「重力とはなにか」(大栗博司著)への手紙33
著者 高田敞
(以下{ }内は上記本よりの引用)
問題1
{距離が遠いほど、早く遠ざかるのなら、あるところから先の銀河が地球から遠ざかる速度は、光速を超えてしまうでしょう。}
考察
これは地球からある距離の銀河、ないし銀河団が、光速を超えて遠ざかるということです。地球と、その銀河の間の空間が膨張することによって、その銀河が押しやられる速度が光速を超えているということです。
これは、地球が占める空間の膨張も遠くその銀河に少しも減衰することなく伝わって、その銀河を押しやっているということです。光や万有引力が、距離の2乗に比例して減衰していくこととはまるで違います。どんなに遠くても、少しも減らないのです。すごいことです。
反対に、その銀河の占める空間の膨張が、減衰することなく遠く地球まで届き、地球を押しやっているということです。すごいことです。はるか何百億光年先か、何千億光年先か知らないが、そこの銀河を、1秒も休まずに地球が占める空間が膨張していることが、その銀河を押しているのだ。
ということは、その銀河の中の、ある恒星の、小さな惑星の占める空間の膨張も、はるかに伝わってきて、この地球を、1秒も休まず押し続けているのだということである。その銀河から見ると、地球は光速で動いているということになるのだろう。
といっても、膨らんでいるのだから、互いに遠ざかっているので、お互いが平等に光速の半分の速度で反対に飛んでいると考えられます。それでもすごい速度です。でも空間膨張だから、空間に対する速度は変わらないので、地球がその速度で動いているということは、地球からは直接には観測できないのでしょう。
でも、もっと遠くの星から見れば地球は光速の2倍3倍で遠ざかっていることにもなります。現在どれくらいの速度になっているのでしょう。
宇宙背景放射の光に対して、現在の地球は数百km/秒だそうです。光が真空中を光速で飛ぶなら、それに対する地球の速度は絶対速度になります。地球は光速には程遠い速度です。それとも、空間膨張によって光も一緒に流されているのでしょうか。光速で押しや荒れている光って、どういうものなのでしょう。
結論
空間膨張とはすごい現象です。遠い銀河や、銀河団はことごとく、すごい速度で飛んでいることになります。地球の、何千億倍のその何千億倍もの質量の銀河が吹っ飛んでいくのです。銀河団になったら、そのまた何百倍もの質量です。それをそっくり吹っ飛ばすのですからなんともすごいことです。もちろん、太陽系も銀河系とともにすっ飛んでいるはずです。でもなんでもありません。近くでは空間膨張の影響は何一つ観測されません。遠くて、観測が非常に難しいところや、遠すぎて観測できないところでは、ものすごいエネルギーが働いて、すっ飛んでいるらしいのに、近くでは何一つその力が観測されません。空間膨張とは摩訶不思議な現象です。
遠い銀河団を光速で動かすことができるほどの空間膨張が、太陽系の小さな地球に何一つできないのです。月だって、46億年の間、地球の占める空間の膨張で押され続けていたはずなのに、地球からそのために離れて行ったということはありません。太陽からはるかに遠い冥王星だって、太陽系の空間膨張に押されて太陽から離れているということはありません。遠いところにはめちゃめちゃすごいことをするけれど、近くでは、何にも出来ないなんて、空間膨張というのはかなり外弁慶のようです。