「重力とは何か」について目次
重力とは何か2二つの光速度不変
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「重力とは何か」(大栗博司・幻冬舎新書)について


著者 田 敞


(以下{ }内は上記本からの引用)

 

問題1

重力と万有引力は同じか?

 

問1 重力は幻想である=第五の不思議 (P38)

{上空で飛行機のエンジンを止めると飛行機が自由落下を始め、機内にいる人たちは体が宙に浮きます。飛行機と同じ速さで落下すると、重力をまったく感じません。窓から外を見れば自分が落下していることがわかりますが、窓がなければ、単に自分がフワフワと浮かんでいるとしか思わないのです。このように、重力は感じなくする、すなわち消すことができるのですが、逆に増やすこともできます。エレベーターが上昇するときのことを考えれば、それは実感として理解できるでしょう。}

 

これがアインシュタインの重力と、ニュートンの万有引力の決定的な違いです。

 

考察1 消える重力、消えない万有引力

@ アインシュタインの重力

{機内にいる人たちは体が宙に浮きます。飛行機と同じ速さで落下すると、重力をまったく感じません。}{単に自分がフワフワと浮かんでいるとしか思わないのです。このように、重力は感じなくする、すなわち消すことができるのです。}

 このように落下する飛行機の中の人には重力が消えます。

A ニュートンの万有引力

{上空で飛行機のエンジンを止めると飛行機が自由落下を始め、機内にいる人たちは体が宙に浮きます。飛行機と同じ速さで落下すると}

 中の人は飛行機と共に自由落下をしています。自由落下とは加速運動です。物体を加速するには、エネルギーを加える必要があります。これがこの本にも書いてあるニュートンの万有引力です。{投げ上げられた石も本来の居場所である地面に戻る}から{物体が地面に落ちる現象も、「力」の働きで説明されます。}{地球からの引力という「力」によって石の運動が変化するからなのです。}と、物体の動きには力が関係していることを見つけたのです。

 すると、中の人を自由落下(加速)させているエネルギーはなにかということです。このとき重力は消えていると述べています。だから中の人を加速しているエネルギーは重力ではないということになります。残るのは万有引力しかありません。

 中の人を{飛行機と同じ速さで落下}させているのは、万有引力ということです。

Bこのことから

自由落下する飛行機の中の人には、重力は消えているけれど、万有引力は働いているということが分かります。

結論1

アインシュタインの重力は消えることがあるけれど、ニュートンの万有引力は消えないということが分かります。この二つはまるで違うものだということです。

 

考察2 増える重力

{逆に増やすこともできます。エレベーターが上昇するときのことを考えれば、それは実感として理解できるでしょう。}

 @ アインシュタインの重力

 エレベーターの加速の力が重力に加算されています。これはエレベーターの床が中の人を押し上げる力です。一方的に中の人を押し上げています。また、作用反作用の法則で、中の人も同じ力で床を押しています。これは質量とは関係ない力で、エレベーターを引き上げるモーターの出力に比例します。

この力はモーターを動かす電気の力です。4つの基本的な力では電磁気力です。引力(相対論では重力という名)ではありません。

A ニュートンの万有引力

 万有引力は引き合う力です。この力は質量に比例します。地球が引っ張る力は強く、人が地球を引っ張る力は無いに等しいくらい小さいです。しかし、人が地球を引っ張っていることはたしかです。

 万有引力は物質の持つ4つの力の一つです。

B このことから

 重力には押し合う力が加算されますが、万有引力は引き合う力だけなので、エレベーターの床の加速は加算されません。これは重い力と引っ張る力の違いです。

また今のところ、電磁気力(エレベーターを動かす力)と万有引力(相対論では重力という名)は統一されていません。

結論2

 このように、アインシュタインの重力は押し合う力ですが、ニュートンの万有引力は引き合う力です。まるで違う力であるということがいえます。

 

問題2

 アインシュタインの重力とニュートンの万有引力の違い

(1) 根本の違い

 一般的には、重力と万有引力は同じものとして扱っています。

 しかし、万有引力は、物質が持つ4つの力の一つとして最初から引力を持っているということです。物質が本来持っている1次的な力です。アインシュタインの重力は、物資はまず空間を曲げる。曲がった空間が重力を生むということです。物質が最初に持っているのは空間を曲げる力(力と言えればですが)です。重力はその曲がった空間が生む2次的なものです。

 このように、万有引力と、重力は根本的なところから大きく違います。

 相対論者は、引力がなぜ生じるかが分かっていない。それが空間の曲がりで説明できた、と言っていますが、そうでしょうか。引力が生じる理由が分からないのと同じように、相対論者は物質がどのようにして空間の曲がりを生むかについては何も言っていません。空間の曲がりが生じる仕組みが分かっていないからです。

始まりが、引力からなのか、空間の曲がりからなのかの違いだけで、物質がどのようにしてその現象を起こすのかは分かっていないのは同じです。ただ、引力の場合は、物質が持つ4つの力(強い力、弱い力、電磁気力、引力(重力))の一つというのが従来の説明です。一方、空間を曲げる力は、この中に入っていません。出所は不明です。もし入れるとしたら、引力(重力)の代わりに入れなくてはならないでしょう。(強い力、弱い力、電磁気力、空間を曲げる力)となるはずです。しかし、この変更はなされていません。変更する動きもありません。重力を生むのは重力子という粒子であるという理論はそのままです。重力は空間の曲がりであるというのは相対論の中だけです。不思議なことです。

 

(2) 名前の違い

 ニュートンは、万有引力と名付けました、アインシュタインはそれを重力と変えました。

 なぜ万有引力ではだめで重力と変えたのでしょう。このような根本的な違いがあるからでしょうか? 引力と重力ではどのような違いがあるのでしょうか?

 

(3) その他の違い

 重力と万有引力はこのほかにも違いがあるのでしょうか。重力と一般相対性理論の関係はどうなのでしょう。

 これらのことについて順に考えてみます。

 

 

問題3 重力は「力」である=第1の不思議 (P24)

1 「落ちる」の違い

アリストテレスは、物質は{「本来の場所に戻る性質」があると考えました。}

{その考えを根底から覆したのがアイザックニュートンです。}

 

・ アリストテレス

「本来の場所に戻る性質」

{投げ上げられた石も本来の居場所である地面に戻る}

・ アイザック・ニュートン

{物体が地面に落ちる現象も、「力」の働きで説明されます。}{地球からの引力という「力」によって石の運動が変化するからなのです。}

この、物質が持つ「引っ張る力を万有引力」と名付けました。

・ アインシュタイン

 {重力は幻想である。}

物質は重いから空間を曲げる。その曲がりに沿って光は飛ぶ。{質量のある物質によって遠方の銀河からの光が曲げられる様子}として、図19、P117に描かれています。物質の持つ重力についてなのに肝心な物質が重力を持つ仕組みには触れずに光の進路について書いています。なぜでしょう。

ここでは書かれていないのですが、一般相対性理論では、物質も、物質が作る空間の曲がりによるへこみに落ちる、と説明されていることが多いようです。

これは重いからへこみに落ちるという考え方です。だから、重い力、重力と名付けたのでしょう。この、物は重いから落ちるという考えは、ニュートンが万有引力を言うまでは一般的でした。リンゴは重いから下に落ちるという考えだったのです。(ここでは、あまり一般的でない、アリストテレスの考えが紹介されていますが、ニュートンまでは物は重いから下に落ちるという考えが普通でした。それを内緒にしているのは、アインシュタインの考えに似ているからでしょうか。間違った考えに似ていると思われるのはいやなのでしょうか)

 

このように、光は空間の曲がりに沿って飛び、物質は空間のへこみに落ちるというのが相対論の考え方のようです。相対論では光と物質の動きの仕組みは異なります。

リンゴは空間の曲がりのへこみのために真っすぐ地面に落ち、投げたボールは空間の曲がりのへこみのために放物線を描いて落ちますが、懐中電灯の光は、空間の曲がりに沿って飛んでいっているから、真っすぐ飛んでいくことになっているようです。月は地球が作った空間の曲がりのへこみに落ちるために地球の周りを公転しますが、光は、地球が作った空間の曲がりに沿って飛んでいくので公転しないようです。

なぜ光は空かの曲がりのって飛ぶのかという説明は空間の曲がりは直線であるから、真っすぐ飛ぶ光は結局空間の曲がりに沿って飛んでいることになる、というものです。なんで曲がりが直線なのか、不思議な現象です。エディントンの観測では、太陽の傍で、重力のため星の光が曲がっているということです。星の光が曲がっているのにそれが直線であるというのです。解せない話です。

光は光速だから重力を振り切るという、脱出速度の説明もよく見ます。重力が強すぎて光はブラックホールから出てこれないというときに説明として述べられます。

すべては空間の曲がりなのでしょうが、対象によって説明が変わるのは、変な話です。

ニュートンの考えも光と物質の動きの仕組みは異なります。光は質量がないので地球と引っ張り合うことができないから真っすぐに飛びます。リンゴや、ボールは引力で地球と引っ張り合っているので地球に落ちます。

相対論の重力とはかなりの違いがあります。引力は、ニュートンの場合空間の曲がりから発生せずに、物質が本来持っている引っ張る力だからです。

 

 以上のことから、ニュートンは物質は引力を持っていると考えましたが、アインシュタインは、物質は空間を曲げる力を持っている、その空間のへこみに物質は重いから落ちると考えたことが分かります。引力から重力に名前を変えた理由はこれなのでしょうか。としたら、この本では、なぜ物質は空間のへこみに落ちる、という考えを書かなかったのでしょうか。不思議です。

2 落ちる、と力

{物体が地面に落ちる現象も、「力」の働きで説明されます。}

 ニュートンは、物が落ちるのは、「力」が働くからと考えました。これはそれまでの、重いから落ちる、と画期的に異なります。物質は重くても力が加わらない限り落ちないというのです。物質は力が加わらない限り運動を変化させないという慣性の法則を考えたからです。そこが、それまでの「重いから落ちる」に比べて根本的な違いです。

ところが、アインシュタインはそれを、空間が曲がるからそのへこみに落ちるとしました。しかし、ここには曲がりはあっても引力はありません。

よくある説明では、ゴム膜に鉄球を乗せるとへこむ。そのゴム膜の縁にビー玉を乗せるとへこみに落ちる、です。リンゴは重いから枝から落ちるという考えと同じです。重いから下に落ちるです。ニュートン以前の、物は重いから落ちるに戻したのです。これが、重い力、「重力」です。問題はゴム膜のへこみには力がないことです。ゴム膜の縁においたビー玉がへこみに落ちるのは、地球の引力があるからです。宇宙ステーションの中でゴム膜に鉄球を乗せてもへこみません。ビー玉を乗せても浮かんでいるだけです。ゴム膜をへこませるのも、ビー玉を転がすのも、引力という力が必要です。曲がりだけでは引力は生まれないのです。

 この、力に対する考え方の違いが、一般相対性理論を生みだすときに大きな違いとなって現れます。重力では一般相対性理論が生まれるけれど、万有引力では一般相対性理論は生まれないのです。

空間はゴム膜のようにはいきません。もし空間が曲がっても、曲がりには力がないので、物質を落とせません。引力があっての落下です。

 例えば、太陽が空間を曲げるとします。しかし、その縁に地球を置いても、引力がなければその曲がりに落下しません。地球は太陽の周りを公転できないのです。空間の曲がりに沿って動いているということでもありません。それなら、空間の曲がりに沿って飛ぶ光も地球の公転軌道に沿って飛ぶはずですが、その現象はありません。

空間の曲がりには、力は存在しません。へこみに重いから落ちる、というニュートン以前の考え方に戻っています。それが相対論です。だから、自由落下している飛行機の中の人の「重いという感覚」がなくなると、重力が消えるのです。

 

3 矛盾

 同じ本で、大栗博司氏は{重力は遮蔽物でブロックできないので、〈徐々に力を弱めながらも〉どこまでも無限に届きます。また、重力は引力だけなので、物質がたくさんあればその強さがすべて足し算され、なにかで相殺されることはありません。}と述べています。エレベーターの壁では相殺されないということです。

 ところが、窓のない飛行機がエンジンを止めると、重力が消えると述べています。ジェットコースターで下降すると重力が減ると述べています。エレベーターが加速すると、重力が増えるともいっています。重力は足されたり引かれたり、消えたりしています。まるっきり矛盾したことが書かれています。

{重力は引力だけなので、物質がたくさんあればその強さがすべて足し算され、なにかで相殺されることはありません。}なのに、エレベーターが上昇すると重力が増えます。エレベーターのモーターのエネルギーが重力に加算されています。そのほかにも、列車や自動車の加速時の押しつけられる感じが加算されます。元はモーターやエンジンのエネルギーですからその力が加算されるということです。

 万有引力は物質の持つ質量による万有引力しか加算されません。しかし、重力は、他のエネルギーによる加速が加算されます。これも、重力と万有引力との大きな違いです。

4 力の源

 万有引力は、物質が持つ4つの力の内の一つです。それ以外のものでは代用できません。重力は、エレベーターを引くモーター、ジェットコースターのモーター、車のエンジン、飛行機のエンジン、などさまざまなエネルギーで代用できるようです。力の源が完全に違います。

結論

{先ほど私は、重力は「力」だと言いました。ニュートン流の力の定義によると、それは間違っていません。しかし、こうして「消える」こともあると考えると、重力は見方によって変化する「幻想」だということもできます。}のとおりです。重力は幻想なのです。しかし、万有引力は、遮蔽物でも、見方でも消えませんし、変化もしません。モーターや、エンジンの力は加算されません。「幻想」ではありません。現実の力です。

 このようにアインシュタインの重力とニュートンの万有引力は全く違うものです。重力は万有引力ではないということです。