第82夜「私的ファミコンゲームベスト10」<後編>
前回(第81夜)の続きです。
第5位 ドラゴンクエスト(1)(エニックス)
「ドラゴンクエスト」をはじめてジャンプの巻頭カラーで見たときには、「なんだ、『ウルティマ』のパクリじゃねーか、と思ったのです。もちろん、当時は本物の「ウルティマ」なんて、やったことありませんでしたが。
「ドラゴンクエスト」をやるまで、RPGというものに漠然とした憧れを抱きながら、実際に遊ぶ機会がなかった僕としては、弟が買ってきたこのゲームに、そんなに期待はしていませんでした。
当時のジャンプで紹介されてたゲームには、クソゲーがけっこう多かったし、
「所詮、日本の家庭用ゲーム機で遊べるRPGなんて、つまんないに決まってる」
とか思ってたんですけどね。
遊んでみたら、激烈にハマりました。3日間、ほとんど寝ずにクリアー!
(ただし、「たいようのいし」の場所がわからず、友達に聞いたけど。あの場所は、まさに盲点だったよなあ…でも「城の中」なのかあそこは?)
このゲームにはもうひとつ功績があって、それは日本のゲームのエンディングを変えた、ということです。
それまでのゲームのエンディングって、「コングラチュレーション!」とか画面に出て、また2周目、とか裏モード、なんてのが多かったのだけれど、この「ドラゴンクエスト」は、「りゅうおう」を倒すと世界中の人々が勇者を祝福してくれるし、まるで映画のようなカッコいいエンディングがあったのです。
パーティも組めないし、シンプルなゲームなんだけど、まさに傑作。
堀井さんは、ドラクエ「1」「2」「3」と順を追って、プレイヤー自身のRPGに対するスキルのレベルアップも果たしていったわけですね。
第4位 スーパーマリオブラザース(任天堂)
世界中で大ブームを巻き起こしたマリオ。
でも、「スーパーマリオ」って、発売前はそんなに盛り上がってはいなかったんですよね。
今から考えると、嘘のような話なんですが。
「ファミ通」のクロスレビューのような、発売前にソフトを評価するシステムが無い時代のことで、このゲームは、遊んだ連中の口コミで「これは凄い!」と広がっていったのです。
ほんと、まさかこんなに面白いゲームだとはねえ。
このゲームって、音楽とか、ジャンプの浮遊感とか、とにかく何をやっても違和感がないのです。凄い。おまけに、土管の上で、「ここで土管に入れたりして」なんて十字キーを下に入れると、ほんとに土管の中に入れてしまう、という斬新さ。
当時のゲーム界において、「こんなことができるんじゃないかな」というプレイヤーの興味本位の行動のほとんどすべてに、ゲーム界からのリアクションがある、というのは、ほんとうに驚きました。
第3位 オホーツクに消ゆ!(アスキー)
僕は、ファミコンのアドベンチャーゲームというやつに、ほとんど失望しきっていたのです。
なんだかわかんない謎解きに、1ドットのずれも許されない証拠品探し。単調なストーリー。
しかし、「オホーツクに消ゆ!」は、それらの不満を一掃してくれました。
綺麗で親しみやすいグラフィックに、名曲「すすきの人生」などの個性的な音楽。
困ったときのブラックジャック。
まあ、ブラックジャックは、本当に困っているときに限って、ノーヒントで「さあ、そうさにもどりましょう」になってしまったり、裏ワザのいっぺんにチップ15枚がけをやらないと、かったるくてやってられなかったりもしたのですが。
このゲーム、ほんとうに自分が火曜サスペンス劇場の登場人物になったような気分が味わえますし、次はどうなるんだろう?とワクワクします…って、褒めはじめたんだけど、「ココがすごい!」ていうところは、堀井雄二の職人芸のメッセージとヘンな迷路に頼らない(ちょっとだけあるけど)正統派コマンド入力方式、くらいかなあ。けっこうすぐ終わっちゃうし、どこがそんなに面白いの?って言われそうなのですが。
でも、僕はこのゲーム大好きなんですよ。毎日遊ばなくても、ゲーム置き場の中にあるだけで嬉しくなる、そんなゲーム。
第2位 ドラゴンクエスト2(エニックス)
もう、語るまでも無いゲームなのですが、僕はドラクエシリーズの中で、これがいちばん好きなんです。
ゲームバランスが悪くて、クライマックスのロンダルキアの大洞窟は、ほんとに何度カセットを投げつけてやろうかと思ったくらいだったけど、やっと洞窟を抜けて真っ白なロンダルキア平原に立ったときは、嬉しかったなあ。またそれからしばらくレベル上げ、だったんだけどさ。
その難しさが愛情に変わる、とでも言ったらいいのかなあ。
あとは、船で自分の意思で世界を巡れる、という面白さ。アレフガルドにたどり着いたときは、まさに感涙…
パーティプレイで、敵をザラキで抹殺するときの快感。
はじめて徹夜したゲームだし、まさに思い出の1本。
そして…
第1位 ベスト競馬・ダービースタリオン(アスキー)
1位は、僕にとってはこれしかありません。
僕の人生の何十分の一かは、確実にこのゲームとともにありました。
最初に見た印象は、「このゲームのドコが面白いの?というか、これってゲームなの?」
でも、このゲームって、まさに真っ白なキャンパスに、自分の想像力でドラマを描いていくような感じ。
連戦連勝の馬でも力が衰えたり、展開で負けてしまったり。逆に、最初は全然勝てなかった馬が、成長していくにしたがってG1レースを勝てるようになったり。
一度予後不良になった馬は、リセットしても蘇らないという厳しい掟。
いちばん能力が高い種牡馬といちばん能力が高い牝馬をかけあわせても、最強馬ができるとは限らない、という血統の神秘!(ほんとは、単なるランダムの要素なのかもしれないけれど、これほどその「曖昧さ」が魅力になっているゲームは、他には無いと思います。
僕は、最強馬作りには、全然興味がなくって、とにかく毎日ボーっとしながら、ファミコンの中でマイペースに自分の馬たちのドラマを作り上げていったのです。
おかげで競馬にハマってしまったことも含めて、まさに人生を変えたゲームと言えるでしょう。
今でも新作が出るたびにやってます(かけられる時間は激減したけど)。
以上、私的ファミコンゲームベスト10、でした。