「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 21

著者 高田敞

 

     


(以下{ }内は上記本よりの引用)P64

 

{時間をさかのぼると,とんでもない一つの「点」に行き着く}

 

問題1

{「一般相対性理論で考える限り,膨張する宇宙を過去にさかのぼっていくと、どんどんちぢんで,最終的には大きさが0に潰れてしまわざるをえない」}

考察

{「一般相対性理論で考える限り」}つぶれるかもしれないが

「ニュートン力学で考える限り、宇宙はつぶれない」といえる。

理由1

万有引力は物質間の相互作用であるから、空間には働かない。したがって、宇宙空間は収縮も膨張もしない。

理由2

物質は万有引力で一点に収縮するか、という問題が生じる。万有引力があればいずれ物質は収縮するはずだ、と思われる。アインシュタインもそう考えたのだろう。収縮の中に、物質の他に、時空まで収縮するとまで考えたようだ。

しかし、ニュートン力学では物質さえ収縮しない。エネルギー保存則がある。物質は、万有引力があるとそれと同じ位置エネルギーが生じる。位置エネルギーは斥力として働く。位置エネルギーは万有引力から生まれるから、引力と斥力が同じになる。したがって、物質間は収縮しないし、膨張もしない。宇宙の物質は最初の位置に常に戻ろうとする。

宇宙空間で物質が引き合って衝突すると跳ね返る。衝突エネルギーが他に移動しなければ、もとの位置まで跳ね返る。普通は、衝突エネルギーの一部が熱になるので、その分元には戻れない。しかし、生じた熱エネルギーは他の物質を動かすことになる。宇宙全体では、個別の収縮とそれによって放出された位置エネルギーの熱による拡散はトータルで一致する。全体として、万有引力による収縮力と位置エネルギーによる拡散力が一致しているので膨張も収縮もしない。

結論

一般相対性理論では、宇宙は収縮するというが、ニュートン力学では拡散も収縮もしない。

問題2

{どんどんちぢんで}

考察

アンドロメダと、銀河系を考えてみよう。現在、アンドロメダ銀河と銀河系は近づいているという。インフレーション論では、原因は、両銀河の重力が宇宙膨張に打ち勝っているからだという。

 そこで両銀河の時間をさかのぼってみる。逆になるのだから。両銀河は時間をさかのぼると{どんどん}離れていく。離れると、ハッブル定数からすると、空間膨張の速度は距離に比例して速くなる。反対に重力は距離の2乗に比例して弱くなる。どこかでそれがつりあって止まることになるところが出てくるはずだ。そこから過去へさかのぼっても、収縮力と斥力がつりあっているのだから収縮も、膨張もしないままになる。いつ、両銀河は{とんでもない一つの「点」に行き着く}のだろう。

 最初、宇宙が{とんでもない一つの「点」}から膨張したとしたら、すべての物質も拡散したことになる。拡散すると、ハッブルの法則から、拡散の速度は速まる。ニュートンの法則から、万有引力は弱まる。このことから拡散は速まることになっても、遅くなることはない。実際、遠い銀河ほど速い速度で離れていっているというのがインフレーション論だ。したがって、二つの粒子が1点からいったん離れると二度と収縮することはできないはずだ。それが複数であっても同じだ。1点でくっついていたものが一度離れると膨張する力は強くなり重力は弱くなるのだから。これが、ある程度大きくなってから粒子ができても同じだ、その瞬間に収縮する粒子以外は、みんな離れていくことになる。

 これは銀河形成でも同じことが言える。粒子は宇宙開闢当初は1点から拡散していったはずだ。それがある時点から収縮しなければ銀河はできない。揺らぎからというが、揺らぎの中のより濃縮しているところも、宇宙開闢当初は拡散していたはずだ。重力はそれに伴い弱まり、空間の斥力は強まるはずだから、いったん拡散したら、濃いところにあった粒子だって収縮することはできないことになる。

 濃いところも膨張したらどんどん薄くなるのだから。斥力はどんどん大きくなり、重力は距離の2乗に比例して弱くなる。いったん膨張が始まると、逆転は不可能になる。

実際の宇宙はいたるところに銀河や、星がある。観測結果と相反する。

 

結論

衝突している銀河が多数見つかっている。それらの銀河は時間をさかのぼると、離れていくはずだ。どんどん離れていく銀河はどのようにすれば{とんでもない一つの「点」に行き着く}のか説明がいる。

銀河形成だって同じだ。

いったん拡散を始めると、空間斥力はどんどん強くなり、重力は、急激に弱くなる。収縮は不可能である。

高田式定常宇宙論なら簡単である。万有引力と、位置エネルギーで説明がつく。宇宙全体の膨張も収縮もない。万有引力で収縮し、位置エネルギーで拡散する。

 

問題3

{この点は体積がゼロであり、それでいながら物質の密度と温度が無限大になるといいます}

考察

これはブラックホールの定義に似ている。ところで、宇宙の全物質が集まると、ブラックホールになるのはどれくらいの半径なのだろうか。宇宙の全物質の量が不明だから計算しようがないのはわかる。しかし、宇宙誕生後粒子ができ、ヒッグス粒子が質量を与えたときも、宇宙はブラックホールになったということはだれも言っていない。{大きさがゼロになる}以前に、宇宙の全物質の重力で、ブラックホールになるはずだ。特に、44ページの観測できる宇宙の何十倍もある、あるいは{宇宙の大きさはどんな形容詞を使っても表現できないほど広大なのかもしれません。}という宇宙になると、ブラックホールになる限界は、直径何十億光年にもなるのではないだろうか。

結論

ここでも都合の悪いことは知らんふりして済ましている。都合の悪いことこそ取り上げて考える、というのが科学者の心得と聞いたことがあるのだが。