時空の伸び縮みB

(以下{ }内はニュートン別冊よりの引用)

{時間の遅れを“実体験”している素粒子が存在する}

 

 ― 私の主張 ―

 「霧箱」の中の、ミューオンの軌跡は特殊相対性理論を否定する実証である

 

1 問題 速度によってミューオンの時間は縮んでいるか。

 相対性理論家は、ミューオンが、本来上空9キロくらいで消滅してしまうはずなのに、地表まで達しているのはミューオンの飛ぶ距離が伸びているからである、と述べている。その原因は、{ミューオンは光速に近い速度で地表に向けて進むために}速度が速くなると、時間の進み方が遅くなるという特殊相対性理論から{ミューオンにとっての時間の進み方が遅くなり,地表で静止している私たちからすると,ミューオンの寿命が延びるから}そのために、飛ぶ距離が伸びるからであると主張している。

 このミューオンを、「霧箱」という装置で観察している。

 霧箱の中に{ミューオンが飛来してくると,空気分子やアルコール分子と衝突し,分子が電気を帯びたイオン状態になります。すると,アルコール分子がイオンを核として集まり小さな液滴を作ります。}

 これがミューオンの軌跡ということです。

 

2 考察

(1)不思議な現象

 {ミューオンにとっての時間の進み方が遅くなり}ということから、時間の進み方が遅れたミューオンは霧箱の中の分子より過去の時刻に存在することになる。すると、過去のミューオンと、現在の空気やアルコール分子が霧箱の中で衝突しているということになる。これは、現在の本能寺に明智光秀軍が切り込んで、現在の参拝者を切り殺しているということと同じ現象である。こんな現象が存在するわけがないのは、今まで、過去と現在が衝突するという現象が一度も観測されなかったことからもわかる。(漫画や小説ではいくらでもあるが)

 428年も過去の軍勢が現在に現れることはないが、ミューオンの時刻は、ほんの少し、それも非常に小さな遅れだから可能である、というのだろうか。そんなことはありえない。過去の物質と現在の物質は、どんなに小さな時間のずれでも衝突することはない。1秒前に踏み切りを通過した列車と、今踏み切りを通っている車とは絶対に衝突することはない。

 このことから、ミューオンが現在の空気分子や、アルコール分子と衝突しているということは、ミューオンの時刻も現在を指していると考えるほうが事実に即している。

(2)ふしぎな考え

 アインシュタインの相対性原理は、見る立場を変えると、速度が変わるという考えであった。

 ミューオンを見る立場にすると、地球が光速になる。すると、地球が見る立場のときと反対に(地球にとっての時間の進み方が遅くなり,空中で静止しているミューオンからすると,地球の寿命が延びるから)ということになる。この場合、ミューオンの飛ぶ距離は短くなるから、ミューオンは桐箱に届かなくなるはずである。

 以前、「Newton」に、速度によって時間が伸び縮みするのは相対性原理によりおたがいさまであるので、実際の時間の伸び縮みはおこらないという記事があった。矛盾である。相対性理論においては矛盾がある場合は例外という考えを設けられるから、ミューオンの場合は相対性原理は適用しないというのだろうか。

 なんにしろこの矛盾を説明する必要があると思われる。

(3)不思議な時刻

 霧箱の中の分子を考える。

 宇宙の年齢はビッグバン理論が正しいとすると137億年である。すべての分子の元はビッグバン理論によるとそのときに生まれている。137億年の間の分子の経歴はすべて違っている。速度はまちまちである。すると、時間の進み方もまちまちであったはずだ。霧箱の分子の今の時刻は、宇宙暦133億年のものもあれば、121億年のものもあれば、148億年のものもあるはずだ。基準の137億年というのは地球がたどってきた速度による地球の今の時刻であるから、それより過去の分子もあれば未来の分子もあるはずである。

 霧箱の中に、様々な時刻の分子が集まっている。なぜ、今の地球の時刻に集結しているのだろう。義理堅いことだ。ところで、霧箱の中の本当の時刻はどれなのだろう。  

 相対性理論は、物質の時刻がいくら異なっても、すべて地球時刻の「今」に出現する。すばらしい離れ業だ。

 総体性理論家はこの仕組みを説明する必要がある。

 (注:地球時刻といっても、地球のすべての分子が違う経歴を持っているから違う時刻を指しているはずだから、統一された地球時刻など存在はしないことになる)

(4)不思議でない話

 では、時間が遅くならないのにどうしてミューオンが地表に達することができるのか、ということになる。簡単である。ミューオンを作る宇宙線の一部が地表近くにまで達し、地表近くで空気分子と衝突しミューオンを生成しているというだけのことである。{実際は数百〜10数キロ上空で生成したミューオンが}という考え方が相対性理論に都合のいい解釈なだけなのである。その考えを、(実際は数百〜数キロ)とすればいいのである。たった1〜2%到達距離を延ばせばあっさり事足りるのである。小柴氏の観測したニュートリノなどは、大気圏どころか南半球から地球を貫通してカミオカンデで水分子に衝突してチェレンコフ光を発している。

 地表付近で宇宙線と空気分子が衝突して、ミューオンを生成しているとすれば、地表の霧箱でミューオンが観測されても、ミューオンの飛距離を延ばす必要はなくなる。したがって、時間を遅らせることも必要なくなるから、霧箱の中で過去と現在が衝突するということもなくなる。 

 なにも、構造も原理も何ひとつ分かっていない時間や空間を伸び縮みさせたり、へし曲げたりして、過去と現在を無理やり衝突させる必要などひとつもないのである。ほんのちょっと、宇宙線の到達距離が伸びればいいだけなのだ。

3 結論

 この霧箱のミューオンの軌跡は、ミューオンの時間が現在の時刻を指していることの実証である。これは光速に近い速度で飛ぶミューオンの時間は延びていないということを示している。すなわち、速度によって時間は伸び縮みするという相対性理論の実証ではなく、反対に、時間は速度によって遅れることはないということの実証になる。相対性理論は実際の現象には現れない、すなわち相対性理論は間違っていることの実証である。

 

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