第32章 一般相対性理論にもとづく空間の構造

1 問題

宇宙についてアインシュタインは次のように述べています。(現実の世界は個々に球状的な振る舞いからずれており、準球状世界となろう。しかしそれは必然的に有限となろう)

2 考察

 アインシュタインがこの本を出したときは、まだ、宇宙は銀河系がすべてと考えられていました。それも、ハーシェルが観測した、銀河系の地球に近い側の星の集団がすべての宇宙だと考えられていたのです。アンドロメダ銀河ももちろん観測されてはいましたが、それはまだアンドロメダ星雲であって、この銀河系の中にあって、星が生まれる星雲と考えられていました。アンドロメダ銀河が天の川銀河から遠く離れた独立した銀河であるのを決定したのは、ファッブルが1923年に観測した結果からということです。

 したがって、それ以前(1916年)に出版されているこの本には銀河のことが出てこないのはもっともなことです。30章に出てくる宇宙も恒星しかありませんし、古い宇宙観なのはそのためです。

 ハーシェルの考えた宇宙は球状で、遠くになると星がなくなることが観測されています。大きさは、長径で5500万光年ほどしかありません。今考えられている銀河系の20分の1ほどです。しかし、その当時の観測技術や考え方ではそれが全宇宙と考えるのも仕方なかったのです。

 この宇宙像が、アインシュタインの、準球状宇宙観に影響を与えていると思われます。なぜならアインシュタインの考えた宇宙像はハーシェルが観測し、ほかの科学者もそう考えていた宇宙〈その当時信じられていた宇宙像〉とそっくりだからです。

 

 問題は、アインシュタインは、その当時は正しいとみんなが信じていた宇宙像に合わせて、準球状で有限な宇宙を相対性理論は計算できる、としたのじゃないかということです。ということは、その場の状況にあわせて、相対性理論の計算を変えたのじゃないかということです。純粋に相対性理論から浮かびあがった宇宙像ではなく。

 

 現在、宇宙には無数の銀河が発見されています、どこまでも遠く、観測できるほぼ全域に銀河があるのが確認されています。観測技術の限界まで見渡しても銀河は消えていないことから、観測技術が上がるとその先までも銀河があることが予想されます。

 少なくとも100億光年ほど先までは、ほぼ同じような構造をした宇宙が広がっているのが確認されているのです。

 時代の限界というものがアインシュタインにもあるのです。彼のモデルとした宇宙像は今は否定されているのです。それは宇宙のごくごく一部、それも、全宇宙に比べれば、針でつついたくらいの大きさでしかなかったのです。

 アインシュタインの考えに反して、宇宙は今のところ、観測からは球状であるとはいえません。そして、技術が発達すればそれにともなって今まで見えなかった遠い宇宙にも銀河が発見されるのだから、今のところ果てもないのです。

 そんなに遠く見渡しているのにかかわらず、3次元の球状空間の痕跡すら発見されていません。3次元の球状空間が存在しないという証拠になりそうです。

 

終わりに

 これで終わりです。相対性理論が多くの矛盾をかかえていることが分かっていただけましたでしょうか。

 今という時刻に、いろいろな物体がさまざまな時刻を持って同時に存在していることや、3次元の球体の、あと1次元はどのようなものなのかとか、質量によって曲がる空間とはどのような仕組みになっているのかとか、アインシュタインは説明すらしていません。それらの問題があることすらアインシュタインは認識していなかったのではないでしょうか。それとも説明できないから、知らん振りを決め込んだのでしょうか。現在の相対性理論家も、このことに触れさえしません。
 これらのことの仕組みをアインシュタインはわかっていたのでしょうか。現在の相対性理論家はこのことを正しく理解できているのでしょうか。本当はそんなことはないのじゃないでしょうか。相対性理論そのものが間違っているのじゃないでしょうか。私はそう思います。

 長い間つきあっていただきありがとうございました。このことにつきましてご教授いただければ幸いです。

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