一般相対性原理

 ここから一般相対性原理になります。

第18章 特殊および一般相対性原理

この章は特殊相対性原理の復習から、一般相対性原理の生まれる土壌などを述べている章です。一般相対性原理そのものはまだ出てきません。

そのため、反論も今までの繰り返しになるところが多くなります。

1 問題

ア 相対的運動の正当性

(あらゆる運動は、その概念からして相対的運動としてのみ考えねばならないことはいつのときでも明らかであった。)

このことから以下の二つのことはともに等しいとアインシュタインはいいます。

@ 列車が軌道堤に対して相対的に運動する

A 軌道堤が列車に対して相対的に運動する

そして、以下のことを言います。

@ 軌道堤を基準体とする場合

A 列車を基準体とする場合

 (この一般自然法則(たとえば力学の法則あるいは真空中の光の伝播法則)は両者の場合まったく同じ内容になる。)

 そして、これを補足し、かつ、一般相対性理論へ移行させるために次のように述べています。

イ 相対性運動の条件 

(われわれの用いる原理は、たんにどの事象を記述するにも、基準体として列車をとろうが軌道をとろうが同じであることを主張するのではない)

(しかしわれわれは、これまで自然法則の定式化に当たって、決してすべての基準体Kの同等性を主張したことはなかった)

と、今までの(あらゆる運動は)をあっさり否定しています。

 そして、相対性原理が適用される条件として以下を上げています。

(われわれのとった道は、ガリレイの根本定理−−他のすべての質点から十分遠くへだたって孤立している質点は一様かつ直線状に動く−−が当てはまる運動状態の基準体Kが存在する、・・・Kに対して相対的にまっすぐ一様な回転のない運動をしているようなすべての基準体Kが・・・Kとまったく同等であるべきであった。すなわち、これらの基準体はすべてガリレイの基準体とみなされる。これらの基準対に対してのみ相対性原理が当てはまるとみなされ、他の(違った運動をする他の)ものに対してはあてはまらないとされた。われわれが特殊相対性原理あるいは特殊相対性原理について語るのは、この意味においてである。)

 

2 考察

(1) 問題 1 

 (あらゆる運動は、その概念からして相対的運動としてのみ考えねばならない)について

  考察 1

 この仮説は、証明されていません。また、現実の現象や、ニュートン力学に反することはこれまでに述べました。

 このことから、具体的に下記の法則が成り立つということですがそのことを考えてみます。

@ 列車が軌道堤に対して相対的に運動する

A 軌道堤が列車に対して相対的に運動する

ア(@ 列車が軌道堤に対して相対的に運動する)

 軌道堤が地球表面の運動と同じ慣性運動〈厳密には、地球表面は回転運動をしているから、慣性運動とはいえないが、地球の大きさから、近似値であるので、慣性運動とするのであろうが、これは厳密には間違いであるが、慣性運動をすると考えることにする〉を行っています。列車も、地球表面の運動エネルギーをもらっているので、軌道堤と同じ慣性運動をしています。この共通の運動〈地球の運動〉を、基準として計ることができます。したがって、地球上のものについては軌道堤を基準としても近似値が成り立ちます。

イ(A 軌道堤が列車に対して相対的に運動する)

 列車が基準として停止した場合を考えてみます。

 列車は、軌道堤の動きと、列車の運動を持っています。しかし軌道堤は列車の動きを持っていません。列車の運動は両者に共通の運動ではありません。したがって、両者の基準にはなれません。

 列車を基準とした場合に計れるのは、列車と同じ慣性運動をしているものだけにしか適用できません。すなわち、列車の運動エネルギーをもらっている、列車に乗っているものだけです。

 

 ガリレイの法則が適用できるのは、同じ慣性運動のエネルギーを持っているものの範囲内のものにしか適用できません。

 軌道堤を基準として計れるものは、軌道堤と同じ慣性運動をしているもの、すなわち、地球表面の慣性運動をしているものだけです。太陽や星は含まれません。軌道堤を基準にすると、天動説になるのはそのためです。

 列車を基準として計れるのは、列車に乗っているものだけです。軌道堤には適用できません。列車を基準にすると、列車と反対方向に、起動堤や、家や、林や、山が動き出してしまうことになるのは、適用の範囲を間違ったためです。

 

(2) 問題2

上記、@とAについて(一般法則(たとえば力学の法則あるいは光の伝播法則)は両者の場合まったく同じ内容になる)

  考察2

 ア (両者の場合まったく同じ内容になる)について

 上記の考察どおり、軌道堤を基準にした場合と、列車を基準にした場合は、適用できる範囲が違うので同じになるとはいえません。

 列車を基準にした場合は、地球が動き始めます。軌道堤を基準とした場合は列車が動きます。列車が動く運動エネルギーと、地球が動く運動エネルギーは大きく異なります。とても同じとはいえません。またニュートンの発見した、運動エネルギーの法則とも相容れません。ニュートンが間違っているか、アインシュタインが間違っているか、どちらかです。通常の速度ではアインシュタインの法則とニュートンの法則は一致するとアインシュタインはいっているが、運動の法則は一致しません。

イ (力学の法則あるいは光の伝播法則)について

特殊相対性理論が正しいとして考えてみます。

 物質の力学の法則と、光の法則は特殊相対性理論を見る限り違っていました。繰り返します。

 特殊相対性理論では、光は何物にも光速度で伝播するということでした。しかし、物質はこのような動きはできません。

 たとえば、時速50kmで走る車に、後続の車が50kmで走っていると、同じ距離を保ってどこまでも走っていきます。決して、後ろの車は前の車に時速50kmで衝突することはありません。

 光は、50kmで走る車にも、止まっている車にも同じ光速度でぶつかります。光速で動くものにも光速で伝播するといっています。光速で向かってくるロケット〈そんなものができたあかつきには〉にも光は光速度でぶつかり、光速で遠ざかるロケットにも光速でぶつかるといっています。

 光速で、飛ぶロケットに、光は光速で追いつくということです。しかし、光速で飛ぶロケットに、光速で飛ぶロケットは追いつけません。どこまでも同じ距離を保って飛びます。光速になると、物質は無限大に縮むから、ぶつかるということでもあるのでしょうが、物質が無限大に縮んでも、距離が縮まるわけではないから、ロケットは追いつけないと思われます。本当は光も追いつけないんですが。今は特殊相対性理論が正しいとして考えています。

 このことから、特殊相対性理論によると、物質の運動法則と、光の運動法則は違う法則に支配されているといえます。光に関して、ローレンツ変換が適用できても、物質に関してはローレンツ変換は適用できません。あたかも同一であるかのように扱うのは間違っています。

 

 

(3)問題3  

まっすぐ一様な回転のない運動)のみが

ガリレイ基準体とみなされ、(特殊相対性原理について語るのは、この意味においてである。)と、特殊相対性原理は(まっすぐ一様な回転のない運動)の場合にのみ適用されると述べています。(あらゆる運動)ではありません。このことは今までも述べられていたことですが、なんとなく、すべての運動に通じるように錯覚していました。

 まあ、一般相対性原理の必要をいうために今までのことを強調したといえばそうなのですが、それなら特殊相対性原理の軌道堤はなんだったのかを考え直さなければならなくなります。

 そこで、(軌道堤)と(まっすぐ一様な回転のない運動)とはどのような関係にあるのかを考えて見たいと思います。

 

 まず、いつもでてくる(軌道堤)と(列車)はこの条件を満たしているだろうかを考えてみます。これまで述べたように、否です。ともに、地球とともに、回転運動をしていることは前に書いたとおりです。アインシュタイン自身も、この章にいたって始めて(他のすべての質点から十分遠くへだたって孤立している質点)のみが基準体になれる、といっています。太陽や、月や、地球が近くにある、軌道堤や、列車は(まっすぐ一様な回転のない運動)はできないのです。実際に回転しているのが観測されてもいます。

 アインシュタインは、地球が近くにある軌道堤が基準体の条件から外れているのを、どうして今まで考慮しなかったのでしょう。私が、特殊相対性原理はすべての運動に適用できると錯覚した一因は、ここにもあると思います。アインシュタイン自身が、軌道堤を相対性原理の具体物として登場させているのですから。

 

 軌道堤を基準体にすると実際はどのようになるかを考えてみることで、軌道堤が、基準体になれないことを再確認してみます。

 これまでも書いてきたように、軌道堤が動かないと仮定すると、他のものが動かなくてはならなくなります。動くのは列車だけではありません。太陽も星も軌道堤を中心に回転を始めます。なぜなら、軌道堤の上を太陽や星が、1日1回通り過ぎるからです。天動説です。それも、地球が中心ではなく、軌道堤が中心になります。 

 また、列車を基準体にすると、(軌道堤が列車に対して相対的に運動する)ことになると言い切っています。軌道堤は地球にくっついています。したがって、軌道堤が動くと、地球も動くしかなくなります。列車の下を、列車と反対方向に、それまで列車が動いていた速度と同じ速度で地球が動き出します。地球は、万有引力の法則で、太陽とセットになっています。したがって太陽も動き出すしかなくなります。たとえ、時速100kmほどでも、万有引力の法則を無視して、太陽系の中で地球だけかってに動き出すことはできません。したがって太陽も動き出すしかなくなります。

 銀河系もしかりです。太陽も地球も、やはり、万有引力のもと、銀河系の一因として法則どおりに動いています。勝手に動き出すことはできません。したがって、銀河系も動き出すしかなくなります。すごいことです。列車の車輪が回転すると、列車が動くのではなく、銀河系が動きだすのです。

 それどころではありません。最後には、列車を中心に宇宙が動き始めます。50万光年離れた銀河も、100億光年離れた銀河も、何千億、いや何千兆あるか分からない、宇宙のすべての銀河が、ことごとく動き出すのですからものすごいことです。宇宙の中の点にもならない小さな銀河系の、その中の点にしかならない太陽の、そのまた小さな地球の、その中の小さな点にもならない列車の、その小さな車輪が回転すると、宇宙全体が動き出すのです。

 よくそんなことを科学者が信じているものですね。素人は絶対に信じません。

 しかも、太陽も、星も、一日に1回列車の上を通り過ぎていきます。すなわち、列車を中心に、全宇宙が1日で1回転していることになります。全ての星が、光速の何千倍、何万倍、何兆倍もの速度で動いていることになります。

 こんなことが実際に起こっていないのは今までの観測で証明されています。もちろん論理的にも不可能です。特殊相対性原理でさえ、光速より速いものはないと述べているのですから。

 このように、実在する、どの軌道堤も、列車も本当は基準体にはなれないのです。

 

(このことから以下の二つのことはともに等しいといいます。

@ 列車が軌道堤に対して相対的に運動する

A 軌道堤が列車に対して相対的に運動する)

 という論理は間違いであることがいえます。@はあっても、Aの現象は存在しないのです。

同じように、

@ 軌道堤を基準体とする場合

A 列車を基準体とする場合

(この一般自然法則(たとえば力学の法則あるいは真空中の光の伝播法則)は両者の場合まったく同じ内容になる。)

という説は、地球上の軌道堤と列車を基準体とする限り、間違いであることがわかります。〈後に、すべてにわたって間違いであることも説明します〉

 (軌道堤)と(まっすぐ一様な回転のない運動)は違うものでありそうです。

 

ア では、どこに(まっすぐ一様な回転のない運動)があるか考えてみます。

考察

 アインシュタインは(われわれは、ガリレイの根本定理−−他のすべての質点から十分遠くへだたって孤立している質点は一様かつ直線状に動く−−があてはまる運動状態の基準体Kが存在する)と述べています。ここに、唯一の基準体があるようです。彼が再三例に出していた地球上の軌道堤や、列車ではなかったのです。じゃあ、あの軌道堤で証明したことはなんだったのと聞きたいのですが、それは置いておきます。

 特殊相対性原理の証明になくてはならないという顔で登場していた軌道堤が、実は基準体にはなれない、と今になって言い出しているのですから、彼が、ある、という、等速直線運動をする(他のすべての質点から十分遠くへだたって孤立している質点は一様かつ直線状に動く)場所も本当は宇宙にない可能性があるかもしれないので考えてみます。

 まず銀河系の中を探してみます。銀河系は、見える部分だけでも半径5万光年ほどの円を描いて動いています。星ばかりではなく、星間雲も、塵も、独立して浮いている分子も、すべてが回転しています。これは万有引力の影響です。したがって、銀河系の中にある物体はすべて、この引力による回転から逃れられません。銀河系の中は失格です。銀河系の外を探すしかありません。

 では、アンドロメダ銀河との間はどうでしょう。アンドロメダ銀河は、この銀河系と、万有引力で引き合って接近しているといいます。したがって、その間も引力の影響で完全な慣性運動はできません。銀河系の周り100万光年ほどは、多くの銀河がひきつけあって、極部銀河団を作り、回転しているので、この間のすべての物体は回転運動をするしかなくなります。

 では半径1000万光年ではどうでしょう。やはり失格です。これは銀河団の回転に支配されています。

 銀河以上の回転になると、人間は直線としか観測できなくなります。しかし、回転は回転です。何十億年に1回とか、何千億年に1回とかの、人間には観測できないほどの大きな回転ですが、回転には違いがありません。

 ニュートンの万有引力の法則では、この宇宙には、引力の存在しない場所はないということになっています。そして、今のところ、すべての宇宙空間は、どこに行っても地球の周りとほとんど同じような環境であるということになっています。したがって、この宇宙にある全ての物体は引力による加速運動をしていることになります。

 ゆえに、この条件を満たす基準体Kが存在できる場所は宇宙のどこにもないということがいえます。もちろんKも存在できません。

 

 そこで、現実に探すのが無理なら理論上はどうなのかを検討してみます。本当に理論だけなら可能なのかということです。理論で可能なら、必ず現実に起こるはずです。なにせ、宇宙は広いのです。人間なんかには考えもつかないほど広いのですから。

 

 もしアインシュタインの言うような理想の基準体が存在するとしたら宇宙はどうなるかを考えてみます。

 

 宇宙空間に浮かんだ、理想の軌道堤とその上の理想の列車を考えてみます。

 まず、軌道堤が基準体になるとどうなるかを考えてみます。軌道堤が静止します。するとそのほかのものが動き出します。宇宙のすべての星の動きに、一定の等速直線運動が加わります。軌道堤と、宇宙の相対速度が違うからです。

 もっとわかりやすいのは、列車が基準体になったときです。

 軌道堤に対して、時速100kmで動いている列車が基準体になったと仮定します。すると列車が静止し、軌道堤が時速100kmでそれまでの列車の進行方向と反対に動き出します。ここまでは特殊相対性原理です。すると、特殊相対性原理では目をつぶっているけれど、全宇宙がそれにともなって、列車の進行方向と反対方向に、やはり、時速100kmで動き出すことになるはずです。

 列車がモーターの回転数を上げます。軌道堤に対して、時速130kmになりました。列車を基準体にすると、軌道堤が時速130kmに速度を上げたことになります。すると、それにともなって、全宇宙の星や星間ガスが、時速130kmで、列車の反対方向にまっすぐ動き出します。

 これをエネルギーから考えます。

 軌道堤を基準とした場合、列車の速度が時速100kmと時速130kmの2種類の速度になったといえます。それに見合うモーターの回転速度を変えるエネルギーの違いは、電力の違いでわかります。現実にこれは可能です。実際の鉄道で日々行われていることから、類推できますし、事実であるという証明にもなります。

 今度は、列車を基準体とした場合です。軌道堤が動きます。ところが、軌道体と、列車の質量が違うので、列車が動く場合と、軌道堤が動く場合では運動エネルギーが違ってきます。しかし、列車の車輪を回転させる電力は同じです。同じ電力で、異なった運動エネルギーがでてきます。ニュートンの運動法則に反します。

 また、この場合に動くのは、全宇宙です。全宇宙が時速100kmと時速130kmとの2種類の速度になったことになります。この速度差に応じるエネルギーはどこから供給されるのでしょうか。列車のモーターの回転数の差のための電力ではとても間に合いません。

 (乗客はこの状況を内心抵抗なく、列車は静止していて軌道堤のほうが動いているように考えることができる。)といっていますが、列車を基準体にするときと、軌道堤を基準体にするときでは、乗客は気がつかなくても運動エネルギーがまるで違うのです。

 乗客が、内心抵抗しようが抵抗しまいが、そんなことは科学とは関係ないことです。基準体を変えても、見た目が違わないように思えることはあります。人間の感覚とはせいぜいそれくらいのものですから。でも、普通の人たちは考えます。動いているのは、列車であって、レールではないと。ごくごくごく一部の超判断力を持った、常識を捨てた人たちだけが、レールが動いていると主張するだけです。太陽が動いているという(状況を内心抵抗なく、)考えていた昔の科学者のように。列車に乗ると、風景が後ろに流れていくように見えるからといって、風景が本当に後ろに進んでいると考えるのはどんなものでしょう。

 普通の人は、東京から神戸に行くとき、列車が走っていくのではなく、神戸駅が走ってきてくれるとは考えません。ニューヨークへ行くとき、飛行機が飛び立つのではなく、空港が下に下がっていくのだとは考えません。まして、ニューヨークがわざわざ自分のためにやってきてくれるとはあまりにも傲慢な考え方です。

 

 アインシュタインは、ある特殊な状態(一様かつ直線状に動く)をそれと見かけ上は似ている軌道堤と列車に置くことにより、あたかも具体的に成立しているかのように話を進めてきました。実際、長いあいだ地面は静止していると思われていたし、今でも、地面は見た目は静止しているのだから、軌道堤を静止しているとして扱っても誰も違和感を持ちません。また、理論的にも、地上のすべてのものは地表とともに動いているので、ほぼ、慣性の法則どおりに動いているので、地面が静止しているとしても成り立ちます。ガリレイの相対性原理です。そして地動説がこれに加味されます。動かないと思っていた地面は本当は動いているということです。動いている地面を停まっていると考えても、地球上の現象は矛盾がなかったので、今度は、小さな列車くらい止めても大丈夫そうです。そして列車を止めてしまいました。

 しかし、ガリレイの相対性原理は、実際の現象とほぼ矛盾がないのに、アインシュタインの特殊相対性原理だと、今まで述べたような現実との矛盾が生じてしまいます。そこで、次に、その矛盾が生じるわけを考えてみます。

 

 それは、特殊相対性原理は、ガリレイの相対性原理と根本的に異なる法則が含まれているからです。巧みに隠されているので、だれも気づかないだけなのです。

 その法則とは、ガリレイの相対性原理は、同じ慣性運動しているものの中だけに通用する法則であるのに、特殊相対性原理は、それを、同じ慣性運動をしていないものにまで適用できるとしたことです。

 地上の物体は、地表とともにほぼ慣性運動していると考えて差し支えないので〈今まで述べたように、近似値です〉、地球上のものはすべて、地球の慣性運動の中にあります。したがって、起動堤(地表)を基準体としたときは、列車は、起動堤とともに慣性運動していると考えて差し支えありません。

 では列車を基準体としたときはどうでしょう。列車が一定速度で動いているときは、列車とともに動いているもの、列車上のものは列車の慣性運動の中にあるから、ガリレイの相対性原理を適用することができます。すなわち列車を停止しているとして、考えても差し支えないということです。しかし、軌道堤は、列車の慣性運動の範囲外なので、列車を基準体としたときは、軌道堤はガリレイの相対性原理を適用できないのです。

 これを、列車内で落下するボールを基に考えてみます。

 落下するボールは、落下の速度と、列車の進行速度と、地表の速度とを持っています。列車は、列車の進行速度と、地表の速度を持っています。差し引きすると、双方の列車の進行速度と、地表の速度が消えて、ボールの落下の速度だけが残ります。したがって、ボールは列車に対してまっすぐ落下します。  

 両者から消えるのは列車の速度と、地表の速度なので、列車が停止していると考えてもいいわけです。

 このことから、列車と同じ慣性系にあるものはすべて、列車の進行速度と地表の速度をないものとできます。すなわち列車は停止していると考えても差し支えないということです。列車は、列車の中に乗っているものの基準体になれるということです。

 次に、軌道堤と列車を考えてみます。軌道堤は地表の速度を持っています。列車は、地表の速度と、列車の進行速度を持っています。差し引きすると、列車の進行速度だけが残ります。消えたのは、地表の速度です。止まっているとみなせるのは、差し引きで消える地表の速度です。したがって、起動堤と、列車の場合は列車の速度を消すことはできません。この場合、止まっているとみなせる〈基準体となれる〉のは軌道堤だけです。列車の速度は消せないので、列車を止めることはできません。軌道堤に対しては、列車は基準体になれないのです。

 特殊相対性原理は、列車を止めて軌道堤を動かします。上で示したようにそれは論理上説明できません。この論だと、落下するボールを止めて、ボールに対して、列車が飛び上がっていくということにもなります。ボールを落とすと、ボールが落ちるのではなく、ボールに対して、列車も、軌道堤も、地球も飛び上がっていくことになります。アインシュタインの重力の法則はどうなるのでしょう。ニュートンの万有引力の法則では決してこのようなことは起こりません。

 

このことを、式で書いてみます。

 宇宙〈K〉>銀河系〈K1〉>太陽〈K2〉>地球〈K3〉>軌道堤〈地表〉〈K4〉>列車〈K5〉>乗客〈K6〉)ボール〈K7〉

上の式の右側は左側の慣性系に入っているので、左側を停止していると考えても近似値が出ます。しかし、その反対、右側が停止しているとき、左側が動くと考えることはできません。論理的に間違っているし、左側は現実には不可能な動きをすることになります。左側は、右側の慣性系ではないからです。

{例}

 ア 地球〈K3〉を基準体と考える場合。

 特殊相対性原理では、太陽〈K2〉は地球の周りを回り、軌道堤〈地表〉〈K4〉も、地球中心を回ると考えられます。

 ところが上の式の、左側の太陽は、地球の周りを回転しているという事実はありません。ケプラーの法則上も、不可能です。右側の地表が地球中心の周りを回転しているのは、確認されています。

 

イ 太陽〈K2〉を基準体と考える場合

 特殊相対性原理上は、地球〈K3〉が太陽の周りを回り、銀河系〈K1〉も太陽の周りを回ることになります。しかし、右側の地球が太陽の周りを回るのは観測されているけれど、左側の、銀河系が太陽の周りを回っていることは否定されています。地球は、太陽の引力によって、太陽とともに宇宙空間を動いています〈太陽と同じ運動を持っている〉が、銀河系は、太陽と共には動いていません。太陽は、銀河系の動きに連動しているが、銀河系は太陽の動きに連動していないからです。

 

ウ 列車〈K5〉を基準体と考える場合

 右側の、乗客〈K6〉は列車が停止していると考えても差し支えありません。ボールはほぼまっすぐ落ちます。ボールは列車の運動速度を持っているからです。しかし軌道堤〈地表〉〈K4〉が動き出すということは、先に書いたように現実には存在しません。列車の運動速度を、起動堤は共有していないからです。エネルギーの法則にも合いません。

 

 このように上の式のすべてにわたって、基準体になったものの左側が、動くとしたときは事実や、法則に反しています。

 ガリレイの相対性原理は、基準体の右側だけにしか適用していません、しかし、相対性原理は左側も適用できるとしたのです。そこが大きな違いです。なぜ、慣性系に入っていないものまで適用できるとしたのかについて、アインシュタインは理由を述べていません。唯一理由らしいものは、(乗客はこの状況を内心抵抗なく、列車は静止していて軌道堤のほうが動いているように考えることができる。)といっていることくらいです。もちろんこれは科学ではありません。感覚です。単に、そのように見えるからという錯覚を利用しただけです。

 慣性の法則は、その慣性系に入っているものだけにしか通用しません。基準体を停止していると考えても差しさわりがないのは、その基準体の慣性系に入っているものだけです。慣性系に入っていないものにまで、基準体を停止できるとしたところが特殊相対性原理が現実に合わなくなった原因です。

 基準体としてすべての運動が事実と合うものは何かというと、今のところ一番左の、宇宙〈K〉だけです。その左が存在しないからです。

 宇宙空間を絶対静止と考えたのが、ニュートンまでの、絶対座標の考え方です。この宇宙を包み込む、超宇宙があれば別ですが、今のところ、宇宙を絶対静止空間としてとらえても差し支えないようです。もし超宇宙があったとしても、絶対静止座標で考えることにはなんの差し支えもありません。絶対静止から考えると、左側がどれだけ大きくなっても大丈夫だからです。

 

3 結論

 特殊相対性原理がこのように矛盾に満ちているとき、これを一般化して、一般相対性原理を編み出したとしても、それが正しい理論になるのかはなはだ疑問です。間違いを土台にしたとき、生まれるのは間違いだけではないのか、と思うのです。

 

 

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第19章 重力場