俺の育った村は山奥の小さな村で。
村人って言ってもホンの数える程度の人間で。
皆家族みたいなものだった。

そんな中で俺の家族は親父にお袋。
それと妹の四人で暮らしていて。
貧しくはあったけど、それなりに平和な日々だった。


そんな村の中で俺は一番の猟師だった。
村だけでなく近隣の村や町の猟師よりも腕は上だった。
使う得物は主にナイフやダガー。
弓などは余りかさばるので持ち歩かない。
何より普段から使い慣れている物の方が良い。

当然他にも猟師もいたが
村人の殆どは、衣服を織ってそれを町に売ったりもしていた。
まあ取り立てて特別な事をしている村でもなかった。
何せ、吸血鬼や狼男の噂が格好のネタになる位に平和でのどかな場所だった。


ある日。
俺が少し山奥の狩場まで入った時。
嫌に獲物が少ない事に気が付いた。

いつもは探せば見付かる筈がその日に限っては
どこにもいなく。
絶好のポイントの水飲み場にすらいない。

そう言えば山に入った時から小鳥の囀りすら聞いていない。
もしかして何か起こったのか?
それにしても変だ。
動物が一斉にいなくなるなんて。

結局
一日探し回ったけど。
その日は完全に空振りだった。


ボウズで帰路に着き、村が見え始めた頃。
村から見慣れない二人の人物が歩いて来た。
しかもその二人は俺の家から出て来たらしい。


二人ともこんな村には似つかわしくない。
言うなれば「貴族」とでも言うのだろうか。
高貴な人、そんな風な人だった。

擦れ違う際、チラリと顔を覗きこむ。
一瞬目が合うが。
直ぐに視線を外し、立ち去って行った。


暫くその二人を目で追っていたが。
差して気にせず村に戻った。



その日、親父たちにその人の事を聞いたが。
別に何でも無いとしか言わず。
妹も何かに怯える様に部屋から出て来ず。
村の人間も気味悪がって余り近寄らなくなって行った。

その日から、アレだけ家族同然で暮らしていたのに。
手の平を返した様に冷たくなった。

どこの誰かは知らないけど。
あいつらが来てから
まるで俺たちを腫れ物でも扱う様に。
羨望の眼差しが何時しか奇異の眼差しに。

そんな眼を避ける様に
親父たちは家から出なくなり、ソレが更に誤解を招き。
俺は逃げる様に山に篭るようになって。
村に帰るのは数日置きになって。




だから。
村で起こっていた惨事を免れたのかも知れない。





暫く振りで村に降りて来た俺の目に真っ先に飛び込んで来たのは
無残にも姿を変えた村人たちだった。

道に倒れているヒト・ヒト・ヒト。
首が無いものや、胴体が真っ二つなもの。
手足の無いものや、只の肉塊に成り果てたものまで。
奇怪な、前衛的なオブジェと呼んだ方が良い様なものも。

ソレが自分の顔見知りとは思いたくなかった。
それらの亡骸を見ないようにしてひたすら走る。
自分の家に。


その時、フト思い浮かぶ。

以前話題になった吸血鬼や狼男の事。
真逆この村がそんな奴らに襲われたのか?
そんな想像をしてしまう位村人たちの死体は酷い有様だった。

もしそうなら俺の家族は無事だろうか。
無事を祈りながら息を切らして駆け込む。


漸く自分の家が見え、扉を力任せに開け放つ。



「親父、お袋!無事か!」
直ぐに家族の安否を確認する。

が。
予想を裏切り、誰の声もしない。
家の部屋と言う部屋を開けるが。
誰一人の姿も見えなかった。


最悪の事態が脳裏を過ぎる。
慌ててそんな邪念を振り払い。
無人の家から出る。


ぼんやりと変わり果てた村の風景を眺める。
俺が山にある間、何が起こったんだ?

当てもなくブラブラと廃墟を彷徨う。
もう家族の安否は気遣っても無理だろう。
村の至る所がこの有様じゃ生存者だっていやしない。


村の中央の公園に辿り着き。
噴水の縁に腰をかける。
いつもならココも子供や爺さん婆さんたちで賑わっていた。

もうそんな面影すら残っていない。
ココは、この村は、只の墓場、だ。


項垂れて地面を見る。
でもその眼には何も映らない。
ただソレを見ているだけ。

じゃり。

不意に前方の方で足音がする。
生存者か、それともこの惨事の主役か。


顔を上げる。
逆らえる筈なんて無いし。
いっそこのまま殺してくれ。


だが。
予想に反してソコに立っていたのは。


「アリス・・・・アリス、無事だったのか、お前!!!!」

アリス。たった一人の俺の妹。
もう殺されていたとばかり思っていた肉親。

妹の無事を確かめたくてぎゅっと抱きしめる。
今までどこにいたのか、体は冷え切っていて、まるで氷のようだ。

「どこにいたんだ、いやそんな事は良い。
無事か?どこも怪我してないか?」

アリスの体を見る。
確かに多少服は汚れているが目立った外傷は見えない。


アリスを噴水の縁に座らす。
その前に屈み込み、顔を覗き込む。
疲労の色が見えるけど、比較的元気そうだった。
奇跡と言っても良いくらいだ。

「大丈夫か?もう大丈夫だからな、お兄ちゃんがいるから。
例え吸血鬼とかが来ても何とかする。
だから、アリスは早くココから逃げろ。確か隣の国に親戚がいる筈だから」


ぎゅっとアリスの手を握り話す。
俺なんかで相手になるとは思わないけど、足止め位は出来るだろうし。
それに兎に角一回位はそいつのツラ拝んでやりたい。


アリスの手を離して袖の中に隠してあるナイフを触る。
右に三本、左にも同じ、後は予備として腰に二本。
果たしてこんな普通のナイフで戦えるのか分からないけど。
けど最後まで戦い抜く。


「アリス。
早く行け。今はいないみたいだし。
見付かる前にさっさと行け」

未だに立ち上がらないアリスを叱咤する。
流石に今までの疲労や精神的なものとかあるかも知れないけど。
この場にいる方がもっと危ない。
いつ見付かるか分かったもんじゃない。


「お兄ちゃん」
不意に呟く様にアリスが話し出す。
緊張していた分、背後からの呼びかけにどきりとする。


何事かと、後ろのアリスを振り返る。
朧気に立ち竦んでいるが。

何か、巧く言えないけど。
何かが違う。

俺の記憶の中のアリスとは違う。
決定的などこか、が。


「お兄ちゃん。ゴメンネ、ゴメンネ」

ヒック、ヒックといきなり泣きじゃくり出したアリスに。
驚きと戸惑いが綯い交ぜになったまま。
呆然と妹を見ている。

「いきなり泣き出して、何があったんだ?
怖いのか?心配するなって、大丈夫だから」
何とか泣き止ませようと必死に宥めるが。
効果は無く、ただアリスはずっと泣きじゃくるだけで。

「お兄ちゃん、私ね。
私がね、この村の皆、こんな風にしちゃったの。
ゴメンネ、ゴメンネ」

・・・・・・・・何?


一瞬。
自分の耳を疑う。


今、アリスは何と言った?


自分が、アリスがこの村の惨劇の主人公だと言うのか?
この一人震えている妹が?


ありえない、そんな事、間違っても。


「アリス。自分が言った事分かってるのか?
何でお前がそんな事するんだ?
しっかりしろって。
一時的にパニックになってるだけでそう思ってるだけだって」


「ううん。
違うの、お兄ちゃん。
私、ハッキリ覚えてるの。私がした事。
だから間違いじゃないの。
コレは全部私がした事なの」

そう、ハッキリと断言した。


最早、何も言えない。
どう諭していいものか。

イヤ、諭すなんて生易しい事ではない。
どうして、こんな事を。


「アリス。
コレはお前がしたとしよう。
でも、何でだ?
いきなりなんでこんな事を?
俺の知ってる限り、アリスはそんな事をするような子じゃなかった」

アリスの目を見て話す。
俺の知ってるアリスはそんな事出来る筈も無い。
虫すら殺せない女の子だった。


「お兄ちゃん、覚えてる?」
そう言ってアリスはゆっくりとした口調で話し出した。


「この前、お家に二人、お客さんが来たでしょ。
あの人たち、実は吸血鬼だったんだ。

でね。
その人たちが来て私に対して
「貴方は我が吸血鬼、死徒の王となる素質がある。
貴方にはその器になって頂く。
今は分からなくともその時がくれば自ずと分かります」って。

その時はこの人たち何言ってるのかテンで分からなかったわ。
でもね、それから幾日か経った夜。

その夜はとても綺麗な月夜で。
とてもとても綺麗な「朱い月」だったの。

その月をじっと見ていたら、私の体の中でナニカが騒いだの。
ソレが何かは分からないけど。
狂ってしまいそうなくらい、オゾマシイ衝動。
私の中のもう一人が目覚めるような、何とも言えない狂おしい感情。

それから先は余り覚えていないの。
多分気を失っていたんだと思う。
頭が真っ白になってその時の記憶だけポッカリ無いの。

でも。
意識が戻ると、私の手は血で朱に染まってて。
目の前には、父様や母様の・・・・・・・・
ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ・・・・」

ポロポロと大粒の涙を零しながら
アリスが今までの辛い過去を吐露する。
ソレを聞いてて何度も
「これは夢だ、タチの悪い夢だ」って
思い込みたかったが。

どうしても言えなかった。
今のアリスを見てソレを否定する事はどうしても出来なかった。

「だから。
私、コレはやっぱり夢じゃないんだって。
本当の事なんだって思うようにしたの。
だって・・・
最初の頃はコレは夢だって思っていても。
目を開ければ
無残にもそんな希望は引き裂かれ、自分の犯した罪が広がってるの。
それに、何故だか無性に喉が渇くの。
お水を飲んでもダメ。
無理にお酒も飲んだけどそれでもダメなの。
何を呑んでもこの渇きは癒されないの。
・・・・分かってるの。
ソレが何で渇いてるか、何を求めているかも」


アリスの話が本当だって言うのなら。
今アリスが最も欲している液体と言うのは。
おそらくは。

「だからその渇きを癒す為に。
数多の罪を重ね、その渇きを潤したのか?
・・・・・血を飲んだのか?」

しかし
アリスは俺の言葉を否定する様に。
フルフルと首を振る。

「飲んでないわ。
とても魅惑的で美味しそうだったけど。
何とかその衝動だけは我慢したわ。
でもソレを意識すればする程、気が狂いそうになるの。
その衝動を我慢しようとして・・・・・・意識を失うの。
気が付くと、目の前には死体の山。
この数日間、ソレの繰り返しだったわ」


そうか・・・・・
じゃ、アリスは血を飲まない限りずっとこの惨劇を繰り返すのか。
いや
果たして血を飲んでもその衝動は収まるのか、疑わしい。

「なぁアリス」

「もし、いいか、もしだぞ。
もし、血を飲めばもう苦しむ事は無いのか?
その衝動を抑え続ける事は出来るのか?」

自信が無いのだろう。
多分、と小さく答える。

「あの人たちはそう言ってたけど。
そして
そしてソレによって
貴方の愛しい人は永久に貴方と一緒にいる事が出来るのですって」

酷ぇ、何て安っぽい嘘だ。
今時田舎の詐欺師だってそんな嘘吐かねぇぞ。
それでも今のアリスにはバレる事は無いだろうが。
汚ねぇな、遣り口が。

ふぅぅぅ。
大きな溜息が出る。

「・・・・・いいぜアリス。
俺の血を飲めよ。
それでアリスが苦しみから解放されるなら、安いものさ」

両手を広げ、アリスに向かい微笑む。

「イヤ。そんな事出来ない。
だってそんな事したらお兄ちゃんはどうなっちゃうの?
私、お兄ちゃんを失ってまで生きたいとは思わない。
飲まなくちゃいけないならこのままでいる」

確かに血を吸われたら俺は死んでしまうのだろうか。
それとも奴らの言葉が正しいのなら。
俺は永遠にアリスと一緒に吸血鬼として生きるのか?

死んでしまうならソレまで、だ。
もし死徒とやらになるのならソレも俺の運命って奴なのだろう。

「死ぬか生きるかは、半々だろうな。
けど、どの道、アリスをこのままにしておくなんて事は俺には出来ない。
分の悪い賭けかも知れないけど。
それでアリスが救われるなら、俺は喜んでこの身を捧げるぜ」


アリスは、俺の話を聞いてる間、俯いていたが。
やがて、顔を上げると。


「じゃ、じゃ、必ず私の所に来てね。
いつまでも待ってるから。ずっと待ってるから。
お兄ちゃんが来るのを待ってるからね」


泣きながらもニコリと微笑む。
妹ながらにその笑顔はとても綺麗で。


ああ。
俺は本当にこの笑顔が好きなんだな、と今更になって実感した。
ソレ位アリスのその笑みは魅力的だった。
そしてその笑顔の為になら俺はどんな事でもしようとも確信もした。






暫く無言の時が過ぎて。




アリスも漸く決心したらしく。
何度もゴメンねゴメンね、と呟きながら。
俺の方に歩み寄って来て。
アリスの吐息が俺の首筋に掛かる。

その直後、首筋に鋭い痛みと、全身を覆う脱力感。
目の前が真っ黒になっていく中で
ひたすらアリスの謝罪が遠くの方で聞こえていた。










ソレが俺がルークと言う名前の人間であった時の最後の記憶だった。










・・・・・まぁ。
その後、メデタク俺は蘇り、死徒の姫君となったアリスを探して西へ東へ。
その間、少しでもクサイと思った事件には
首を突っ込んだお陰で色んな要らない知識から何から身に着けたけど。

結局。
丸二十年近く掛けて漸くアリスをドイツで見つけて。
姫君となっていたらしいアリスはソレに見合ったそれはそれはご立派なお城に住んでいて。
今までに聞いていた噂では完全に統べる者としての風格を持っていた。
で、ソレを実際に目の当たりにした訳で。

久し振りに会った妹は。
もう俺の記憶の中の妹は違っていた。
が、俺の事は覚えていたらしい。
俺を見て微笑んではくれたし。

更に、その姫君の横に傅いていた護衛の二人は。
俺の村に来たあの時の二人で。
自分たちの計画が見事に進行していた事を教えてくれていた。
妹を挟む様にして、黒い騎士と白い騎士が。

その二人とも。
真逆俺が蘇るとは思っていなかったらしく。
俺の姿を見て酷く驚いていた。

「ほほう、真逆生き返る者がいたとは驚きだ。
その生命力は我ら27祖に匹敵すやも知れぬな」
黒い騎士が笑う。

「だが笑い事ではないぞ。
この短期間でここまで成長しているとなると。
我らの計画の妨げにもなろう」
その反対側に控えていた白い騎士が諭す。

この二人は死徒の中の「27祖」と言う輩で。
黒い騎士が「6位:リィゾ=バール・シュトラウト」
白い騎士が「8位:フィナ=ヴラド・スヴェルテン」
と言う名前らしい。
その時はそんな事は知らなかったけど。

兎に角やたらと二人のツラを見ていたら
俺の中で何かが激しく狂い始め。
全てを破壊したくなる様な、猛烈な殺人衝動。
「てめえら、さっさと俺の前から消えろ。
さもないと、コロスぞ」

必死に暴れ狂う衝動を抑えていた俺が二人に宣告する。


「笑止。
たかが百にも満たない死徒が我らを殺すだと。
何とも笑えない冗談だ」

「少年。君の方こそ早く立ち去り給え。
もうここにおわす方は君の知る人ではないのだ。
折角生き返ったその命、有効に使った方がいいぞ」


あくまで俺の言う事など聞く気が無いらしい。
なら、構うか。


「シネ」

瞬間。
俺の姿が掻き消える。

次に姿が見えた時は。
ヴラドの目の前。
振り上げた爪で力任せに頭から引き裂く。

いい感触がして、縦に三本の赤い線が走る。
不意を付かれたヴラドは無抵抗のまま、その斬撃を喰らい。
その場にくず折れ、昏倒する。
見舞った俺もその傷がかなりの深手だったと言う事が実感できる。


直ぐに俺はその横にいるリィゾにも踊りかかる。
横にいた同僚のヴラドを見ているだけ有って
反撃しようとはするが。
向かって行った俺の姿が又消える。

横に振るった剣が虚しく空を切る。
すかさず何処に消えたか探るが。

甘い。


頭上から一本。
又一本。
突然、雨の様に降り注いでくる剣。
しかもソレは途切れる事無く降り注ぐ。
空中で静止してリィゾ目掛け豪雨の如くに浴びせ続ける。

流石にアンデッドだけあってそう簡単には死にやしないが。
体中に剣が刺さって身動きが取れなくなった。

ソレを見て漸く俺も地上に戻る。

と。
傷が癒えたらしいヴラドが俺に反撃してくる。
まだ多少赤い線が見えるが、血は止まっている。
こちらも手にした剣で薙いで来る。

遅い。

そのスローな動きを寸でで交わし。
鳩尾に拳を一発。
僅かにヴラドの体が浮き上がる。
更に。
今までの経験から覚えた魔術を使用する。
メリ込んでいた拳が俺の呟きで燃え上がる。
瞬く間にヴラドは火達磨となり、床を転げ回る。


「少年。
何処でそんな力を」
虫の息のリィゾが問う。

「答える必要があるのか?
お前らは俺の敵だ。
死徒って言う大枠なら身内だが、それでも手前らは許せねぇ。
今ここで完全に滅ぼしてやる」

床でのたうち回ってるヴラドを足で踏み付け。
その首に狙いを定め、ナイフを構える。

「お待ちなさい」
ここで今まで一言も話さなかったアリス、いや
今はアルトルージュって言うのか。
が待ったをかけた。

「兄さん。
確かに私達はこの二人に騙されてこのような二度目の生を受けました。
しかし、この者達は私達には無くてはならない者です。
今ここで殺すは簡単ですが。
もう少し待ってはくれませんか」

言葉は丁寧だが、有無を言わせない迫力があった。
もう姿は昔の妹のままだが。
中身は俺の知らないアルトルージュなのかも知れない。

「・・・・・・・分かった。
親であるお前にそう言われちゃ、俺は何も出来やしない。
良かったな、お前ら。命拾いして」
そう言って、リィゾの顎を思い切り爪先で蹴り上げる。
鈍い音がして骨が砕ける。


「じゃあな。
俺は暫く消えるが。
手前ら、折角殺さなかったんだ、しっかり俺の妹を護衛しろよ」
捨て台詞を吐き、城から表に出る。

こうして二十年ぶりの兄妹の再開はこんな波乱で幕を下ろした。





まぁそれの所為かは知らないが。

それ以来。
俺もその「27祖」並みに危険人物に認定されて。
でも27祖にはなっていないので。
「ナンバーナッシング」という識別番号を頂き。
教会から追いかけられる事となった。











・・・・・・・・・まったく
何だって今になってこんな夢見るんだか。

ムクリと寝床にしていた、路地裏から起き出す。
ああ、久し振りにこう言う所で寝ると体が痛いな。

二・三度大きく伸びをして間接を解す。

町の喧騒が喧しい。
チラリと頭上に輝く太陽を仰ぎ見る。
幾分日が高い。
もう朝とは言えない時間だな、こりゃ。

因みに死徒になってから暫くはこの光も大敵だったが。
ここまで来るとそう言うものにも抵抗が出来て。
ほぼ、普通の生活が出来る位にまでにはなった。
当然。
水やらニンニクと言った物は論外だ。

よし。
行動しますか。
一度死んでる俺にとっちゃ
今が何時だってそんな事は知った事じゃないし
時間なんてものは全く関係無い。

当初の予定通りお会いしに行って見ますか。
稀代の殺人貴に。

















NEXTSTORY
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後書き
月詠:まずはこのオリジナルSSを読んで下さいまして有り難う御座います。
黒:待て。その前に言いたい事がある。
白:同じく。
月詠:死人に用は無いが?
黒:だからここでは言わせて貰う。何だ、私たちのあの扱いは。
白:まるで只の通行人ではないか、訂正して貰おう。
月詠:いいやん。出れただけ。世の中出られない人もおるんよ?
黒:それからこの名前は何だ。歴とした名で呼んで頂こう。
白:そうだな、仮にも姫君の護衛である私たちをこの扱いとは。
月詠:君らは只の狂言回し。あくまでルークの引き立て役なの。
黒:冗談ではない。
白:あの様な死徒になって日の浅い輩に私達が遅れを取る筈が無かろう。
月詠:当人、呼ぼうか?
黒:(びびくっ)
白:(ぎく)フ、フン。今回は良しとしておこう。
月詠:(やっぱ、怖いんだ)
黒:では、恒例の解説だ。
白:今回のコレは触りだな。主役である彼の生い立ちがメインと見る。
月詠:他の方の連載に比べると短いけど、私としては長い方では。
黒:連載でもこの後書きをするその心は褒めるが。
白:これの文まで書けばもう少し進みそうな気もするが。
月詠:ここがキリがいいから。こっから次になるので。
黒:次は、ほほぅ(原稿を手に)
白:フムフム、成る程。
月詠:勝手に読むな。公表しないだけいいけど。
黒:では次回に期待しよう。
白:私たちの出番は無いがな。
月詠:言うな。
黒:ソレでは又の機会にお会いしよう。
白:ここまで付き合って頂き、感謝の極み。
月詠:有り難う御座いました。
アルト:(間に合わなかった・・・・)

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