間に合え
間に合え
間に合え!
必死に屋敷への道を駆けながらそれだけを念ずる。
自分の愚かさを噛み締めつつ兎に角我武者羅に足を、手を動かす。
今だけはこの屋敷までの道のりの長さを恨む。
こんなに長い距離だったか?
今はこの距離が
たった数分で辿り着けるこの道が。
永久の長さにも匹敵する位に感じる。
まだ、まだ着かないのか。
息の切れ始めた体を酷使しながら坂道を駆け上る。
屋敷の方で微かに「魔」の者の気配がする。
遅かったか!
いや?
まだ完全には気配は消えてはいない。
俺が着くまで持っててくれ、頼む。
無事でいてくれ、秋葉!
がしゃーんとけたたましい音を立ててリビングの窓が砕け散る。
突然の事で何が起こったのか分からなかった。
翡翠と琥珀は窓際にいなかったお陰で傷は作っていないみたいだけど。
私は一瞬の判断の遅れで少しガラスを被ってしまった。
慌てて被ったガラスを振り払い、割って入って来たモノを探す。
ソレは、大きな
「犬?イエ違うわね、狼、かしら」
リビングに見慣れない獣が一匹。
それだけでなく
「いつからここは動物園になったのかしら?」
次から次へと我が家に侵入して来るケモノたちを牽制しながらごちる。
その数は時間と共に増えて行く。
私たちはそのケモノに圧される様に壁際に追い込まれて行く。
「翡翠、琥珀。貴方たちは直ぐに逃げなさい。
このままじゃ私たち三人ともケモノのご馳走になってしまうわよ」
私の後ろにいる二人に声をかける。
「どうやらこのケモノタチ。
何が目的か分からないけど
私たちを敵と認識してるのだけは間違い無い見たいだから」
「貴様たちには逃げてもらっては困るな。
だが、未だ食すつもりは無い。
まだ主賓が来ていないのでな」
ケモノタチの後ろから一際大きな人物が現れる。
真っ黒い
只真っ黒い闇が人の形を取ったのならこの様な人物になるのだろうか。
そんな黒い人物がそこに立っている。
「私たちはあくまで食事ですか。
いきなり人の家に入って来て、挨拶も無しですか、あなた?」
その人物を睨み付ける。
同じく、私も臨戦態勢になる。
紅い結界が徐々に包囲して行く。
「どうせ直ぐに我が獣に食われてしまうのだ。
名を名乗った所で覚えている時間も僅かだろう」
片目を瞑り、横柄に答える。
「そうですか。なら、意地でも聞き出して上げますわ!」
そう叫んで、檻髪を発動させる。
一瞬にして目の前が紅蓮に染まる。
不意を付かれたらしく、眼前のケモノタチはソレを交わす事も出来ずに
紅蓮の炎に飲み込まれて行く。
すかさずその隙を突いて翡翠と琥珀を逃がそうとする。
壁を回り込み、ドアへ向かい走る。
「逃がさん」
しかし黒い男がコートを翻すと体から次々にケモノタチが溢れ出す。
そして走っている私たちに向かって襲い掛かる。
「この!」
追って来るケモノを檻髪で略奪し、爪を逆立てて引き裂く。
私の腕が振るわれる度に
私の檻髪が略奪する度に
ケモノタチは少なくなるが。
ソレと同時に男から同じ数だけ補充されるので
一向に事態は好転しなかった。
イヤ。
逆に疲れを知らないケモノの方が有利になって来ていた。
幾ら倒しても倒しても無尽蔵に現れる相手にはこちらの攻撃など
何の役にも立たない。
結局又も壁に追い込まれてしまい、先程と事態は変わらなかった。
「違うな。
無駄な攻撃の為に貴様たちは疲労困憊だ。
だが、我がケモノタチは未だにこの数を誇っている。
最早貴様らは食されるだけの獲物に過ぎん」
「果たしてそうかしら?
窮鼠猫を噛む、って言葉ご存知?」
荒い息の下で私が強がる。
でも確かに今のままじゃどう仕様も無い。
玉砕覚悟で中央突破してもその後逃げる場所が無い。
ああ、これは確かに酷くマズイかもしれない。
「覚悟はいいか?
そろそろ主賓も着こう。
その前に食してしまうのも幾分惜しい気もするが。
致し方ない。
主賓が来た時の表情を見て置きたかったが」
一歩。
ゆっくりとした足取りで黒い男が私に向かって歩いて来る。
それと同じく。
周りのケモノも輪を狭める様にジリジリと追い込んで行く。
それはまるで
ケモノの狩り。
リーダーを中心にして獲物を追い込んで行き
弱った所で一斉に襲い掛かる。
狩られるのは私たち。
ケモノタチはこの狩りを楽しんでいるのだろうか。
負けない。
少なくともこの二人を逃がすまで。
一目兄さんを見るまでケモノの餌になってなんかやらない。
「ではさらばだ」
この声と共に目の前のケモノが一斉に踊り掛かって来る。
私も何とか応戦する。
爪で薙ぎ、檻髪で燃やし、蹴散らす。
けど。
どうしたって多勢に無勢。
私の方が遥かに分が悪い。
一匹倒す毎に私には傷が十個増える、と言った具合。
更に厄介な事に。
どうやら私の「檻髪」の盲点と言うか、致命的な弱点が知れたみたいで。
私の「檻髪」は視界に入る物全てを奪える能力。
だから、如何に襲われようが致命傷までは至っていないけど。
ケモノタチはソレが分かったらしく。
常に私の死角となる方向からの攻撃が格段に増えた。
今までは只目の前のケモノを屠ればよかったのに。
死角からの攻撃ではどうしても対応に時間がかかり
その結果。
完全に窮地に追い込まれてしまった。
「無駄な足掻きは止め、素直に食されるが好い。
足掻けば足掻く程、痛みが長引くだけだ」
そんな事言われたってハイそうですかって素直になれる訳ないでしょ。
傷だらけになりながら必死に応戦する。
翡翠と琥珀は私の後ろで小さくなってる。
無理も無い。
二人ともこんな修羅場は恐らく初めてでしょうし。
私だってこんな事は初めて。
兄さんと遣り合ったけど、こんな大人数は流石に無い。
「潔く諦めよ」
突然。
オトコの体から爪が伸びる。
ソレは私の横を器用にすり抜けて行く。
そしてその先には。
「翡翠!琥珀!」
慌てて振り向く。
が。
爪は狙い誤らずに正確に二人の胸を貫いていた。
ドスッと鈍い音がして二人が壁に磔にされる。
そしてここで隙を作ってしまった事が致命傷だった。
背中から腹にかけて衝撃が走る。
何事かと目を落せば。
そこには見慣れない物体が見える。
分かってる。
ソレが何か位は分かってる。
でも
信じられなかった。
信じたくは無かった。
真逆自分も翡翠たちと同じ運命になるだなんて。
「これで終わりだ」
死神が死刑を宣告するかの如くに。
重々しく呟く。
体を貫通してる爪が動く度、口から逆流した血が吹き出る。
更に、間が悪い事に。
この状態の時に、リビングのドアが大きく開かれる。
そのドアから顔を覗かせるのは。
「秋葉!!」
「兄さん!!」
ああ、矢張り兄さんだ。
私の幻覚ではないみたい。
あれだけ体が弱いのだから無茶はしないで下さいって言ってるのに。
肩で息をして、額には大きな汗。
ゼィゼィと息をしながら私と磔となっている二人を見て。
ゆっくりとした動きでその張本人を見る。
「てめぇ、生き返りやがったのか。
しかも俺のいない隙を狙って。よくも三人を」
音も無く、掛けていたメガネを外し。
ポケットからナイフを取り出す。
「我の事は先程知ったであろう。
今更そんな事言うのはおかしくは無いか。人間。
今暫く大人しくいていろ。
この者達を取り込んでから相手をしてやろう」
「そうは行くかよ!
もう一度今度こそ生き返れない位に粉々にしてやる!!」
ザシャ。
ナイフを構え、今にも飛び掛ろうとしている。
「貴様に今一度後れを取ると思うな。
あの時は不覚だったが、今度は状況が違う。
今の貴様には負ける気がせんな」
ニヤリと口の端を上げ、ワラウオトコ。
それで十分だった。
俺の中の殺人貴を覚醒させるには。
「コロス」
「まぁ、待てよてめぇら」
不意に。
そんな言葉が聞こえる。
「貴様?何者だ?」
「雑魚が吐く様な素敵な台詞を有難う、混沌」
ばきり、と腹から突き出ている爪を無造作にねじ切り、床に投げ付ける。
「あんたも少し頭冷やしな。
大丈夫、三人とも無事だ」
コキコキと首を鳴らし、大きく伸びをする。
「ム?もしや貴様」
混沌が突然豹変した俺に疑わしげな眼差しを向ける。
俺も腹の傷を確認してから、混沌へ向き直す。
姿は秋葉のままだが、確実に別人と言う事は理解出来たらしい。
「闇影か?」
幾分の疑惑の混じった口調で俺の正体を誰何する。
「御明察。
久しいな、混沌よ」
秋葉の姿をした俺が混沌に挨拶を交わす。
「あんた、誰だ?」
状況が飲み込めていない志貴が俺を誰何する。
今は七夜状態だから、俺も殺人対象になっているんだろう。
「君の味方さ。今の所はな。
用があるのはそこの混沌のみ」
パチン、と指を鳴らす。
ソレと同時に俺の姿が秋葉から普段の姿に戻り。
磔だった翡翠と琥珀はヒトガタの紙となり、燃えて消える。
そしてその三人の姿も何処からとも無く浮かび上がる。
壁際に三人固まって、小さくなっている。
ま、当然か。
三人ともこんな規模の戦闘には慣れていないだろうし。
とりあえずは精神的にはショックを受けているだろうが大丈夫かな?
「ホラ、三人とも無事だ。
ナイトならナイトらしく助けに行きな」
未だ事態が分からず呆けている彼を叱咤する。
俺の言葉に打たれた様に気を取り直すと
三人に向かい走り出す。
がしと三人を抱き締め、無事を確認する。
三人も余程我慢していたのだろう。
彼に抱き締められた瞬間
堪えていた涙が瞳から溢れ出す。
さて。
暫くはそっちはいいな。
問題は、俺の目の前のこいつ。
確かに以前と全く姿は同じ。
で、攻撃方法、手段も特記する事無し。
が
何やら企んでいそうな感じも受ける。
深読みし過ぎか?
「久しいな、混沌」
ポケットから煙草を取り出そうとしながら世間話の様に切り出す。
「真逆貴様がこの国に来ているとは思わなんだ。
何用でこんな極東にまで?」
全く自分が仕出かした事を理解していないのか、こいつ。
何でだと?
決まってるじゃねぇか。
「貴様を追って来たのさ?」
「我?
ホウ、この身の何に用があると言うのだ?」
「てめぇ、しらばっくれてんじゃねぇぞ」
ギンと睨み付ける。
「いい加減に戯言は止めな。
それとも本気で身に覚えが無いとでも言うのか、てめぇ」
煙草を吸おうとしたが、途中で止める。
こんな気分で吸ったんじゃ旨いものも不味くなる。
「フム、分からんな。何かしたか?」
これで完全にキレた。
「ふざけるなよ、てめぇ!
俺の親に喧嘩売ったろうがよ。
何処の世界でも親が恥かかされて黙ってる子供はいねぇぜ!!」
ギリリと、歯噛みする。
それで得心がいったのかニヤリと混沌は笑う。
「成る程。
では態々貴様はその文句を言う為に海を渡って我に会いに来たと言うのか」
まるで道化だな、とでも言うかの様に
クックックックと低く笑う。
だが。
俺もそんな混沌を一笑に付す。
「文句?
何を勘違いしてる、混沌。
誰が文句だけでこんな地まで来るかよ。
そんな戯れた真似したてめぇを殺しに来たんだよ」
ム?
混沌が片目を瞑り俺を見やる。
その目に嘲りの色が混じる。
「空耳だとは思うが。
貴様我を殺しに来たと言ったのか。
ソレこそ笑えない冗談。正に道化」
「道化で結構。
だが、その言葉今の貴様にこそ相応しいとは思わんか?
何が目的か知らんが、態々殺される為に敵を作って」
「我には我なりの理由があってここにいる。
貴様など預かり知らぬ、な」
さよで。
「だがソレも終わりだな。
一回死んだ身ならもう一回死んでも良かろう。
今一度俺に殺されな。そして誰に喧嘩を売ったかもう一度良く考えるんだな」
ヒュオ
俺の爪が唸りを上げる。
ソレを見て混沌も臨戦態勢に入る。
「無駄な足掻きを。
幾ら貴様であろうと我を滅するなど夢物語を。
貴様こそ今一度土に還るがいい」
瞬間。
混沌の腹から夥しい数のケモノが吐き出される。
そうこなくっちゃな。
舌舐めずりをし、身構える。
掛かって来いよ、ケモノが。
眼前に迫るケモノを前にして握っていた拳を開く。
そして!
「おうりゃぁ!!」
ブン、と下から掬い上げる様にして振り抜く。
その衝撃だけでケモノは全て消え去る。
間髪入れずに駆け出し、混沌に向かう。
その首叩き落としてやる!!
「無意味だ、闇影」
混沌が呟く。
又も上空に鴉、地には蛇やらケモノが吐き出される。
全く。
い加減飽きたぞ。
手品もネタが分かっていればどうと言う事も無い。
高速移動の為に体が掻き消える。
一瞬にして混沌の目の前から俺の姿が消滅する。
流石にソレは考慮していなかったのか。
辺りを見回す為に隙が出来る。
そこが甘いのさ!!
その隙を逃さず
上空から夥しい数の剣を奴目掛けて投げ付ける。
吐き出したケモノには目をくれず
本体のみを全力で叩く。
その間ケモノタチはその流れ弾に当たり数を減らして行く。
意図的に狙っている奴もいるが
今は混沌を仕留める事が先決。
これ位の事でくたばるとも思えないが。
動きを制限させる位にはなろう。
串刺しになった混沌を見て、更にこっちから接近戦に持ち込む。
相手はぴくりとも動かないが死んでない事は確か。
ならば最も確実な方法で殺す。
「ダメだ!!近寄っちゃいけない!!」
不意に背後から声が飛ぶ。
ああ忘れてた。
彼いたんだっけ。
今まで静かだったからすっかり失念してた。
で?
近寄るな?
笑わせるなよ。
「あいつはまだ動ける!不用意に近付かない方がいい!!」
「忠告アリガト。だがな!」
至近距離に入った刹那。
今まで死んだフリをしていた混沌が目を開く。
「喰われろ!!」
腹から何とかの一つ覚えの様に今度はワニの口が。
「消し飛べ!!」
こっちもそのワニの口目掛け拳をブチ込む。
ワニの口が閉じる瞬間に。
前以て仕掛けてあった魔法が発動し、奴の腹の中で爆発が起こる。
喰われる事も予測済み。
腕位、傷が付いた所で問題無い。
流石に直接内部への攻撃は効いたのか。
混沌の顔に苦悶の表情が浮かぶ。
額にはうっすらと汗が。
「貴様。
本気で我を怒らせたな」
「こっちは最初から本気だ。
ハナから本気でなかった事が貴様の敗因だ」
煙を上げ続ける拳を一振りして呟く。
復元するには少し時間が掛かるか。
ま、知った事じゃない。
「その体、膾と切り刻んでやる」
しゅらり
一本の剣を構え、混沌に突進する。
「自惚れるな。
たかがこの程度の攻撃で我を滅ぼせるなどと。思い上がるな!」
今までの余裕のある態度とは一変。
ケモノの本性を剥き出しにし、感情を隠す事無く。
俺に純粋な殺意をぶつける。
「思い上がってるのはどっちか。
教えてやるぜ、混沌」
繰り出されるケモノを一刀の下に切り伏せ、徐々に肉薄する。
目指すは本体のみ。
混沌もケモノだけではなく、自らの肉体を使って俺を迎撃する。
腕を振るい、足を使い体をぶつける。
肉弾戦なら勝てると思っている所が浅ましい
いや
愚かだ。
何年俺が死徒やってると思ってる。
俺の歴史は正に戦いの歴史。
何時いかなる時もソレこそ時と場所も選ばず。
ひたすら埋葬機関と戦い続けて来た。
その結果ここまでの力と地位を得た。
お前みたく安穏としていた輩とは根本からして違うんだよ。
俺の剣が振るわれる度に混沌の肉体の一部が削り取られて行く。
「理解したか。
俺とてめえの決定的な差って奴が」
切っ先をハナ面に突き出し、問う。
奴の体は宣言通り切り刻まれ、かなり縮小している。
だが、一欠けあれば復活できる奴。
幾ら切り刻まれ様が左程問題でも無いとは思う。
「何も言う事が無いならそのまま、死ね」
剣が真一文字に振られる。
狙いを外さずに首が切り落とされる。
ごろりと奴の首が床に落ち、燃える。
「さあ混沌よ。
もう一回甦って見ろよ。
何度でも甦るのがお前の売りなんだろ?
首切られた位でくたばるなよ?」
首無しの胴体に語り掛ける。
そして俺の言葉の通り。
切り離された筈の首が又同じ箇所に生まれる。
完全に元に戻ってからその目が開き。
俺をはっしと睨み付ける。
「貴様。やってくれたな?
この借り、高くつくぞ」
ハン、冗談。
それならば俺の方はお前が死んでもお釣が来るぜ。
「さてな。
貴様の借りなど知るかよ?
俺はてめぇが殺せればそれでいいんだ」
混沌は二、三度調子を確かめるかの様に首を振り。
「闇影、簡単に死ねるとは思わん事だ。
貴様には我が体内に生きたまま取り込んでくれる」
「出来るもんならやってみな」
俺も挑発する。
その言葉そっくりそのまま返してやるぜ。
又も俺が駆け出す。
混沌もソレを迎え撃つ。
手に持っていた剣でケモノを蹴散らしながら本体にその剣を投げ付ける。
混沌は飛んで来る剣を爪で叩き落とし、俺の突進に構える。
俺の武器は何もこの剣だけじゃないんだぜ?
投げ終えて直ぐに詠唱に入る。
そのまま腕を振り上げ脳天目掛け爪を振り落とす。
混沌も間近に迫った俺に向かい腹から一斉にケモノを吐き出す。
俺の爪が奴の脳天に刺さるのと同時に俺の体にケモノが喰らい付く。
だが。
噛み付かせたまま俺も魔法をブッ放す。
殆ど自爆の様なものだが、コレ位の至近距離で無いと効かないしな。
一気に俺と混沌が火達磨になる。
部屋中に人の焼ける不快な異臭が漂う。
「このまま俺と一緒に心中するか?
それとも喰い付いてる牙抜いて尻尾巻いて逃げるか?」
ニタリと笑いながら聞く。
「笑止。
貴様こそこのまま我と共に倒れていいのか?
まだ遣り残している事もあろう?」
ホウ、まだそんな減らず口が叩けるのか?
このまま脳みそ沸騰させてやる!!
脳天に刺さってる爪に更に魔法を充填する。
ググ、と力を込める。
「燃え尽きろ!!」
もう一回爆発が起こる。
又も炎が俺達の体を覆い尽くす。
灼熱の火炎が絶え間無く燃やし続ける。
やがてこれ以上の損傷は生命維持不可能と判断したのか
「クッ。
口惜しいがここは」
そんな事言いながら混沌が漸く俺から離れる。
「逃がすと思うか?この俺が?」
全身に纏っていた炎を右手に集約し。
今度はその燃え盛る右手でもって混沌に殴りかかる。
流石に今度喰らったらマズイと言う事は理解出来たらしい。
煙を上げ燻っていた体に鞭打って入って来た窓から脱出を試みる。
「逃がすかよ!!」
すぐさま俺も追い掛けるが、予想を遥かに超えた足の速さを見せ。
瞬く間にその姿を消してしまった。
クソッ。
ここで仕留められなかったのは痛手だな。
もう一回奴が襲って来るとは考え難いしな。
今度はこっちから出向いて仕留めるか。
体に付いた塵やら埃を叩きながらポケットから煙草を取り出す。
火を点けて大きく吸い込む。
そのまま紫煙を虚空に吐き出す。
ああ、やっぱ一暴れした後の一服は美味いなぁ。
暫し忘我の境地に浸る。
呆けたまま紫煙が揺らめくのを眺める。
紫煙が揺らめきながら天へ上がって行く。
不意に今まで一直に昇っている紫煙が突如、掻き消える。
疾風が、吹いた!
直ぐ様周囲の気配を探る。
!奴が消えた方角から殺気が。
野郎、戻って来やがったか。
この状態の不意打ちは中々に上出来だぜ。
殺気は物凄い勢いでこっちに迫って来る。
このまま呆として待っているのも面白くない。
ここで一気にケリをつけてやる。
吸っていた煙草を使い、虚空に文字を書き記す。
その文字はそのまま罠となり、又飛び道具ともなる。
もう少しで姿が見えるな。
こっちも準備は万端だ。
いつでも来な。
殺気が強くなる。
近い!!
徐々に殺気は俺に向かって来る。
あと少し、あと少し。
奴はもう直ぐそこまで。
そして
「RANGE IN VANISH!!」
奴が俺の罠に入った瞬間。
罠を発動させる。
入った瞬間に十間四方が燃え始める。
更にそこに対して俺の投擲。
そのエリアに絨毯爆撃宜しくアリの這い出る隙すら作らない。
縦横無尽に俺の剣が刺さる。
止めとばかりに燃え盛る炎を剣に絡み付かせる。
それを投げ付けようとした刹那。
ズドォォォォンと言う音と共に。
俺の足元に大穴が開く。
そして背後から、声が。
「そこまでです」
女?
振り被った剣を下げ、後ろを見やる。
大穴を空けた銃身で俺の背中をチクチクと突付く。
止めないと今度は俺の腹に風穴が開けそうな勢いだ。
「そこで止める事です、ナンバーナッシング」
「シエルよ。何だって止めるさ。
こいつは死徒だぜ。滅んだって別に問題無かろうが。
それとも何か?
あくまでてめぇの手で消滅させたいとでも?」
しかし第七位は頭を振る。
じゃ、何だって言うんだよ?
「今貴方が攻撃を加えてるのはネロ・カオスでは在りません。
まぁ私にとっては然程違いはありませんが」
?奴じゃないってなると、他にいるのか?
俺に対して殺気を向けて来る奴は?
そんな俺の疑問に答えるかの様に爆炎の中から
「いったぁ〜〜」
なんて声がする。
ハ?
その声は?
そして
その俺の予想通り。
濛々と煙る中から人間の影が見える。
徐々に人物の輪郭が明確になる。
姿は俺が敵として認識していた奴とはまるで違い。
女性のフォルムをしていて
所々焦げているのは御愛嬌か?
「いったぁ〜〜い」
体に付いた焦げ跡をポンポンと払いながら俺を見つけて
「あーーー!!よくもやったわね!!
私達の敵にはならないってのは嘘だったの!!」
と詰め寄ってくる。
……てめぇ、寝言は寝てから言いやがれ。
「てめぇこそナニ考えてやがる!
あんなに殺気ダダ漏れさせてりゃ、誰だって攻撃加えるわ!
でなくてもさっきまで野郎と一戦交えてたってのに」
ぐわしと俺の胸倉を掴んでいた彼女に対して反論させてもらう。
「だって
さっきまでここで殺気がしてたから、気になって気になって。
志貴だけじゃなくて妹たちだっているでしょ?
志貴も妹たちを庇いながらじゃ大変だろうと思ったら
居ても立ってもいられなくて」
ごにょごにょと赤くなりながら呟く。
まーまー
立派に恋するオトメしちゃって。
呆れてモノも言えん。
「赤目には逢わなかったのか?
ここにゃ俺が居るって奴には話して置いた筈だがな?」
「ええ聞きましたよ。
ですが
だからと言ってそのままにして置ける筈が無いでしょう。
そこで私達が先行して遠野君の屋敷に急行したと言う訳です」
がちゃり、と重苦しい音を立てて俺の後ろで銃身を下ろすシエル。
背後の銃身を見る。
……やっぱり。
幾ら止める為だからって第七聖典持ち出すなよ。
てことは。
俺の足元にブッ放したのはこいつか?
冗談にも程があるぞ。
コレを喰らったら洒落にならんだろ?
しかし。
チラと姫さんを見る。
あんまり効いてなさそうだな。
所々服が焦げているだけで体には余り傷が無い。
直ぐにコレ位の傷じゃ直るって事か。
じゃ、真祖クラスを滅殺するには
もっと威力を高めないといけないと言う事か。
「でもってさ。
赤目の奴はどうした?こっちには来ないのか?」
消えてしまった煙草を捨て、新しい煙草を吸い始める。
はぁーーー美味いなぁ。
「何でも役は済んだと言う事で。
貴方によろしくと言ってましたよ。」
あっそ。
「ソレで志貴たちは?無事?」
姫さんに無言で部屋の隅に居る彼らを指す。
ああそっか。
彼らは俺達が顔見知りとは知らないから。
呆然として俺達の遣り取りを見ている。
姫さんは直ぐにスッ飛んで行く。
向こうで怪我なんかしてないかとか色々気遣ってる。
ホント人間臭くなったな?
シエルも同じく大丈夫ですか、とか言ってる。
怪我はしてない筈。
精神的ショックは大きいかも知れんけど。
暫くすれば収まるだろ?
さーて
そんじゃ俺はトンズラさせてもらうかな?
ここにいてもこれ以上は奴は襲って来ないだろうし。
ボチボチ、寝床に戻るとするか。
ボリボリと頭をかいて割れた窓から屋敷の外を一瞥し。
そのまま立ち去ろうとする。
「あ。待って下さい」
誰かが俺を呼び止める。
んー?
首だけ振り向く。
現遠野家の当主とか言ってた娘か。
「あ、あの」
近場で言ってる割にはチト遠いな。
俺は聞こえるけど。
そんな小声じゃ聞こえんぞ?
仕方ないな。
こっちから出向くか。
がしゃりとガラスの破片を踏み砕きながら近くに寄る。
結構派手に割られたな。
コレは掃除が大変だ。
「あ、あの。
その、ですね。先程は、私達を」
秋葉とか言ったけか、この娘。
何やらプチプチと呟いてるが。
それに俺と視線を合わせようともしないし。
横にいる和風メイドも同じ顔をしてる本格式メイドもやや青褪めてるか?
直ぐにワインを持って来ると三人に飲ませたり、嗅がせたり。
流石にシエルはこう言う事に手馴れてるな。
気付けには最適だからな、ワインは。
秋葉もシエルから貰ったワインを一口飲んで
気が静まったのか。
口調も幾分落ち着いたものに変わる。
「先程は私達を助けて頂き、有難う御座いました。
そして、当初の非礼もお詫び致します」
そう言って深々と頭を下げる。
詫びられても困る。
打算があってこっちはここに来たんだし。
庇ったのもここで死なれちゃ後々拙いからであって
君ら個人を守ろうとした訳でも無いのだが。
まぁ、恩義に感じてくれているのならソレはソレで構わないけど。
「でさルーク。ネロはどうなったの?」
痺れを切らした様に姫さんが話しに割り込んで来る。
えい、行儀が悪いな。
「瀕死の重症って所ですか、暫くは動けない位に。
ですが。
逆にその方が危ないかも知れませんね。
手負いのケモノは怖ろしいですから」
何やら含みを持たせた言い方をする。
手負いのケモノは確かに怖ろしいが。
……ああ成る程。
俺が余計厄介な事をしたって言いたいのね。
「悪かったな、七位よ。
さっきで仕留められなくて。
へーへ、じゃ奴の寝床探してそっ首落して来ればいいんだろ?」
ふぅぅ、と煙草の煙をシエルの面前に吐き出す。
まともに煙を被り、ゲホゲホと咳き込む。
「誰もそこまでは言っていません。
被害妄想があるのではないですか?ナンバーナッシング?」
涙目で言っても説得力が無いぞ?
「とりあえず。
助けてくれた事は感謝する。有難う」
スッと一人俺の前に進み出る彼。
「で。そう言えば、さっきも聞いたが。
あんた何者なんだ?」
幾分冷たい眼差しで俺を見つめる彼。
ほぅ。
これが「直視の魔眼」か。
確かにコレは珍しい。
「俺か?
俺はさっき会った混沌と同種さ。
そしてそこの姫さんと天敵同士でシエルとも敵対関係にあるな。
赤目には逢ったんだろ?奴と同じさ」
「遠野君。
彼は「ナンバーナッシング」
27祖には入っていませんが、七位:アルトルージュの子供です。
死徒である事は間違いありません」
シエルが補足説明な事をしてくれる。
ソレを聞き、あからさまに俺に敵意を向けて来る。
「その同じ死徒が何だってネロと敵対してるんだよ?
同じ仲間なんだろ?」
「あのね、志貴。
ルークは死徒って言っても今まで人間を襲ったりはしてないのよ。
あくまで行動目的は「アルトの為」だから。
それで今回ここに来たのはネロがアルトを襲ったからなんだって」
姫さんが彼に事情を説明する。
コレは驚いた。
姫さんは俺が人を襲ってない事も知ってたとは。
シエル辺りがそこら辺の情報、リークしたのか?
別に知られても問題がある訳じゃないけど。
「死徒なのに人を襲ってない?
だったらどうやって今まで維持して来たんだ?」
「衝動が起こったら取り合えず暴れる。
落ち着くまで暴れに暴れる。ソレの繰り返し」
事も無げに言い放つ。
相手は呆気に取られてる。
そりゃそうだろうな。
普通、俺ら死徒ってのは人間を襲って維持して行く者だから。
でもな
俺には他の死徒と違って明確な目的がある。
その目的の為にならどんな事でも我慢が出来る。
この衝動だろうが。
奴らへの殺意だろうが。
「確かに。
今までの報告では彼が吸血したと言う報告はありません。
それはそこのあーぱーと同じです。
そして彼に襲われたと言う人間の報告も受けてはいませんから」
埋葬機関であるシエルが言うのなら間違いは無いだろう。
彼も大人しくその意見を聞き入れる。
「じゃ、何だってこの屋敷に来た?
ネロが目的なら別に来る必要は無かったんじゃないのか?」
「奴の目的の一つには君への復讐がある。
ならば必ずここには来るさ。
ソレともう一つは君にも用があった」
俺に?
そんな独り言を呟く。
そう、君に用があったのさ。
類稀なる殺人貴である君にね。
七夜の暗殺術を仕込まれた肉体と。
稀代の「直視の魔眼」を併せ持つ君と言うニンゲンに。
「ルーク、真逆とは思うけど。
貴方、最初から志貴が目的でこの国に来たんじゃないでしょうね?」
本気モードに入りそうな位の殺気を帯びた声色。
俺が少しでもオカシナ真似をしたら瞬殺しそうな勢いだ。
「目的は目的でしょう、アルクェイド。
知らないのですか貴女?
貴女の姉の護衛の一人は文字通りの不死です。
なので今まで誰も彼を封印出来なかった。
ですが。
遠野君の持つこの魔眼ならばその特異性ですら「殺せ」るのです。
彼が遠野君に接触しようとしたのはそ当然ですよ」
ですよね?ナンバーナッシング?
と、シエルが俺に問いかける。
うーん。
尽く読まれてるな。
奴を殺すにはこの魔眼並みのもので無いと無理だってのは
前々から知っていたから。
ではソレを入手するにはどうしたらいいのか?
こんな貴重な「魔眼」はそうそう歴史上にはお目にかかれない。
よしんば持っていた者がいても直ぐに「発狂」や「短命」で終わってしまって。
こっちが辿り着くまで生きていた試しがない。
死体にはその魔力は残ってもいないし。
だから
この国にその魔眼の持ち主がいると聞いて混沌の事もあったが。
逢いに来たってのが目的。
「それでどうするのですか。
その魔眼は彼でないと使いこなせません。
今まで人を襲った事の無い貴方ですが、彼の血を吸って僕とさせますか?
それとも同意の下、彼を連れて行きますか?」
又痛い所を突くな、こいつ。
当然只逢う為に来たんじゃ無い。
奴を殺す為にはさっきシエルが言っていた方法を取らないといけない。
だが
こう先回りをされてしまっては。
話し合いで解決も出来やしない。
しまったな。
こいつらに話して置くべきじゃなかった。
予想外だぜ、コレは。
「俺はもうそう言う騒動はこりごりなんだ。
悪いけど、他を当たってくれよ」
きっぱりと。
だが
反論をさせない気迫も篭っている。
コレは翻意させるのはかなり難しいか。
ガシガシと頭をかく。
「ああ、前の吸血鬼騒動の時に君の同級生が巻き込まれたんだよな。
弓塚、とか言ったか?その娘」
弓塚。
その単語を聞いた瞬間。
抑えていた殺気が開放された。
間違い無く敵だ、と目が俺に明確に語っている。
「……先輩。俺が幾ら無鉄砲でもこいつには着いて行かないさ」
蒼白い炎が瞳に灯る。
これが
直視の魔眼。
成る程、正に死神って感じだな。
普通の人間なら魂を握られた様に怯えるだろうて。
「その人の名は軽々しく口にして良い名じゃない」
こっちの都合などお構い無しに。
完全にヤル気だな。
少し挑発して見るか。
「ここで暴れていいのか?
君の大切な人たちがいるんだろ?」
「構わない。どうせ直ぐに終わる」
大した自信だ。
即答で返して来るとは。
「無駄口叩いてる暇があると思うなよ」
そう言って彼は構える。
やれやれ。
コレは願っても無い事だ。
シエルの所為でこっちの計画が頓挫したと思ったら。
相手さんからノッて来てくれたとは。
なら
お相手しないと失礼だよな?
ニヤリと哂うと持っている煙草を投げ捨る。
ソレを合図に両者が動き出した。
NEXTSTORY
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月詠:ハイと言う事で、四話目です。
ルーク:よく続くな、コレ。
秋葉:続きますね。
シエル:更に先が見えませんねー。
アルク:見えないねー。何処まで行くんだろ?
琥珀:あはー。それはやっぱり<以下自主規制>
翡翠:姉さんソレは読み過ぎです。ですから自主コードにかかっています。
志貴:で?あの後どうなるんだ?
ルーク:ソレを今言ってどうする?読む意味が無くなるだろう。
シエル:でも遠野君の無鉄砲も呆れますねー。
アルク:あ、ソレは私も思う。
琥珀:どうしてですか?
秋葉:真逆兄さんに限って負けるとでも。
翡翠:志貴様の魔眼は敗れないと思いますが。
シエル:確かに魔眼があり七夜の暗殺術がある遠野君は惨敗はしないでしょう。
秋葉:ならどうしてですか?
アルク:相手が悪いよ。ルークはそれこそ腕一本でここまで来た死徒だから。
琥珀:武闘派って奴ですか?
ルーク:俺には下僕ってのがいない。いつでも頼れるのは己自身のみ。
翡翠:魔術師から不老不死を、と言うのとは違いますね。
シエル:彼の死徒としての歴史は私達との戦闘の歴史でもあります。
アルク:かなりの異色よね、ルークって。
秋葉:それでは前回出演された赤目さんとも?
シエル:彼も埋葬機関としては黙認せざるを得ない存在です。
琥珀:そんな人なんですかー。
翡翠:一体そんな人とこの人、何処で意気投合したのでしょう?
ルーク:惨い言い草だな。奴とは以前美味い酒奢ってやったからそのお返しだ。
志貴:ソレだけの為に態々ネロと戦ったのかあの人は。
秋葉:神らしいですから、彼は。気紛れじゃないですか?
シエル:そう。神クラスになるとこちらでも迂闊には手を出せません。
アルク:だからあたしも黙認ー。
琥珀:今回は戦闘メインとか言っておきながらそうでも無かったですねー。
翡翠:姉さんぶっちゃけすぎです。
志貴:しかもまだコレを続けるらしいし。
秋葉:今度は兄さん対ルークさんですか?
シエル:そしてネロの最後まで行ければいいですね。
アルク:無理だと思うにゃ〜。
ルーク:次回でネロを追い詰めて<以下自主規制>か?
琥珀:あ〜。ルークさん「めっ」ですよ〜。
翡翠:ルークさんにも自主コードを使用させて頂きます。
志貴:でもネロって俺で無いと殺せないんだろ?
シエル:彼ならソレこそ消滅させる事も可能です。
アルク:今のあたしなら同じくー。
秋葉:兎に角次回を待て、と言う事ですか。
琥珀:あはー。今度は何時書き上げるのでしょうねー。
翡翠:ですから姉さん。ぶっちゃけ過ぎですってば。
ルーク:まぁこの調子だと、来年か?
シエル:何をバカな事を。
アルク:んー?どうだろ?この作者ならありえるかもよ?
秋葉:ありえますね。
志貴:幾ら何でも来年には五話は上がるだろ?
琥珀:問題山積ですねー。
翡翠:姉さん楽しそうですね。
琥珀:人の不幸は蜜の味ー。
シエル:流石は割烹着の悪魔。
アルク:でもさー。
秋葉:何ですか?
アルク:コレ何話で終わるんだろ?
一同:………………………
アルク:アレ?
ルーク:……さてそれじゃな。俺は先に上がらせて貰うぜ?
シエル:私も続きますね。
秋葉:翡翠琥珀、私達も戻りますよ。
翡翠:早く屋敷の掃除をしないと。
琥珀:私もしますよー。
志貴:イヤ、琥珀さんはしなくていいから。
アルク:アレ?皆なんで帰っちゃうの?
月詠:おまいも早く帰って台本読んどけ。
アルク:アラいたんだ。
月詠:いたよ。
アルク:そ。んじゃ帰るねー。
月詠:セリフトチるなよー。
アルク:じゃーねー。
月詠:さてソレでは簡単ですが又次回のここでお逢いしましょう。