「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 33

著者 高田敞

 

     

 

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{誕生から1秒後には原子の材料がそろった}(P94)

宇宙誕生後100万分の1秒から、4秒後までの宇宙について解説してある。

問題1

{素粒子の海

宇宙誕生後100万分の1秒

宇宙の大きさ:今の宇宙の数兆分の1}

考察

今の宇宙の大きさが特定されていない。だから、数兆部の1といっても、分母の数が特定されていないのだから、答えは出ない。分からないということだ。

数兆分の1ということだが、3兆分の1と6兆分の1ではまるで違う答えになる。あまりにも適当な数値である。

インフレーションがこの本で述べているように100mで終わり、その後ビッグバンになったとしよう。すると、その後はハッブル定数で膨張していくことになるはずだ。100mのハッブル定数は、ほぼ0mだから、宇宙は膨張できない。

仕方がないから適当に膨張するとする。

適当に、光速としよう。ハッブル定数では本当は100mの距離で光速になるわけはないのだけど、インフレーションビッグバン論者は本当のことを言わないから仕方がない。

すると、{宇宙誕生後100万分の1秒}では宇宙の端と端では30万÷100万だから、0.3kmになる。300mだ

直径300mに全宇宙の物質の元である、素粒子が詰め込まれている。入るわけがない。

インフレーションビッグバン論では、このときまでに、ヒッグス粒子が素粒子に質量を与えているし、重力も分離しているということだ。

したがって素粒子は重力を持っている。宇宙の全素粒子が直径300mに詰めこまれたら、ブラックホールになってしまう。宇宙はこの後つぶれてしまい。今の宇宙はできない。太陽系でさえ、重力の方が宇宙空間膨張より強いというのだから、とても膨張できないはずだ。

結論

宇宙の大きさは確定していない。ハッブル定数は宇宙誕生後、どれくらいの時間が経過した後機能するのかも解らない。ハッブル定数どころか宇宙最速の光速でさえ役に立たない。

大きな数字が書いてあるが、みんな特定されていない。

この後の宇宙も同じである。1秒後の宇宙でも、端と端が光速で膨張しても、30万kmである。銀河系の直径が10万光年である。そんなに大きくても全宇宙に比べたらバクテリアくらいにもならない銀河系の質量だけで、銀河系は膨張していない。30万kmに全宇宙の素粒子が詰まった宇宙が膨張できるはずがない。

 

問題2

宇宙誕生4秒後の宇宙

陽子、中性子、電子が浮かんでいる宇宙の図

考察

端と端が光速で離れたとすると、距離は4秒光年だ。地球と月くらいだろうか。そこに、全宇宙の陽子と中性子と電子が浮かぶことができるだろうか。不可能である。あっさりブラックホールになるはずだ。

光速の15倍で4秒なら1分光年になる。光速の120倍で4秒間では8分光年だ。やっと太陽と地球の距離になる。やっと地球の公転軌道の内側が宇宙の大きさになる。これでも、その中に全宇宙の陽子や、中性子や、電子が詰まると、ブラックホールになるはずだ。そうでなくても太陽1個の重力で、太陽系は膨張しないのだから、全宇宙の物質が膨張できるはずがない。

光速の120倍の速度でもまるで駄目だということだ。ハッブル定数などまるで関係ない。

4秒で1万光年離れるには、光速の2500倍の速度でなければならない。銀河系の大きさ、10万光年の直径になるには、光速の25000倍でなければならない。その大きさでも、全宇宙の物質が詰め込まれると、ブラックホールになってしまうだろう。

100万光年になるには光速の25万倍だ。アンドロメダまでの距離、200万光年で、50万倍の速度にならなければならない。銀河系と、アンドロメダ銀河は、宇宙膨張の速度に打ち勝って接近している。たった二つの銀河の重力だけで、宇宙膨張の力に打ち勝っている。この中に、全宇宙の物質があったら膨張はできないということだ。

光速の500万倍の速度で2000万光年になる。銀河団の大きさくらいだろうか。銀河団も膨張していないという。数百個の銀河とそれを埋めているガスだけで膨張できないのだ。

光速の500万倍の速度で膨張しても膨張は不可能ということだ。

結論

初期宇宙は、物質が非常に少ないと考えているのだろうか。それとも、物質の量などは考えていないのだろうか。それとも、それを考えると、インフレーションビッグバン論は成り立たなくなるから、無視しているのだろうか。

とにかく、94ページから95ページの図は変である。物質の量が極端に少なすぎる。

問題3

{宇宙誕生後から1秒後(宇宙の大きさ:今の宇宙の大きさの100億分の1)

考察

44ページに今の宇宙の大きさが書かれてある。{観測できるのはほんの一部の宇宙}とある。その観測できる宇宙が414億光年の半径を持っているということだ。そして、実際の宇宙は距離でもその何倍も大きそうに書いてある。

 このことから宇宙誕生後から1秒後の宇宙の大きさを推論してみる。

 観測できる宇宙は、100億分の1だから、宇宙誕生から1秒後の宇宙の大きさは、半径4.14光年になる。

 1秒で、4.14光年膨張するのだから、光速の4,14×60×60×24×365倍の速度で膨張したということになる。約1億3000万倍ほどの速度である。

 このような速度はあり得るのだろうか。

ハッブル定数とはどのような関係にあるのだろうか。4,14光年では地球から一番近い星との距離くらいだ。この距離では空間膨張は観測されていない。アンドロメダとの230万光年の距離でも、宇宙空間膨張は観測されていないのに、たった4,14光年で、光速の1億倍を超える速度で膨張するというのだからハッブル定数とは無関係の膨張なのだろう。ではハッブル定数はいつから効力を発するのだろう。

重力で時間経過とともに速度は遅くなるという意見もあるが、今の宇宙は加速膨張しているという意見もある。これは星などの物質のことであろう。空間は重力に引き戻されないから空間は関係なく膨張しているはずだ。

空間の膨張エネルギーは減らないから、空間が増えると、膨張のエネルギーは増えるという意見もある。万有引力は、距離の2乗に反比例するということが観測されている。すると、宇宙空間が大きくなると、膨張エネルギーは増え、引力は減るから、膨張速度は増加するはずだ。すると、今の宇宙は、光速の1億倍では利かない速度で膨張しているはずだ。ところが、4光年どころか、230万光年の距離でも膨張は観測されていない。

ビッグバンのときは今とは異なるということなのだろうか。超高温の爆発だからということなのだろうか。しかし、空間膨張は物質の爆発とは関係ない。原爆だって、空間は膨張させない。超新星だって、空間は膨張させない。空間膨張は、初めインフラトン、次に、ダークエネルギーが起こしているということだ。温度や、物質の爆発とは関係ないはずだ。空間膨張は、火の玉とは違うエネルギーシステムで動いているのだからハッブル定数に従うはずである。

もし、火の玉だから宇宙も膨張するとするなら、理論そのものを変えなくてはならないはずだ。

これが、44ページの宇宙の大きさだとさらに何倍にも大きくなる。光速の数億倍で宇宙は膨張していくことになる。さらに矛盾が大きくなる。

 

結論

ここも、物質の生成を説明するための説明の都合で書いているから、その他のことと、まるで整合が取れていない。