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宇宙空間が膨張するとは,どういう意味か(Newton2016,3)
についての考察V
2016,5,16
田 敞
(以下{ }内は上記本よりの引用)
1 問題
(2) {宇宙はどこに向かって膨張しているのでしょうか。}1
本の回答
{私たちが観測できるのは,全宇宙の一部分だけ}
{宇宙の歴史が138億年という有限の長さだということは,その間に光が進める距離も有限だということになります。…光が到達するのに138億年より長い年月がかかる遠くの宇宙は,原理的に観測できないことになります。}
{宇宙膨張も観測可能な領域でだけ確かめられているのでありその外の宇宙も膨張しているかどうかはわかりません。}
2 考察
(1)どこに向かって膨張?
{宇宙膨張も観測可能な領域でだけ確かめられているのでありその外の宇宙も膨張しているかどうかはわかりません。}ということです。
宇宙はどこに向かって膨張しているかは分からないということのようです。
まあ、そんなところでしょう。ギリシャの昔から、ちょっと離れた宇宙のことはわからないというのが普通でしたから。それが、望遠鏡の発達で、星の世界から、銀河の世界に広がっただけで、その先のことは少しも分かってないということは変わらないということです。宇宙の果てが分からないのは観測不可能な距離だから分からないわけではないはずです。無限ということが関係してくるから分からないのです。見えるか見えないかの距離の問題ではないのです。その先も、このあたりと同じ宇宙が続いていると考えることはできます。しかし、その果てはどうなっているというと、答えに窮します。子供から大人まで、科学者も含めて疑問はあっても、答えはわからない問題です。
(2){宇宙膨張も観測可能な領域でだけ確かめられている}は本当か?
考察
そんなことはありません。宇宙膨張は実際に確かめられたわけではありません。銀河の赤方偏移と背景放射から、インフレーションビッグバン論者が、宇宙は膨張していると言っているだけです。直接空間膨張が観測されたわけではありません。仮説の一つにしかすぎないのです。いくら声を大にしても、いくら多数の科学者が賛成しても、実証がない限り、理論は仮説にしかすぎません。天動説だって、その当時の科学者のほとんどが賛成していたのです。あの当時と今は違うというでしょうが、違うなら今の技術で、実証すればいのです。できない限りあの当時と何ら変わりないのです。少なくとも、科学は多数決ではありません。事実かそうでないかがすべてです。だから実証がない限り、仮説です。{確かめられている}は言えません。言ってはならないことです。
そこで、宇宙膨張に関して実際に何が観測されているか考えてみます。
@ 地球に近いところの観測結果
・ 地球は膨張していない。
・ 太陽系は膨張していない。
・ 銀河系は膨張していない。
・ 大小マゼラン銀河は銀河系から離れていない。
・ アンドロメダ銀河は接近している。
・ 月は地球から少しずつ離れている。
○ 空間膨張による直接の現象は観測されていない。
このように、地球から250万光年くらいの範囲の物質は膨張していないという観測結果です。月だけは離れて行っていることが観測されていますが、これは、潮汐作用のためだということです。空間膨張とは関係ないことが原因のようです。
A 遠い宇宙
・ 銀河どうしの衝突は多数観測されている。
・ 銀河群や、銀河団は、まとまった構造をしている。
○ 空間膨張による直接の現象は観測されていない。
○ 銀河や銀河団の赤方偏移が観測されている。
遠い宇宙でも、接近している銀河が多数観測されているが、空間膨張で離れている銀河が直接観測されたということはありません。赤方偏移が観測されているが、これが宇宙膨張のためであるということは、証明されていません。これについての反論は、他で述べます。
B その他の現象
銀河ができるときは、散らばっていたガスが、収縮してできる。
星ができるときは、ガスが収縮してできる。銀河群や、銀河団も宇宙に散らばっているガスが収縮して、その中で銀河ができるようだ。これは、銀河ができ、それが万有引力で、引き合い、ガスも引かれて集まるとも考えられるが、どちらにしろ、万有引力で、収縮しているといえます。
このように、宇宙の物質は、収縮している現象が無数に観測されています。反対に、宇宙の物質が、空間膨張によって離れている(膨張している)という現象は観測されていません。
あるのは、赤方偏移からのインフレーションビッグバン論者の憶測だけです。
もちろんインフレーションビッグバン論者は重力が空間膨張に打ち勝っているからだといっていますが、その理由が正しいと証明する実際の観測はありません。単なる言い訳ではないでしょうか。
このように、宇宙のあらゆる場所で空間膨張に反する物質の動きは多数観測されているのに、空間膨張が、星や銀河や銀河群を離れさせているという現象を直接観測した例は一つとしてないのです。たった一つも、です。
この宇宙が膨張しているなら、宇宙のどこでも、物質(銀河や星など)が離れていっているという現象が普通に当たり前に見えてもいいはずです。もちろん地球や太陽系でもです。それがこの広い宇宙にたった一つもないのです。反対の現象は五万とあるのにです。
宇宙の星や銀河は、離れて行かないという現象が普通に見られるということは、宇宙は膨張していないということの表れと考えられます。
したがって、{宇宙膨張も観測可能な領域でだけ確かめられている}と言うのは間違いです。確かめられてはいません。空間膨張は仮説にしかすぎないのです。いえ、空間膨張に関しては理論すらないのですから本当は仮説にもならないのですが。
(3)観測可能な領域{の外の宇宙も膨張しているかどうかはわかりません。}
インフレーションビッグバン論では、全宇宙が、1点から急激に膨張(インフレーション)し、その後火の玉になり爆発(ビッグバン)し、膨張したという理論です。すると、観測可能な領域も、観測不可能な領域も含めて全宇宙なのだから、138億年前には、1点に集まっていたはずです。そして、1点から同時に同じ膨張率(この本にある、ハッブル定数、インフレーション、その他の急激な膨張や爆発)で膨張したことになるはずです。膨張していない宇宙は存在しないことになります。
人間が観測できるかできないかで宇宙をはかるのは、科学でしょうか。それは、人間中心主義です。宗教の範疇です。
(4){その外の宇宙も膨張しているかどうかはわかりません。}を空間膨張から考えてみます。
(ア) まず、観測可能な宇宙は膨張していて、その外の宇宙は膨張していないときは宇宙はどうなるかを考えてみます。
考察
こちら側は膨張しているとします。ハッブル定数からすると、地球から130億光年の距離では秒速260000kmの速度で地球から遠ざかっていることになります。ほぼ光速に近い速度です。
そして境界線の向こうでは宇宙が停止しているということになると、こちらの空間があちらの空間に秒速260000kmの速度で衝突していることになります。
外の空間は停止しているので、こちらの空間がほぼ光速でそこに圧縮されていきます。あちらの空間は頑丈な防波堤のようにこちらの空間の突進を受け止めて動かないのでしょう。
その境界はどのようなことになるのでしょうか。高温高圧の世界?それは物質の世界です。圧縮された空間は普通の空間とどのように異なるのでしょう。空間は無だから、無が圧縮されてもなにも起こらないということでしょうか。すると、無が膨張しても、何も起こらないことになります。星や銀河を移動させることもできなくなります。
また、観測可能な領域の物質が、宇宙膨張により、その境界に押し寄せます。ところが、そこから先は膨張していないのですから、そこで止まってしまいます。次から次に押し寄せる物質が境界面上に溜まっていきます。物質はそこに圧縮されていくことになります。すごいことになります。
(イ)観測可能な宇宙は膨張していて、その外の宇宙も膨張しているとする。
考察
この場合は、境界では衝突はしないで、仲良く地球から離れる方向に膨張していくことになる、とすんなりいくとは限りません。
問題は、外の宇宙も膨張しているのだから、外の宇宙空間がこちらに向かっても膨張してくるはずだ、ということです。
すると、光速に近い速度でこちら側から広がっていく空間と、外側からからこちらに来る空間とがやはり衝突してしまいます。どちらが勝つでしょう。観測不能の外側の空間の大きさは書いていないけれど、この本ではかなり大きいようだから、そちらの膨張速度も境界あたりではやはり光速に近いかそれを越えていると考えられます。すると、空間同士が光速で正面衝突することになります。外側が停止している時よりすごいことになると思われます。
このとき、こちらの物質は、あちらに向かって行き、あちらの物質はこちらに向かってくることになります。双方の物質が、光速に近い速度で正面衝突します。これもすごいことになりそうです。
結論
このことをどう考えればいいのでしょう。空間とは何か、どのような構造なのか、空間がどのように膨張を伝えるのか、空間がどのように銀河団に作用して動かすのか。何一つ分かっていないのに、宇宙空間は膨張するという結論だけが独り歩きしているから、矛盾だらけになるのです。
(2) {宇宙はどこに向かって膨張しているのでしょうか。}の答えは分からないということなのでしょう。ビッグバンで考えられるのは、この宇宙ができる前からある謎の空間の中を、インフレーションで膨張し、ビッグバンで膨張していく宇宙です。
これは{宇宙の多重発生のイメージ}などにある宇宙も同じです。親宇宙や、たくさんの子宇宙のある場所の周りは黒く塗りつぶされていますが。その部分がこの宇宙ができる前からある無限の空間であるということになります。
要するに、その空間は定常宇宙ということになります。
もちろん、このときも膨張宇宙の端が元からある空間にぶつかっている場所はどういう状態になっているかの問題が発生します。
ビッグバン宇宙は、1点から、きれいに外に向かって、秩序だって膨張していく宇宙です。打ち上げ花火ならうまく広がるけれど、空間が膨張するときはそううまくいくとは限りません。それぞれの空間が膨張すると、空間同士が衝突するからです。水の温度を上げると、膨張します、それは水分子が熱運動して、衝突しあうからです。水は量が少ないからうまくいきます。物質だから力を伝えることもできます。空間はあまりにも大きすぎます。また力を伝えるシステムも持ちません。そうはうまく膨張はしないはずです。
空間膨張の理論と、実証が待たれます。それがなければ、空間が膨張するということは仮説にもなりません。