アーサー・エディントンの観測は、空間の曲がりを証明したことになるのか。
相対性理論家の主張
{太陽のそばで光が曲がった!「空間の曲がり」が実証された}
{私たちの住む空間は,重い天体の近くほど大きく曲がっており,重い天体がそばにいない空間は曲がっていません。}
{太陽のそばで光が曲がった!}→{「空間の曲がり」が実証された}
となるためには、「→」のところに事実に即した根拠がいる。その根拠が正しいかどうかが一番重要である。それが科学である。「→」のところに、奇跡が入れば宗教になる。情が入れば小説になる。ごまかしが入れば、詐欺になる。
では、相対性理論家は何を入れているだろう。この本では事実に即した理由は何も入っていない。理由らしきものはそもそも入っていない。{私たちの住む3次元空間も、重い物体のそばほど大きく曲がってしまうといいます。}くらいが、理由らしい理由である。しかしこれは根拠にはならない。たんに仮説なのだから、事実に即した根拠にはならない。仮説は何百並べても仮説から一歩も出ない。
そこで、この現象が、本当に空間の曲がりによって起こったということができるのかを検討してみよう。
重力による光の曲がりは、{1919年、イギリスのアーサー・エディントン率いる観測隊によって確かめられ,一般相対性理論の正しさが実証されました。位置のずれの大きさは,一般相対性理論の予測どおりだったのです。}
{位置のずれの大きさは,一般相対性理論の予測どおりだったのです。}
小考察1
この見解は、一般的ではない。一般的には、このときの観測は、誤差が大きいということになっている。相対性理論の予測と違っていた、観測値にばらつきがあった、ということである。原因は観測機器がその当時はまだ精密ではないためやむをえない結果であったということになっている。
なぜ、「Newton」では一般とは違う見解を取っているのだろう。その理由を示さなければならない。評価が分かれるときにはその双方を示し、そのあと、一方を取る場合は、その理由を述べるのが科学の方法である。その意味で、根拠を示さずこのように断定したことは間違っているといえる。
アーサー・エディントンの観測結果を考察する。
ア 光が曲がった原因を考える
科学はあらゆる原因を考えて、事実に一致するか否かを考えて、取捨選択しなければならない。したがって、この場合も太陽のそばで光が曲がる原因になる可能性のあるものを洗い出し、それを検討しなければならない。そこで、光が曲がる他の原因を考えてみる。
光が曲がる現象は、地球上では、水、空気、ガラス、プラスチック、氷、ダイヤモンド等、様々なもので曲がっているのが観測されている。
そこで、太陽の近くに存在するもので、エディントンの観測した星の光を曲げた可能性があるものを考えてみる。
a 他の原因の候補
太陽大気による屈折現象が原因であると考える。
@ 根拠1 (観測対象の星の光は太陽大気の中を通っている)
エディントンの観測した星の写真は、太陽コロナの中に写っている。このことから、この星の光は太陽大気の中を通っていることがわかる。
このことから、この星の光は、太陽大気によって必ず屈折しているはずである。
地球の重力では光が曲がっているのは観測されていないが、地球の大気では、光が曲がっている現象が多数観測されている。(例:蜃気楼、逃げ水、地平線にかかる太陽のゆがみ、星の瞬き等)
これと同じことが太陽大気でも起こっているはずである。
A 根拠2 (相対性理論の予測より曲がりすぎている)
この本の見解と違い、一般的には観測値が相対性理論より曲がっているといわれている。地球の重力では光が曲がっているのは観測されていないが、地球の大気では光が曲がっているのが観測されていることから、相対性理論の重力より、大気のほうが屈折率が高いといえそうである。太陽大気による屈折が原因であるとすると、相対性理論の計算に合わないからといって誤差にしなくていい。観測値そのままを正しい値とできる。
B 根拠3 (観測値にばらつきがある)
観測値にばらつきがあるのは、太陽大気による瞬き現象であるとすれば矛盾はなくなる。
これが太陽の重力による瞬きとするなら、大きな矛盾が出る。太陽の重力は一定で星の光を瞬かせるほどの大きな重力変化を起こすことはない。したがって重力では星は瞬かず、この観測値を誤差とするしかなかったが、太陽大気なら、激しく変化しているので必ずそこを通る星の光は瞬くことになる(この現象は、地球上から見える星の瞬き現象と同じであるので証明は要らない)ので、エディントンの観測値は正しいとしても矛盾は出ない。
太陽大気による屈折現象と考えると、より観測値に一致するが、重力によるとすると、観測値を誤差、あるいは間違いとするしかなくなることになる。
C 根拠4 (この観測が重力によるという根拠がない)
アーサー・エディントンの観測は、そもそも、アインシュタインの、星がふたつ重なっていると、近くの星の重力で空間が曲がり、後ろの星の光が曲げられて、隠れているはずの星が見えるはずだ、という予言を確かめるために行っている。だから、予言どおり、星の光が曲がっているのが発見されたから、アインシュタインのいう重力によって空間が曲がったことの証明になる、ということである。
しかし、これは証明にならない。なぜなら、上に書いたように、太陽大気によっても星の光が曲がるのだから、重力によって光が曲がったと断定することはできない。そう断定するためには二つの証明が必要である。ひとつは、その星の光が太陽大気によって曲がったのではないということを証明すること。もうひとつは他の観測や、実験による証明が必要である。(他の観測に重力レンズがあるが、この現象も、気体の屈折である可能性が高いので、証明の根拠にならない)そしてこのふたつとも、証明されていない。
このことから大気によって光が曲がる、という証明された理由が存在するのだから、エディントンの観測そのものを持って重力によって光が曲がるということの証拠には使えない。
このように、この星の光が太陽重力によって曲がったとする根拠は存在しない。
D 根拠5 (科学の方法論)
科学の原理に、既存の証明された原理で説明できる現象を持って、それとはことなる原理の証明には使えない、というのがある。
このことから考える。
エディントンの観測は、大気は星の光を曲げる、という理論で完全に説明できる。そして、大気が光を曲げるという現象は、既存の多くの観測や、実験で証明されている。したがって、太陽の近傍で星の光が曲がったという観測は、重力は光を曲げるという証明には使えない、ということになる。
E 根拠6(科学の方法論2 反論の検証)
科学はあらゆる反論を検証しなければならない。
エディントンの観測を重力によって光が曲がった現象である、と結論づけるためには、太陽大気による屈折現象であるという反論を科学的に否定しなければならない。それがなされていない。
以上のことからエディントンの観測は、重力によって光が曲がるということの証明には使えない。
{アーサー・エディントン率いる観測隊によって確かめられ,}
{確かめられ}というのは、まず、アインシュタインの理論は正しいということが前提にある。実証がなされていないのだから、重力で空間が曲がるというのは仮説にしか過ぎない。まだ正しいかどうかは分からないはずだ。だから、本当かどうかを調べたというべきである。
ここにはまず、20世紀最大の天才の言うことは絶対正しいという権威主義がちらついているように思う。一般的には、誤差といわれている、エディントンの観測を、「一般相対性理論の予測のとおりだったのです。}と述べていることにも、アインシュタインへの信奉振りがうかがわれる。観測値と、予測値は違ったのだから、それは認めるべきである。それをうやむやにしてはひいきの引き倒しになる。