重力波と相対性理論

著者　髙田　敞

問題

検出された重力波は、空間のゆがみによるのか？

考察

重力波は、ブラックホールどうしの衝突によって質量の変動が起き、それが空間のゆがみに変動を起こさせ、それが地球にまで伝わり、観測器に変化を起こしたというのがその解釈です。

　しかし、これは、一般相対性理論が正しいということを前提とした解釈です。逆の、重力波があった、したがって一般相対性理論は証明された、ということではありません。

一般相対性理論では、重力は空間のゆがみであるというのが、その考え方です。これによると重力波はそういう解釈になるでしょう。

では、ニュートンの万有引力が正しいとすると、どのような解釈になるでしょう。

　万有引力は、一般相対性理論の重力すなわち重い力ではなく、物質同士の引き合う力です。すると、重力波は次のようになります。

ブラックホールどうしの衝突によって質量の変動が起き、それが万有引力の大きさに変動を起こさせ、それが地球まで伝わり、観測器を引っ張る力に強弱を起こした。このために起きた変化が観測されたということになります。言ってみれば、「万有引力波」が検出されたといえるのではないでしょうか。

結論

　どちらを前提とするかで解釈が異なります。だから、重力波検出によって重力は空間のゆがみであるということが証明されるわけではありません。勿論、万有引力の方が正しいということが証明されるわけでもありません。

　重力波（万有引力波）によってどちらの理論でも起こりうるといえるので、このことが一般相対性理論の証拠の一つになるということはないと考えます。

　勿論２０世紀最大の天才アインシュタインの予言通りだということは重要かもしれませんが、それは権威主義というもので、科学にはそぐわないと思います。誰が言ったかではなく、あらゆる可能性を検討する方が真実に近づく道だと考えます。

　そこで両者の違いについて考えてみます。

問題２

重力と万有引力の仕組みの違い

考察１

相対論者によると、重力と万有引力は同じとして扱っていますが、そうではありません。重力と万有引力は根本原理が違います。原理が違うのですから同じということにはなりません。したがって、現象も異なります。その最大の違いは光との関係です（後述）。

　リンゴが落ちる理由を、物は重いから落ちる、というそれまでの重力的考えから、ニュートンは、物質同士が引き合う力を持っているからだ、と変えました。これが、万有引力です。アインシュタインは、それを、また、物は空間のゆがみに落ちる、という考えに戻しました。重いから空間のゆがみに落ちる、です。これが重力です。根本的に考え方が違います。

　リンゴは引き合う力で落ちるのか、空間のゆがみに落ちるのか、どちらと思いますか。万有引力と、重力の違いはこのことです。同じものではないと思いませんか。それをなぜ同じものとしているのでしょう。不可思議です。重力が正しいなら、万有引力は間違いです。少なくとも、万有引力は空間のゆがみから生じるというのは間違いです。空間のゆがみから生じるのは重力です。

　万有引力と重力の違いについてもう少し考えてみます。

問題２

　アインシュタインは重力が生じるしくみを発見したか？

考察

ニュートンは、万有引力が生じるしくみを明らかにできなかった。アインシュタインは重力が生じるしくみを明らかにした、と言われています。

　そのとおりです。万有引力がなぜ生じるかについては、ニュートンは明らかにできませんでした。既得的に物質は万有引力を持っているというだけです。物質が、強い力や、弱い力や、電磁気力を本来的に持っているように、引力も持っていると考えたのです。

　では、アインシュタインはどうでしょう。

　重力は空間のゆがみに物質が落ちること、ということです。しかし、物質が空間をゆがませる力はどこから生じたのかについては述べていません。物質の持つ、強い力や弱い力や電磁気力と同様に、物質は本来的に空間をゆがませる力を持っていると考えたのでしょうか。それなら万有引力の生じる原因がわからないのと同じです。最初に持っているのは、引力か、空間をゆがませる力か、の違いだけです。なぜその力が生じたかについては何も述べていないのは双方とも同じです。

そのほかにも、物質はどのようにして空間をゆがませるのか、という仕組みも述べていません。空間のゆがみとは、空間の何がどのようになることか、ということも述べていません。

　また、空間がゆがむと、物質はなぜ落ちるのかについても述べていません。坂道があるから物は転がり落ちる、と、空間がゆがんでいるから物は転がり落ちる、というのは同じ考え方です。なぜ落ちるのかの理由にはなっていません。リンゴは重いから下に落ちるというのと同じです。

物は低いところに落ちるのは万有引力という引き合う力があるからというのがニュートンです。物が空間のゆがみに落ちるのは、どのような力が働いているかは、アインシュタインは述べていません。ゆがんでいるから落ちるのだということでは、坂道を物が転がり落ちることからの類推にしかすぎません。なぜ落ちるのかを解明したことにはなりません。坂があるから転がり落ちるのは当たり前だ、では、ニュートン以前の、物は重いから落ちるのは当たり前だという考えに戻ってしまいます。

物を動かすには力がいります。新たな力が加わらない限り物は動きません、速度を変えることもありません。ニュートンはその力を、物質は引き合う力がある（万有引力）からだと述べました。アインシュタインの空間の曲がりは、どのようにして、物を動かす力を出しているのでしょう。曲がりだけではエネルギーがないので、物質は動きません。

　これについて、相対論者は、よく、ゴム膜に鉄球を乗せて凹みを作り、これが空間の曲がりで、この、へこみに落ちるのが重力であるという説明をします。しかしそれは間違いです。ゴム膜にへこみを作るのは万有引力があるからです。引力のないところではへこみません。また、物がへこみに落ちるのは、万有引力があるためです。単にへこみがあっても、無重力状態では落ちません。曲がりにしろへこみにしろ、それ自体はエネルギーはないので、物を動かすことはできません。

お椀を置きます。縁にビー玉を載せると、底に転がり落ちます。同じお椀を伏せておきます。てっぺんになった所に、ビー玉を乗せます。縁に向かって転げ落ちます。

お椀の形は同じです。ビー玉の動きは反対です。この原因は、地球とビー玉が万有引力で引きあっているから起こるとすると、同じ現象といえます。

引力のない空間にお椀を置きます。縁にビー玉を乗せます。どちらに動くでしょう。底にビー玉を置きます。どちらに動くでしょう。

共にどちらにも動きません。

空間が質量によってお椀の形に曲がったとします。その縁にビー玉を置きます。どちらに動くでしょう。底にビー玉を置きます。どちらに動くでしょう。

重力が単に空間の曲がりだけで、引きあう力がなければ、ビー玉は動くことができないはずです。

引力がない場合はお椀はへこんでいるのか、膨らんでいるのか区別ができません。ビー玉もどちらにも落ちません。

へこみにしろ、曲がりにしろ、それ自体にエネルギーはないのですから、それ自体で物を動かすことはできません。引力という力があるから物は動くのです。物を動かすのにへこみも曲がりも必要ありません。

太陽が作った空間のへこみの周りを地球が公転するということです。では、太陽が作った空間の曲がりの下（お椀の底）が太陽のある方だというのは何によって決まっているのでしょう。太陽のある方が上だとはなぜならないのでしょう。なぜ太陽のある方が下になるのかについては相対論者はどのように考えているのでしょう。ゴム膜に鉄球を乗せるとなどという説明は、説明になっていません。ちゃんとして説明がいります。

万有引力では簡単です。引っ張る力がある、です。ケプラーや、ニュートンの法則で動きます。

地球が太陽の周りを公転するためには、太陽が空間を曲げただけでは足りません。太陽が地球を引っ張る力がなければなりません。引力がなければ、地球は、遠心力で曲がりの外に飛びだしてしまうでしょう。

無重力の空間では上下はありません。空間の曲がりだけでは、どちらが下か決めることができません。太陽が作った空間の曲がりだから、太陽のある方が下だ、ということはできません。太陽のある方が上かもしれません。あるいは、同等かもしれません。上下を決めるには、何らかの力が必要です。相対論にはその力が決められていません。

万有引力にはそれがあります。引き合うから、加速しながら衝突します。万有引力には空間の曲がりは必要ありません。しかし重力には、空間の曲がりだけでは物を加速させる力がないので、物を動かすことはできません。何らかの力が必要です。その力は重いから下に落ちるでは説明になりません。重いからリンゴが落ちるのではなく引力があるから落ちるのですから、引力がない空間の曲がりだけでは、地球は公転できません。

引力があれば、空間の曲がりがなくても太陽系の運動は、ケプラーやニュートンの法則で過不足なく説明できます。引力が無く、空間の曲がりだけでは太陽系の運動は説明できません。

　空間の曲がりによる、もう一つの運動があります

問題３　光と重力（アインシュタイン）、光と万有引力（ニュートン）の関係

①　光と重力（アインシュタイン）の関係

　光は、重力によって曲がる。

理由

光は物質によって作られた空間の曲がりに沿って動く。よって、重力（空間の曲がり）で曲がる。

②　光と万有引力（ニュートン）の関係

　光は万有引力によっては曲がらない。

理由

万有引力は質量のあるものどうしの相互作用である。光は、質量がない。したがって、万有引力は光に作用しない。

問題４　重力による空間の曲がりと、光と、物質の関係

①　空間の曲がりと物質の動き

上に書いたように、物質は、空間の曲がりによって落ちるというのが相対性理論です。

②　空間の曲がりと光の動き

空間の曲がりは、曲がった空間の中の直線である、というのが相対性理論です。光は最短コースを取る。曲がりは直線であるから曲がりに沿って飛ぶのが最短コースである。光は曲がりに沿って飛ぶ。となります。この曲がりに沿って飛ぶ光を外から見れば、曲がって飛んでいるように見えるそうです。（空間は３次元世界の中で実際に曲がっており、実際に観測できるということです。３次元空間の曲がりを表すことができないから１次元落として２次元のゴム膜で表すといって、ゴム膜など持ち出して説明しているのですが、実際に３次元空間の曲がりが観測されているならゴム膜など必要ないということです）

したがって、光は重力によって曲げられるといえる。

　相対性理論による、これが光が重力によって曲げられる仕組みです。（これが重力は時間を遅らせるということにつながります）

　物質は、曲がりのへこみに落ちるが、光は、曲がりが直線だからそれに沿って飛ぶということのようですから、物質が空間の曲がりによって動く仕組みと、光が空間の曲がりによって動く仕組みは異なるということです。

　光は自分で動くことができるけれど、物質は自分では動くことができないから、他の力を必要とするという違いですかね。物質がどんな力を空間の曲がりから受けているのかは不明ですが。

問題５　光が曲がったという証拠

①　エディントンの観測

　光が曲がったという最初の観測です。

　日食のとき、太陽のそばの星の光を観測したら、光が曲がっていたという観測です。

考察１

光が曲がっていたというのは事実のようです。問題は、その光が曲がった原因が空間の曲がりであるということが証明されていないということです。他の理由を考慮していません。可能性のある原因をすべて考慮し検討するというのが科学の方法です。この場合はそれがありません。２０世紀最大の天才アインシュタインの予言通りだ、ということで他の原因については一切検討していません。科学としては一番間違いに陥りやすい方法です。

そこで代わって検討してみます。

この星の写真が撮られています。この星は太陽コロナの中に写っています。コロナは太陽大気です。大気は光を屈折します（地球大気によって光が屈折する現象が観測されていることを述べるまでもないでしょう）。したがって、この星の光も太陽大気によって必ず屈折しているはずです。

ところが、太陽大気による屈折については言及されていません。完全無視しています。科学者なら大気による屈折現象を知らないわけはありません。ちょっと科学に興味のある子供なら、蜃気楼や、逃げ水や、星のまたたきが大気の屈折現象であることを知っているのですから。

何故、エディントンほどの大科学者や、あの複雑な相対論の計算をなんなくこなす相対論者がそれを検討しないのでしょう。まさか、不利になることは無視するに限る、ということではないでしょうね。そうならそれは、計算はできるが真実を追求することができない、たんなる計算機にしかすぎません。

考察２

　エディントンの観測では観測値のばらつきがあった。

　このばらつきの原因

・　観測誤差という解釈。

　これが唯一の解釈で、他の解釈はありません。

ケプラーが、火星の公転軌道を決めようと５年以上掛かって、観測された火星の４つの位置を通る円を見つけた。これで完成したと思ったのだが、他の火星の観測値をいれてみると、その円の上になかった。ケプラーは、その誤差（８分角）を無視すれば研究は完成すると考えた。しかし、その８分こそが大切なのだとして、それを観測誤差とせずに、５年もかかった計算をまたやりなおした。それが、彼に楕円軌道を見つけさせることになった。その時、彼が５年もの計算の努力に負けて観測誤差だと考えてその８分を捨てていたら、彼は楕円軌道を見つけられず、間違ったままで一生を終えたかもしれない。

今のようにコンピューターも計算機もない時代の、軌道計算に毎日明け暮れて５年である、それをまた１からやり直したのである。

エディントンの観測した星の位置のばらつきを、相対論には邪魔だからと観測誤差にして切り捨てるのが相対論者ではないとは思いますが。なぜ相対論者は、観測値のばらつきを追求しないのだろうという疑問は残ります。

観測誤差だと片づけている相対論者は一体どれほどの計算をしたのだろう。単にデーターを見ただけではないのだろうか。ケプラーと、相対論者の違いだ。真実を見つける人と、たんに偉い人に追従する人の差のような気がする。

相対論者は考えないので代わりに、エディントンの観測が、観測誤差ではなく、正確な観測だったとして考えてみます。

ア　空間の曲がりが変化して、光の曲がり方が変化した。

空間の曲がりが変化するには、重力が変化しなくてはなりません。太陽重力が瞬時に変化することはありません。そんなことになれば地球の公転軌道も揺れてしまいます。そのような現象も、理論もありません。

ということはこの仮定はあり得ないということです。

イ　太陽大気が変動したために、屈折率が変化した。

　太陽大気は、活発な太陽活動のために激動しています。そのために、屈折率が瞬時に変化しているのは事実です。

　地球でも星の光がまたたいているのは普通の現象です。これは地球大気の変動による、屈折率の変化によるものです。上空の風が強い日ほど、星のまたたきが大きくなるということです。

　エディントンの観測値の違いは、太陽大気の変動による星の光のまたたき現象としたら、矛盾はありません。

結論

観測誤差としたら、この観測は何の意味もなくなります。また誤差とする科学的根拠はありません。太陽重力の変動はないのだから、空間の曲がりのために光が曲がったというためには観測誤差というしかなかっただけの話です。相対論者のえこひいきです。

　一方、太陽大気が原因とすると、何の矛盾もありません。物質が光を曲げるという理論もあります。地球の星のまたたき現象と同じ現象なので、実証もあります。

　エディントンの観測した星の光は、太陽大気による屈折現象といえます。相対論の証拠にはなりません。

②　重力レンズ

　銀河や銀河団によって遠くの光が曲がっている現象が観測されています。

これが、銀河や銀河団の重力によって空間が曲がり、遠くの銀河の光が曲げられたというのが、相対論者の意見です。

考察

重力以外の原因

　これも、物質による屈折現象である可能性があります。銀河にはそれを取り巻いて、かなりの範囲まで、ガスが観測されています。また、銀河団も、それをすっぽりと包んで水素を中心としたガスが観測されています。

　ともに、宇宙空間に浮かんだガスの固まりです。宇宙空間に浮かんだガスレンズです。この中を光が通ると必ず屈折します。

　このことを相対論者は無視しています。

　これまでに証明された原理で証明される現象を、他の異なる新たな理論の証明には使えないというのが科学の方法論です。それによると、重力レンズと言われている現象は、光の屈折によるとはいえても、空間の曲がりで生じているということの証明には使えません。２０世紀最大の天才が行っていることと同じだ、ということは科学としては論外の理由です。

よって、重力レンズといわれている現象は、空間の曲がりで生じたということは言えません。

おわりに

　重力波が、空間の曲がりか、万有引力かはこれからの研究に待つしかないと思います。でも誰も研究しないでしょう。なぜかアインシュタインに疑問を持つことはタブーになっているのですから。すべてを疑って見よ、が科学の基本なんですがね。相対論とインフレーションビッグバンは疑問を持ってはだめなんです。まさか、キリスト教ってことはないですよね。それじゃまるで中世の科学になってしまいますから。何にしろ、不利なことは無視するか、誤差にするかでは、科学ではない気がします。
　２０１６年１２月１０日