもありません。いや、今のところどのような理論もないのだから、仮説にもなっていません。
結論
ゴムひもが伸びることと、宇宙空間が膨張するということはなんの関係もないということです。単に見かけだけを説明しているにすぎません。いわゆる見かけ倒しというやつです(ちょっと違うか)。
科学なら、ゴムひもで説明するのではなく、空間が膨張するエネルギーや、そのエネルギーが空間にどのように作用して、どのように、膨張させているのかを説明しなくてはなりません。空間膨張の直接の仕組みです。それができないからゴムひもを持ちだしているのでしょうが、それは科学ではありません。ごまかしの手管にしかすぎません。そして、分かっていることはおそらくそれくらいなのでしょう。せいぜいゴムひもがいいか、風船がいいか、ブドウパンがいいかの論争くらいのレベルなのでしょう。科学的には、3つとも、空間膨張とは何一つ関係のない現象です。もちろん似てもいません。物まねコンクールでは鐘一つでしょう。なのに、空間が膨張するのは既成の事実のように言い切っているのは、科学としては非常に危険です。