ある医療従事者のパソコン遍歴〜社会人編

パート1(学生編)は、こちらからどうぞ。

 さて、なんとか国家試験に受かり、研修医として医者デビューしたのですが、その我々の前に立ちはだかったのが「コンピューター・オーダリング・システム」。

 某大学病院で臨床実習もしましたから、検査結果をコンピューターで見たりするのには、とくに問題なかったのです。しかし、医者となると、コンピューターを使って薬のオーダーをしなければなりません。これは、たとえばガスターならgasとか(英語入力)頭の方の文字を入力すると、それに該当する薬(この場合は、ガストロームとか、ガスモチン等ですね)の一覧が出てきて、その中から選んで用量、用法などを入力するわけです。

 ところが、この用法で、トラブル多発。当時のシステムでは、たとえばガスターは、1錠単位での入力なのですが、ラクテック(点滴)などは、〜ml単位の入力だったり、500ml/本の点滴が〜本という入力をしなければならなかったりで、まちまちだったのです。おかげで、やっと入力終了したとたんに、薬剤部から電話攻撃。

「先生、ラクテック500本って入力してあるんですけど、いいんですかね!」

「(いいわけないやろ…500本なんて、アンドレ・ザ・ジャイアントでも、そんなに要らん。
500mlの間違いに決まってるやん。ちくしょー、鬼の首とったように電話してきやがって!)あっ、打ち間違いです、すみません、すぐに直します!」

 ああ、立場最弱の研修医…
まったく、当時のコンピューターシステムには泣かされたものです。

 そして、研修医2年目のある日のこと。症例検討会の前に、当時の指導医の先生が僕に言ったのです。「お前、パソコン、持ってるよな?」
その頃は、ワープロはともかく、研修医の分際でパソコンなんて!とは思ったのですが、当時から「気合が入ってない」と評判の僕の字で症例検討会のプリントを作るわけにもいかず。清水の舞台から飛び降りるつもりで、パソコンを買いに行ったのです。

 そのころは「医者はMac!」という神話が生きていた時代ですから、もちろんMacを買いにいくつもりで。ところが、その市内最大のはずの売り場には、片隅にパワーブックが1台置いてあっただけ。店員さんも、Macのことなんか知りゃしません。それでも、勢いで30万くらいした「PowerBook」を買ってきました。

 しかし、ここにMacを知らない人間が、Macを知らない店員からMacを買うことの悲劇が起こってしまうわけです。

 それは、「メモリが全然足りん!!」ということ。

当時のパワーブックの標準搭載メモリは、4M(8Mだったかな…)
(今のバイオは増設済みですが、512Mです、ちなみに)
買ってすぐに「ウイニングポスト3」をインストールしようとしたら、いきなり
「用量が足りません」
くう〜っ、そんな、最初から増設しないと使えないような機械、売るんじゃねえ、アップル!!!

まあ、仕事は「イージーワード(懐かしい…)」でなんとか済ませたのですが、それ以降、
そのMacは、ほっぽり出されてしまったのでした。
時々、ウイニングポスト3をやるくらいにしか使われずに。
ああ、30万のゲームマシン(ウイニングポスト専用)。
その頃は、インターネット(というより、パソコン通信)にも全く興味がなかったですし。

 結局、その2年後に、医者4年目にNECのラヴィとともにインターネットをはじめ、その2年後にサイト作りに嵌って、ココに至る、というわけなのです。
でもなあ、いまだにエクセルもワードもパワーポイントも苦手。HTMLも、ほとんどわかりません。ビルダー頼みです。

なんだか、振り向いてくれないのに、あきらめきれない女の子、みたいですね。
僕にとってのパソコンって。