「重力とはなにか」(大栗博司著)への手紙29

著者 高田敞






(以下{ }内は上記本よりの引用)

問題1

{強い重力を持つブラックホールに近づくほど、あなたから見た私の時間はゆっくり進む。私自身は時間が普通に進むので、}

考察1

 {私自身は時間が普通に進むので、}

{時間が普通に進む}、とは、どのような速さなのでしょうか。一般相対論では、重力によって時間の進み方が変わるということです。実際に、ナビの人工衛星の時間は地表より早くなっているという主張でした。

宇宙では、重力は場所によって異なっています。地表だって場所によって重力は異なっています。したがって、一般相対論では時間の進み方は、宇宙の中ですべての場所で異なっていることになります。

 では、普通に進む時間とは、宇宙のどの時間の進み方なのでしょうか。地球上の時間の速度なのでしょうか。月の上の時間の速度なのでしょうか。小惑星のイトカワの上の時間の速度なのでしょうか。それとも、国際宇宙ステーションの中の人の時間なのでしょうか。国際宇宙ステーションの中は、相対性理論ではフワフワ浮いているので無重力です。これが重力のない時の時間の進み方になるので、基本、すなわち{普通}になるのでしょうか。

これらはすべて重力が違うので、時間の進む速度も違うはずです。ところが、重力で時間の進み方が違うのは、他の重力の人から見たときのことで、すべて、そこにいる人は普通に時間が進むということですから、地球の人も、月の人も、イトカワの人も、国際宇宙ステーションの人もみんな同じに{時間が普通に進}んでいるということになります。

 ブラックホールの重力という、光さへ脱出できないと相対論者の言う究極の重力の中でも{時間が普通に進}み、フワフワ浮いているから無重力の宇宙ステーションの中でも{時間が普通に進}むのであれば、無重力から、究極の重力まで、すべてそこにいる人の時間は普通に進むことになります。ということは時計の針も普通に進んでいるということです。重力によって時間は伸び縮みしないといえそうです。見た目が変わるだけで。

普通に進むとはどういうことなのでしょうか。もし、宇宙に{普通に進む}という時間があるなら、それは、基準になる時間の進み方があるということですから絶対時間になります。相対論は絶対というものがないから素晴らしい考え方なのではなかったのでしょうか。

 

結論

重力による時間の伸び縮みは見かけだけで、本当に起こっていることは、{普通に進む}絶対時間だということのようです。人間見かけに頼っていると痛い目に遭いますよ。

 

問題2

 見かけについて考えます。 

上のことから、ブラックホールと、宇宙船の時計を比べてみます。

考察2

 ブラックホールは究極の重力で光さへ脱出できないと相対論では言うので、ブラックホールのすぐ外側、光もまだ脱出できるところの時計と、相対論ではフワフワ浮いているので無重力のはずの宇宙船の中という条件です。どちらの時計も、中の人から見れば普通に動いています。ところが、宇宙船からブラックホールの近くの時計を見るとほとんど動いていません、1年たっても動いているのか判断できません。今度はブラックホールから宇宙船の時計を見てみましょう。時計の針は超高速で動いています。音速なんて目じゃありません、超高速です。あまり速すぎて、時計の針は高温になり溶けてしまいます。 時計の針だけではありません。中で動いている人も、超高速です。中の空気に衝突して、燃えてしまいます。

 今、地球上の国際宇宙ステーションの中ではそんなことが起こっている可能性があります。

え、そんなことはあるわけがないって。そうですよね。それが常識ってもんです。超高速で動いているのは見かけだけで、本当は普通に動いているから大丈夫ということなのでしょう。そんなことが現実に可能なんですかね。
 

考察3

 {あてになるカーナビ}のところでは、{139マイクロ秒だけ人工衛星の時計は進んでしまうのです。}とあります。そして、人工衛星の時計を地球の時計に合わせているということでした。理由は、{一般相対論によれば重力が強いほど時間はゆっくり進みます}ということでした。また宇宙ステーションのところでは{重力が強くなると、時間の遅れが大きくなることは、重力の基本的な性質で}とあります。

 このことから、重力の小さいところにある時計は、そうでないところの時計より実際に早くなるということでした。地球から見た目だけが変わっていて、カーナビの人工衛星の中は普通に時間が進んでいるとは言っていません。

 しかし、ここでは、重力がどんなに違っても、普通に時間が進む、弱い重力の所から見たときだけ、時間がゆっくりに見えるということです。

 

結論

 いつものとおり、説明したい現象や、言いたい理屈が異なるごとに、利用する理屈が変わります。アインシュタインの天才のなせる業ですかね。

考察4

では、なぜ、カーナビのところと、ブラックホールのところでは意見が異なったかを考えてみます。

 違いは、カーナビでは、地上との違いは、1日に39マイクロ秒で、ブラックホールでは時間が止まることにあると考えられます。

 カーナビでは、違いが小さいので、時計を少し遅くするだけで解決します。しかし、ブラックホールではそうはいきません。時間が止まると、すべてが止まってしまいます。宇宙最高速の光でさえ、0秒間には0kmしか進めません。すると困ったことが起きます。ブラックホールに落ち込んでいく、物質は、シュワルツシルト半径に達したところで、時間が止まるので、1歩も動けなくなります。ところが、ブラックホールは巨大な重力を持っているので、次から次に、近くの宇宙空間の物質を引き寄せています。すると、引き寄せられたすべての物質が、シュワルツシルト半径のところに来て停止してしまいます。そこから1歩も動けないのだから、そこにたまっていきます。物質はそこで無限大に押しつぶされるので、いくらたまっても大丈夫なようですが、押しつぶすには、時間が進まなくてはなりません。その時間が進まないのだから、物質の変化さへできなくなってしまいます。時間が止まってはにっちもさっちもいかないのです。

 139マイクロ秒はどうにでもなる値だからいいけれども、時間が止まるブラックホールでは困ったことが起こってしまいます。だから、ブラックホールでは、よそから見ると、止まって見えるけれど、当人は普通に動いているということにしたのでしょう。そして普通の速度でブラックホールに落ち込んでいくということなのでしょう。おそらく秒速500kmくらいで。でも、秒速では困ってしまうんですよね。0秒では、やはり0mしか進めないから、秒速以外の単位でブラックホールに落ち込んでいるのでしょう。なんせブラックホールなんですから、何でもありです。どうせ見えないんですから。

 

結論

 理屈が通らなくなると修正する、ということは必要なことです。でも修正したら、前に戻って修正を適用しなくては。現象が違うと、理屈も違う、では、ご都合主義に陥ってしまいますよ。天才の手腕ですかね。

 

問題5

{「歪んだフラットランド」}では、{私たちの三次元空間で、地球が太陽のまわりを回り、月が、地球のまわりを回っているのも、空間や、時間の歪みのせいで運動の方向が曲げられているのです。}とあります。

考察

ここでは見た目は出てきません。重力によって曲がった空間や時間は、地球や月を公転させているといっています。観測者がほかのところから見たら公転していて、見なければ公転しないということではありません。実際にも、地球や月の公転は、事実として、観測されています。

 ブラックホールの重力によって、時間は、他から見たら遅くなる(時間の歪み)けれど、その中では普通に動く(時間の歪みがない)ということではありません。どこから見ても地球や月は公転をやめることはありません、もちろん、地球上で観測しても、月の上で観測しても、公転速度も、回転角も変化しません。

 

結論

やはりご都合主義ですよね。