こちらはかすがさんの所の「秋隆祭」に投稿したものです

「近未来予報図(前編)」








もうおしまいか、秋隆。どうなんだ?

ああ、申し訳御座いませんシキ様。




ほう、奴隷のクセに主人よりも先にくたばるとは。


済みません、シキ様。
自分の身分も弁えずに分不相応な行動を。






分かっているならいい。
だが二度目があるとは思うなよ。






はい。
固く肝に銘じます。








フン、なら、奴隷は奴隷らしく地べたに這い蹲ってろ。












はい。
シキ様。












最近、秋隆さんと、よくお茶をする事がある。
式との事で相談に乗ってもらったり、何かと手伝ってもらったりしているのだ。











だけど、ここ数日の秋隆さんは何かおかしい。


見た目では何がおかしいのはわからない。
なのだが。





一瞬だけ何か、顔を歪ませたり、動きが止まったり。



次の瞬間には何でもない風に澄ましているのだ。
そんな事が何度か続いたので





堪らず、どこか具合が悪いのですか?
と、尋ねても。









にこりと笑って、結局何も言わなかった。














なので、次の日式にも聞いてみた。











最近の秋隆さん、どこか悪いの?って。

でも、答えはにべもないものだった。













ああ、昔から頭は悪いな。












式、そんな事言うもんじゃないよ。




そんな僕の言葉を式はフンと鼻で笑った。


お前は何も知らないからそんな事が言えるんだって。











?一体何の事だろう。



式の言葉は僕の知らない秋隆さんの事を指しているのだろうか。

それとも他に意味があるのか?




僕にはその式の言葉の意味がその時は判らなかった。






いや


結論から言えば、




この時分からなかった方が幸せだったかも知れない。





まさか、あの二人の知られざる過去を垣間見てしまうなんて。








あくる日。









僕はどうしてもあの時の式の言葉が理解できず



式のその言葉の真意を問い質そうと式のアパートに向かった。


どうしても納得がいかなかった。





今まで一緒に生活してきたんだし。




確かに色々見てきただろう。



でも、頭が悪いなんてそんな事




例え思っていたとしても








簡単に口にしていいもんじゃない。












式のアパートに着き






ドアに手をかける。








カチリ










中にはその部屋に主はいなかった。







少し気が引けるが

いないならいないで別の行動を取らせてもらう。











式の部屋の一切合財を引っ繰り返す様に


全て暴き






何か手掛かりを探す。












とにかく目に付くもの全て。











小一時間式の部屋をガサ入れしたが。








僕の目的のものは出てこなかった。

ふう。
流石に疲れたな。



しかし、式。

結構、モノ無いと思ってたけど。


あるじゃないか。



乙女チックな小物まであったのには少し驚いたけど。



疲れた僕はベッドに腰をかける。


ぎしりと僕の重みにベッドが文句を言う。







?うん?



何だか、お尻に固いものが。


布団に何か入ってるのか?




ぶわさと掛け布団を剥いで見る。






そこには










鍵?








見た事もない鍵がそこに落ちていた。





どこの鍵だろう。

いや、その前に。


何でここに鍵なんかが落ちていたんだ?





式が落としたのか?
そうとしか考えられない。




ここに出入りする人間は至極限られている。



式に、僕に・・・・・・秋隆さん?



秋隆さんの、鍵?



でも、あの几帳面な秋隆さんが鍵を落として気付かない筈なんかない。





鍵の持ち主の事はこの際、いいや。





この鍵がどこのものかを考える。







この部屋で施錠されている物は・・・・・





ああ。



奥の方にあった、クローゼット。



あれが確か鍵がかかっていたっけ。


早速合うかどうか確かめてみよう。










今にして思えばこの時の僕の行動は全て読まれていて
手の平の上で踊らされていただけだった。










カチリ





小さな金属音がしてクローゼットの鍵が開く。








恐る恐る両開きのクローゼットに手をかける。






これの中に、僕が求めていた答えが?






訳もなく緊張する。







ごくりと唾を飲み込む







意を決して扉を持った手に力を込める。











重々しく軋む音を立てて
拒みながら扉が開いていく。









その中のモノが白日の下に暴かれる。



その中には。

















・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・




「って、一番いい所で話が終わってるじゃないですか!!」

「ええ。終わってますなあ」

「お気楽に言わないで下さい。こっから先が皆さん知りたい事じゃないですか」

「でしょうなあ」

「何でそんなに呑気なんです?この話の肝ですよ?肝!」

「その様で」

「しかも、登場人物に僕達の名前が使われている。
だったらその先が知りたいって思うのが人情でしょ?」

「正に正論ですな」

「っ大体なんでこんな18禁になりそうな話を書き始めたんです?」

「いえ。只の暇つぶしで」

「暇つぶしで人の名前使うな!」

「他にネタになりそうな名前が思い浮かばなかったもので」

「だからって。さらに、読むと秋隆さん。なんか変態みたいじゃないですか」

「SMは変態ではありませんぞ。歴とした紳士淑女の嗜みです」

「ンな訳あるかああ!!!」

「では、後半編を、どうぞ」

「あるんかい!!」
























・・・・・・・・・・・

・・・ここは?








一体どこだ?


と言うか。



一体何が?







あれから・・・

そう、クローゼットの中を見ようとして。





そこからの意識がない。


何が起こったのだろう。

















と、謎が謎を呼び次回に続く。













「続くんかい!!」
「続きます」

TOPへ    NEXT