ジャスミンの風

                                         
                                           
マラウイ便り 2-6



Mwaswera bwanji !! (= Good afternoon)
日本では蒸し暑かった夏も終って,台風一過でようやく涼しくなり始めた頃でしょうか?
こちらは逆に過ごしやすかった季節も終りかけで、これから暑い時期を迎えようとしています。

今回は思わぬハプニングもあった旅行の話を、余韻の残っているうちに報告したいと思います。
任国外旅行としていずれも隣国で世界自然遺産に登録されているザンビアの「ビクトリアの滝めぐり」と「タンザニアサファリ」を計画しました。
他のシニアボランティアたちとは日程の折り合いがつかず、結局一人旅となりました。
JICAから9月末にザンビアで総選挙があるので9/14以降は同国への渡航禁止という通達があり、業務の合い間を縫って7月の下旬からブラン
タイア市内の2つの超高級ホテル内にある現地旅行事務所と市内の現地旅行代理店3社を頻繁に訪ねて旅行内容を相談し、それにインターネ
ットで見つけたタンザニアに本拠を置く日本人経営の旅行会社を加えて計4社から種々の旅行情報を集めました。その結果、当方の希望に沿
うということで市内の旅行代理店S社で航空券とザンビア行きを、また日本語のE-メールで細かいやりとりが出来るということでタンザニアに本
拠を置く旅行会社J社にタンザニアサファリ(手配旅行)を依頼することに決めました。
期間は10日間ということで、回数の少ない航空便を検討して、8月中旬にS社で先ず航空便をブッキングしました(ザンビア〜タンザニア間の直
行便は皆無で、一日間を空けて両国を旅行)。それからE-メールでザンビアでの宿泊先およびJ社を通じてタンザニアでのサファリと宿泊先の
予約をしました。

そこからハプニングが起こったのですが、8月末に念のためS社で航空便を確認したところ、運行時刻がコロッと変っていました。運賃も変更に
なっていました。何の連絡も無かったので理由を訊ねても、エアマラウイの都合で変ったというばかりで埒があきません。仕方なく一から行程の
見直しです。大急ぎであちこちにE-メールで宿舎の予約の変更手続き等をして、最終の確認が出来たのが出発(9/8)の前夜でした。先ずザン
ビアへ取りあえず出発は出来ました。


50人乗りほどのプロペラ機で3時間後に首都ルサカに到着。
タクシーで市内に向かう途中で、空港内の入国届を書いた場所にジャージーを置き忘れたことに気付いたのですが、時間を取られるのが惜しく
て、ダメモトで運転手にあとで探してきてもらって帰り(9/11)にバス降り場まで迎えに来るよう依頼しました。
バス発着場で明朝のビクトリアの滝のあるリビングストン行きの切符を購入。
この日のバックパッカー用の宿舎(一泊10US$)では2人の日本人男性に出会いました。一人は東京工大の学生で、休暇を利用して南部アフリ
カを旅行しているとのこと。他の一人は京大アフリカ研の大学院生で、ザンビア南部の農村生活の実態を調査に来たばかりとのことでした。し
ばしアフリカ談義に花が咲き、日本語での楽しいひと時を過ごすことが出来ました。


翌9日早朝、6:00発の最前列の座席に陣取ったリビングストン行きのバスの中で、隣に座っていた背広にネクタイ姿の紳士に話しかけたとこ
ろ、「おはようございます」という返事が返ってきました。訊ねてみると当国の高校で数学の先生をしており、5年前に10ケ月間ほど宇都宮北高
校で教えていたということでした。札幌や京都にも行ったことがあるとのこと。生まれはマラウイに近い所でチェワ語も分かるということで、片言
で話したりして笑い合いました。
途中のChomaという街で窓際に座っていた奥さんと一緒に「さよなら」という言葉を残して降りて行きました。何だかフンワリとした暖かい気持ち
になりました。


バスはリクライニングも利き冷房も充分で、マラウイと違ってこの辺りは山が無く見渡すばかりの荒原の中の舗装道を100km/h以上の猛スピー
ドで快適に突っ走って行きます。道中所々ウトウトしながら、また途中止まった所の売店で買ったクラッカーと水で朝食兼昼食を摂りながら11:
30にリビングストン着。走行距離600km弱の車中旅でした。
バス停から5分ほどの所にあるこれまたバックパッカー用の宿舎(一泊6US$)に直行。2泊分の宿泊費を支払って、早速当日午後のザンベジ川
サンセットクルーズと翌日のMicro Flightを予約。
サンセットクルーズまでには少し 時間があったので、近くにあるリビングストン博物館に出掛けました。ザンビアおよびザンビア人の歴史を紹
介した展示と共に、リビングストンの行跡を表した展示があり、中でも彼自筆の手紙や手帳に色付きでスケッチしたビクトリアの滝の模式図等
が印象に残りました。

16:00に迎えの車が来てサンセットクルーズに向かいました。2段階になった船で乗客は30人ほど。アメリカ人の男女のグループだろうか、既に
ゲーム等で陽気に盛り上がっていました。滝よりも上流側のザンベジ川を夕陽に向かってゆっくりと遡って行く。早々に一頭の象が右岸沿いを
下流に向かって歩いているのを見掛けうれしくなって来ました。
しばらくすると今度はカバが一頭水面に顔を出したのですがすぐに水中に沈んでしまい、それきり現れることはありませんでした。またペリカン
を初め色とりどりの鳥たちも所々で見かけました。



サンセットクルーズ







船内では夕食用のチキンを網の上で焼いており、その香ばしいにおいが漂ってきます。いよいよ夕食の時間となり、大きなパンに焼きたてのチ
キンそれに各種野菜サラダで山盛りとなったトレイを甲板で広げて食べます。飲み物はビールやワイン等も含めて何でも飲み放題。久し振りに
ビールとワインを飲んで顔が火照って来る。夕闇迫る頃Uターンして夕陽を背に元来た航路をたどると、今度は岸辺にワニが頭を下に向けて寝
そべっているのを見掛けました。2時間ほどのクルーズで景色・雰囲気・食事とも満足すべきものでした。満腹で2段ベッドの上段でベッドイン。




翌日は一足先に滝を見に行こうとミニバスに乗り、10kmほど先の終点で降りて滝の入口で入場料を払って中に入る。すぐに数条の滝の流れ
落ちるのが見えて来ました。
早速写真を撮ろうと構えたところ何とバッテリーが入ってないことが判明。昨夜部屋で充電した後、取り出してそのまま置き忘れたらしい。あわ
てて出入口でその旨ことわって出してもらい門の前まで行ったところ、丁度乗り合いタクシーが待っていて飛び乗る。部屋へ帰るとバッテリーは
棚の上に置いたままになっていて無事回収(ソケットはマラウイのものがそのまま使えました)。ちょうど宿舎の無料バスが出るところだったので
乗って再びビクトリアの滝へ。


今は乾季で水量は多く無く、2 km近くある川全幅流れ落ちるという具合いにはなっていないのですが、メインの滝周辺は空中高く水煙が上が
り迫力は充分うかがうことが出来ます。
メインの滝の正面はジンバブエ側へ行かないと見られないのですが、横からでもその水量の凄さが充分見てとれます。また乾季の今だからこ
そ滝の上流側落ち口まで歩いて行け、100m余り下を見下ろすことが出来ました。あたり一面カルー玄武岩という黒っぽい火山岩で覆われた
台地状の地形を成しており、記念に2,3個採取して来ました。滝の位置は年と共に徐々に上流側に後退して行くと言います。
3時間ほどあちこち歩き回って二重の虹が見えたりして充分雰囲気を味わうことが出来ました(ちなみに南米のイグアス、北米のナイヤガラと共
に3大瀑布と呼ばれています)。


午後にはMicro Flightに出掛けました。
滑走路のそばには自転車に羽をつけたような軽飛行機が数機待機しており、先発隊がそれぞれのパイロットと共に軽飛行機にまたがって飛び
立って行きました。当方も宇宙服のような防寒服を着て、乗る時にすれ違った帰ってきたばかりの女性に感想を聞くと、満面の笑みで"Very
fantastic"という一言。

パイロットの後ろの席にまた がりヘルメットをかぶり耳栓を付けていざ出発。ドキドキする。数十m滑走路を走って離陸。すぐに地上が遠くに見
えるようになる。両手でしっかり取っ手を握っているが、下をみるとやはりこわい。そのうち慣れてきて羽根に取り付けたカメラに向かって手を
振る余裕も出来てきました。










すぐ下に見える水煙を上げるメインの滝の眺めはやはり素晴らしい。こわいということを忘れて思わず見とれてしまう。虹がドンドン移動していく
光景も素晴らしいものでした。2,3回旋回した後、少し北に向かった自然公園の上空では象の群れやゆっくりと歩くカバの様子が小さく見られま
した。
15分間の飛行は値段は張るけれども充分価値があり満足のいくものでした。降りてから飛行中に写された20枚ほどの写真の入ったCDを受け
取り、スリル満点の爽快ないい思い出になりました。


11日の帰国日。リビングストン〜ルサカ間のバスが6:00出発の予定が結局7:00過ぎ発車になり、ルサカで出迎えのタクシーに乗って空港に着
いたのが何と飛行機離陸予定の20分前でし た。急いでエアマラウイのカウン ターへ行くも、"Closed. You are too late."と言うばかりで取り
合ってくれません。これを逃すと明後日まで便がありません。バスが2時間も遅れたんだ、今日中にどうしてもブランタイアに帰らなければならな
いんだ、と何度も強烈に言い張って、ようやく搭乗することが出来ました。たまたま機体の点検中ということで出発が遅れ気味だったようで幸い
でした。
先日空港内に置き忘れたジャージーもタクシーの運転手が見つけてくれていて感謝。ジンバブエのハラレ,マラウイのリロングウエを経由して結
局ブランタイアには1時間余り遅れの20:30に到着。一時はどうなることかとハラハラしたのですが、何とか帰り着けました。ちなみにエアマラウ
イは周辺諸国でももうひとつ評判がよくありません。





                                         
                                           


http://www5f.biglobe.ne.jp/~jasumin/