へんろ旅 第5日(晴れ)
14番常楽寺から18番恩山寺近くまで
田の中を 光に向いて 歩みいる |
振り返れば 出てきた宿は もう見えぬ |
振り向けば 昨日の山を 風越えてくる |
なぜ元気 すたすたみんな 追い越していく |
へんろ道 曲がりまがりて 山里を行く |
十四番常楽寺 朝の風渡る |
億年の 岩の顔出す 常楽寺 |
今日も吹く 春の光に 谷の風 |
陽の中に 入りて 頬が温まり |
国分寺もまた風の中 |
業深き 身ゆえ あゆみ遅々として |
母の思う 眉山目指して 歩み行く |
思い千ぢ もくれん白く 咲いている |
朝靄に 眉山かすんで 遠い空 |
一声を かけて過ぎ行く人 顔見知り |
白鷺が 水なき田んぼで 首かしげ |
用水路 はやとうとうと 水流れ |
観音寺 すずめもはとも 戯れて |
右足で デンキナマズが 目を覚ます |
いちめんの せりなずなほとけのざ |
井戸寺を過ぎ、さらに歩む |
あげひばり 眉山の上で 高らかに |
ラーメンを食べて一服 回り道 |
鮎食い川 やっと渡って杖を突く |
今日もまた 父に似た人 行き違う |
今日の道 迷い迷って 幾千里 |
花咲きそろい 春の町行く 昼下がり |
訊く人の みな親切な 春の道 |
デンキナマズは 昼寝してなさい |
八万の薬局で筋肉痛の薬を買う。とても親切にしてくれた。以後、最後までこの薬に頼ることになる。歩くのがやっとこさになっている。 |
その昔 母ときたはず 見知らぬ町なみ |
街中で迷ったのと、足の痛みと、疲労とでゆっくりしか歩けず、宿に着いたのは6時を過ぎていた。 |
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