「近未来予報図(後編)」






何かカチャカチャ、音がする。



いや、違う。



カチャカチャと言う音と、打撃音だ。









その音と共に何やらあまり聞きなれない音、いや







声、がする。







って。待て。


待て、待て。










この声って、もしかして。











ああ。

コクトー。
気付いたか。












何て、僕の知ってる式がのたまう。




その顔は。













僕が今まで見た中で一番の笑顔だった













何だって、式。
そんな笑顔なんかして。









黒桐様、お目覚めですか。





式の横には息も絶え絶えな秋隆さんの姿が。













式、一体秋隆さんに何をした?



別に何もしてないぜ。





嘘つくな。
じゃあ、何で秋隆さん、こんなにぼろぼろなんだよ。






知るもんか。



知るもんかって。
そういう言い方ないだろ。


うるさいな。
俺はお前のそーゆートコ嫌いだ。











お止め下さいませ。お二人方。


悪いのは全てこの私ですから。







そう。お前がもう少し持ってくれれば、
わざわざこんな手の込んだ真似しなくてもよかったものを。











申し訳御座いませぬ。

私が至らないばかりに。







ああ、まったくだ。

死してその罪を償え。







くっそー。
何だか、ムッチャ、腹が立つ。














式。僕を縛ってる縄をはずせ。

そんなに秋隆さんを殴らなくてもいいだろう。





・・・・・・・・秋隆さんの代わりを僕がやろう。











信じていいんだな。

コクトー。


言っとくが俺は本気だぞ。









ああ。構わない。
僕だって伊達に男の子じゃないんだよ、式。

















クク。歌ってろ。

今にその澄ました面、泣かしてやる。




そう言って式はペロリと上唇を舐める。
形のいい式の唇に添って舌が怪しく蠢く。




さあ。

好きな物を選べ。


それ位のハンデはやろう。



まあ。
最後に立ってるのは勿論この俺だがな。








クッ。トコトン女王様だな。
式。


何だってそんなに似合うんだ?









さあ、準備はいいか?


ああ、こっちはいいよ、式。





さあ。


それでは始めよう。

























ROUND1






















FIGHT






























そう。

僕たちは秋隆さんの部屋で「格闘ゲーム」
なるものに興じていたのだ。








何でも、秋隆さんは昔からこの手のゲームが大好きで。

一時期気が狂った様にやっていて
式にバカにされた事も一度や二度ではないらしい。



式も、最初は小馬鹿にしていたが。

秋隆さんの勧めでやってみたら

これが又べらぼうに強くて。




今では秋隆さんでは歯が立たなくて、対戦相手を探していた時に。

僕に白羽の矢が立った、と言う訳。


まったく。



そんな事の為に
クローゼットに仕掛けをしたり。



ワザと僕に挑戦的な態度をとって、家捜しさせたり。




最初からそう言えばいいのに。










クッ。

やるな、コクトー。



言ったろ、僕だって男の子なんだし。
この手のモノは一通りこなして来たよ。




久々に歯応えのある奴が。
これは楽しめそうだ。













ああ。

お嬢様。
よう御座いましたなあ。

漸く、互角の方とお会いできて。

この秋隆。
感涙の余り、涙で前が見えませぬぞよ。

苦節ン十年。

この日が来る事を待ちわびておりました。
雨の日も、風の日も。
雪にも、嵐にもマケズ。



ご覧になっていますでしょうか。

父上、母上。


あのお嬢様が嬉々としてゲームをしておられる姿を。
これこそが私が夢にまで描いた姿。



近未来予報図。





よもや秋隆、もはや思い残す事は御座いません。





老兵は死なず。


只、お邪魔虫になるのみで御座います。






ああ。
それにしても


式様のお相手、見付かりまして
本当によかった。(本音)

























・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・








「って。なんだ、これは」

「私の小説で御座います」

「そんなことじゃ、ない。この内容だ」

「秋隆祭SSで御座います」

「合ってるが、違う」

「では、何とお答えすれば宜しいので?」

「何で、俺がこんな趣味を持ってないといけないんだ?」

「私用です」

「何だと?」

「ご趣味とはSMの事ですかな?憚りながらこの秋隆、事、SMに関しましては」

「うるさい。聞きたくもないし、そんな趣味はない」

「・・・・・・そうですか。残念です」

「本気で落胆するな」

「そりゃ、ゲームに関しては、少し、あるぞ(ボソ)

「・・・・・・・・・・そちらですか」

「更に落胆するな。床にのの字を書くな」

「いえ、よろしいのです。式様。私の夢が式様に鞭を」

「ンな事するか!!!!」





キラーン









こうして
秋隆は遠いお空の彼方のお星様となった。




有難う



秋隆。





お前の事は多分忘れないからな。












背景ににこやかな秋隆さんの笑顔をバックに


画面はブラックアウトしていく。
























CONTINUE?
























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えー。


はい。


ここまで読んだあなた。


途中。

他の方に考えませんでしたか?




考えた方。





思惑に引っかかって頂き有難う御座いました。



ヘン、冗談。と言う方。

申し訳ありませんでした。
精進して出直してきます。












とにかく。

私のSSの中では、一番の汚職作です。



もとい



異色作です。




一人でも笑って頂ければ、幸いです。




では。







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