重い天体のそばほど,時空が大きく曲がっている


相対性理論の考え方

{重力とは,時空の曲がりのあらわれだったのです}

1 論点

(1) 時空の曲がりが、どうして重力になるのか?

  相対性理論の2つの考え方の検証

ア 光の進路

{曲がった空間の中で,最短距離(曲がった空間での“直線”)の経路に沿って進む}

イ 物質の進路

くぼみに落下するボールのように、時空の曲がりに物質は落下する。

(2) 空間が曲がるとはどういうことか

・ 空間とは何か

・ 空間のどこに、物質の何が作用して、空間がどのような原理で曲がるのか。 

2 問題1 

 時空の曲がりだけで物を引き寄せることができるか。

 地球のために時空が曲がり{ボールが地面のくぼみ(曲がり)の影響を受けて転がり落ちるように,時空の曲がりの影響を受けてりんごは地球に引き寄せられます。}と述べている。これは科学的に正しい説明として通用するかを考える。

3 考察

(1){ボールが地面のくぼみ(曲がり)の影響を受けて転がり落ちる}仕組み

ア ニュートンの考え方

ボールと地球が万有引力で引き合うから地面のくぼみに転がり落ちる。

ボールを転がす力は、引き合う力(万有引力)である。

 重要なことは、ニュートンの考え方では、ボールは{地面のくぼみ(曲がり)の影響を受けて転がり落ちる}のではないということである。

イ アインシュタインの考え方

地面がくぼんでいるので、ボールはくぼみに転がり落ちる。

ボールを転がす力は、{地面のくぼみ(曲がり)の影響}である。

ウ 考察1

 ニュートンの考え方は、万有引力という力が存在する。しかし、アインシュタインの考え方には力は存在しない。くぼみだけである。地面のくぼみには力はない。今までアインシュタイン以外に、くぼみ力なるエネルギーをとなえた人はいない。

 力が存在しなければ物質は速度を変化させないというのがニュートンの慣性の法則や、エネルギー保存則である。

 アインシュタインの考え方は、地面のくぼみにボールが転がり落ちるという現象を見て、くぼみがボールを転がした、と考えたようである。この考えは、物は重いから落ちる、というニュートン以前の考え方である。

 @ 地面のくぼみがボールを転がしているのではないことの証明

 (万有引力が働かないとボールが転がり落ちない具体例)

 ○ 人工衛星の中(万有引力の働かない場所)

 ゴムシートを張って中央を引っ張ってくぼみを作る。ここの端にボールを静かに乗せる。くぼみがあるのにボールは転がらない。理由は、ボールを引っ張る力がないからである。

○ 地上(万有引力のある場所)

 同じようにゴムシートを張って中央を下に引っ張る。端にボールを静かに乗せる。ボールは中央に転がり落ちる。万有引力の引き合う力のためである。{くぼみ(曲がり)の影響}のためではないのは次の例でわかる。

○ 地上(万有引力のある場所)

 地面に平行に空中に平らにゴムシートを張る。その上にボールを乗せる。

 ゴムシートはくぼむ。最初平らでもボールは下がる。{くぼみ(曲がり)の影響}がなくてもボールは地球に近づく。

 

 上の例から、ボールは、くぼみがなくても地面と引き合っていることが分かる。また、くぼみだけではボールは転がらないことも分かる。ボールが転がるためには引っ張る力がいる。また、ボールが転がるためには、{くぼみ(曲がり)の影響}は必要ないことも分かる。 

 くぼみはボールを加速運動させるためのエネルギーをボールに与えてはいないのであるから、くぼみと、ボールの転がる運動とは無関係である。

 くぼみは見える。万有引力は見えない。だから、ニュートン以前の人は、{くぼみ(曲がり)の影響}が、ボールを転がしたと考えた、しかし、ニュートンは、見えない力の存在を考えて、それがボールを転がしたと考えた。

 

 このボールを動かす力を、万有引力によって生じる、位置エネルギーという。位置エネルギーはくぼみによって生じるのではない。

 {ボールが地面のくぼみ(曲がり)の影響を受けて転がり落ちる}という考え方は、ボールは重いから、くぼみがあればかってに転がり落ちる、という考え方である。これは今は否定されている、「物は重いから落下する」という、ニュートン以前の考え方と同じである。

 

(2) 時空の曲がりの影響だけでリンゴは落ちるか

{時空の曲がりの影響を受けてりんごは地球に引き寄せられます。}は可能かということである。

 上に書いたように、ボールはくぼみの影響ではなく万有引力の影響で転がったのであるから、この本に言うように、ボールがくぼみに転がるのと同じ理由で、時空の曲がりでリンゴは地球に引き寄せられるというのは間違いである。

 時空の曲がりについてもう少し詳しく見てみよう。

 地球があるために空間が曲がっているとする。リンゴが枝から離れた。

 重力は時空の曲がりの影響だけだとする。すると曲がりだけで引っ張る力は存在しない。人工衛星の中のボールと同じで、りんごは落ちていけないはずである。なぜなら、りんごが落下するにはエネルギーが必要であるが、時空の曲がりだけではエネルギーは存在しないからである。

 アインシュタインの考え方には、くぼみに転がり落ちるボールの考えと同じで、リンゴは重さがあるから枝から離れたら自身の重さでかってに落ちる、という考え方が根底にある。だから、時空の曲がりだけで落ちることになる。これはニュートン以前の考え方にのっとっている。

 ニュートンの考えでは、万有引力の引き合う力があるから木の枝のりんごは地球に引き寄せられるのである。引き合う力がなければ、いくら重くてもリンゴは地球に引き寄せられない。空間が曲がっていなくてもリンゴは地球に引き寄せられる。ボールとくぼみの関係のように、時空の曲がりと、リンゴが、地球に引き寄せられることとは関係ないといえる。

(3) 時空の曲がりは重力、あるいは、万有引力を生むか

 アインシュタインは時空の曲がりの影響が重力、あるいは万有引力であるといっている。しかし、その理由は、地上のくぼみに転がり落ちるボールである。このボールの転がる原因がくぼみの影響というのは上に書いたように間違った考え方であった。したがって、時空の曲がりの影響が重力になるという考え方の理由が、ボールをころがすのがくぼみであるとしているのだから、時空の曲がりが、重力であるという考え方は間違いになる。

 時空の曲がりの影響が重力であるというなら、そのシステムを明確にしなければならない。くぼみがボールをころがすのと同じ原理などという明らかな間違いの理由しかないのでは、時空が泣くだろう。まあ小学生くらいは納得させることができるだろうが。この本の編集者がまちがった理由を堂々と載せていることが不可解である。まさかこんな子供だましにころっと騙された、というのでもないのだろうが。

 なんにしろ、{くぼみ(曲がり)の影響}が、万有引力を生むというなら、その仕組みを、科学として納得できるように説明し、証明しなくてはならない。それが何一つできていないばかりか、明らかに間違った理由を述べているのは、いくら素人相手の科学の本としてもしてはならないことではないのだろうか。

(4)相対性理論の他の理由(時空の曲がりに沿ってリンゴは落下できるか)

  相対性理論の考え方に光の進路がある。

 {光は、曲がった空間の中で,最短距離(曲がった空間での“直線”)の経路に沿って進む}という考え方がある。これが仮に正しいとする

 このことが、りんごの落下に適用できるだろうかを考えてみる。

 この場合、光はもともと光自身の力で進んでいる。時空の曲がりによる力で進んでいるわけではない。光は時空の曲がりに沿って自身の持っているエネルギーで進んでいる。曲がりから、光が何らかの進む力を受けたわけではない。

 また、{(曲がった空間での“直線”)}を進んでいるのだから、光は曲げられていないといえるから、光が曲がるために、空間の曲がりから何らかの力を受けたわけでもない。

 以上二つのことから、光は、時空の曲がりの影響で進んだのではなく、光自身のエネルギーだけで進んだといえる。

 

 ニュートンの考え方では、りんごのみならず、質量のあるものは、慣性の法則や、運動エネルギーの法則があるから、何らかの力が働かなくては、物質は速度を変える(リンゴの落下も含む)ことはできない。

 万有引力が働かず、時空の曲がりだけがある場合、枝から離れたリンゴは、いつまでもその場にとどまっていることになる。

 したがって、リンゴは自身の力で進んでいる光のようには、時空の曲がりに沿って動くことはできないことになる。

  

 すると、光の進路と、りんごの落下は違う原理で進んでいると考えられるから、この、{光は、曲がった空間の中で,最短距離(曲がった空間での“直線”)の経路に沿って進む}という考え方はリンゴが地球に引き寄せられることには適用できないということである。

4 結論

 {時空の曲がりの影響を受けてりんごは地球に引き寄せられます。}はまちがった根拠での説明、と、慣性の法則にそむく理論であった。

 また、{光は、曲がった空間の中で,最短距離(曲がった空間での“直線”)の経路に沿って進む}という考え方はリンゴの落下には適用できなかった。

 このことから、{重力とは,時空の曲がりのあらわれだったのです}
ということの根拠はないといえる。またこの理屈で質量のあるものどうしは引き付けあうという万有引力が原因であるといわれている現象を説明することはできないということがいえる。

 

5 空間が曲がるとはどういうことか

(1) 空間とは何か

 普通、空間とは何もないものである。構造はどうなっているかといえば、解明した人はいない。そもそも空間とは何かということは、何一つわかっていないのが現状である。

(2)空間の、どこに、何が作用して、どのような原理で曲がるのか

ア どこに

構造がわかっていないから、どこということもわからない。

イ 何が

物質が作用するということだが、物質の何が作用しているのかは、わかっていない。物質があれば曲がるということのようである。わかっていない、ということである。

ウ どのような原理で

これも何もわかっていない。

(3) 結論

 けっきょく、空間の曲がることについては何も分かっていないということである。これは、万有引力が何もわかっていないのと同じである。

 {重力の正体が「時空の曲がりだ」ということです。}といって、さも、重力が解明されたごとく述べているが、何も分かっていないということは同じである。

 

【付記】

重力と万有引力の違い

 

 等価原理

 一般相対性理論の、重力と加速度の等価原理に見られる現象は一方的な作用である。

 等価原理の加速するエレベーターの中の、床に押し付けられるように感じる力は、床の一方的な力である。中に乗っている人が、エレベーターの床を引き上げる力は理論の中には存在しない(万有引力理論では、地球上のヒトの場合、地球がヒトを引っ張る力だけでなく、ヒトが地球を引っ張る力が存在する)。したがって、この加速度と重力は等価であるというのだから重力には当然一方的な力しかない。すなわち、アインシュタインの重力には一方的な力しかない。

 ニュートン以前は、物質は重いから落ちるという一方的な力しか考えていなかった。ニュートンがこれを、互いに引き合う力である、という万有引力に変えた。

 しかし、アインシュタインは、また、物は重いから落ちるという、一方的な力、重力に戻した。

 

 

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