★診断を受けたら

診断を受け入れるには誰しも時間がかかります。徐々に受け入れられるようになってくると、子供のことが少し理解しやすくなるだろうと思います。彼らのとる様々な行動が自閉症の特性によるものだと分かれば、付き合い方のヒントを得ることが可能です。いろんな場面でどんな風に接したらよいのか、経験的にいろんなことが分かってきます。厄介な問題を解決する手がかりを様々な情報から知ることが出来るでしょう。


★療育について

自閉症そのものは治せないとすれば、どのように育てていったらよいのでしょうか?そこでよく療育という言葉が登場します。療育と言う言葉は指している内容がとても曖昧で、都合よく一人歩きしている感があります。自閉症の人達における療育とは、彼らがこの社会で生きていく中で生じる困難をより楽な形で解決できる術を身につけ、その人の能力を精一杯発揮しながら、その人らしく生きていけるようサポートしていくことだと思います。


★周りの人達は

周りの人達にもそういう症状を示す自閉症という障害を持つ人達がいることを知ってもらわねばなりません。正しい理解をしてもらうことが第一歩だと思います。例えば足の不自由な方のために街にはスロープが作られ、車椅子や杖という道具もあります。その不自由な足を治療する方法が無い場合、誰もその人に対して「自分の足で歩きなさい!他の人はみんな歩いているのだから!」とは言わないでしょう。そういう不自由さを持っていても、その人が不便だと感じなくてもいいように周りがサポートしています。

自閉症についても同じように考えることが出来ます。今は自閉症の人達にとって決して安心して過ごせる環境ではありません。彼らを「支える杖」になるものも無ければ、周りには「普通の人のように振舞いなさい!」という人達がたくさんいます。こういう環境が自閉症の人にとってどれだけ住みづらいか、自閉症の人の立場にたって考えてみて下さい。彼らも彼らなりに社会生活を送っていけるよう、精一杯努力しています。ならば周りの人も彼らを理解し特性に応じた支援を提供していくべきだと思います。障害を持つ本人や家族だけが大変な思いをするのではなく、周りの人達と力を合わせ、障害を持つ人にとっても住み良い社会を目指したいものです。

(「保護者のための基礎からの自閉症講座」より抜粋)
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