■#1■ (#1-MUSIC) ■#2■ ■HOME■

PAT MARTINO
at auntie PASTA Peanut Vendor (四谷)
2004.2.20 21:00 (2nd set)

PAT MARTINO : g
FRANK LOCASTRO : p
JEFF PEDRAZ : b
MICHAEL PEDICIN : sax
SCOTT ROBINSON : ds

◆ サックス入りのクインテットの編成は最新作の "THINK TANK" と同じで、演奏曲も新作からが中心。MARTINO 以外のミュージシャンはの名前は聞いたこと事がなく、少なくとも日本では無名であろう。新作で起用されたメンバーは超強力で、普通のミュージシャンが追いつくレベルでないが、今回来日したメンバーの技量は予想以上で驚かされた。新作の楽曲はどれも難曲で、相当な実力がないと太刀打ちできないので、それも当然か。テナー・サックスの MICHAEL PEDICIN はかなりベテランのようであったが、強力なサウンドと高度なインプロビゼーションは MICHAEL BRECKER すら連想させ、新作で演奏しても遜色はないと思われた。ピアノの FRANK LOCASTRO はかなり若く、JOEY CALDERAZZO のようなシャープなフレーズを連発していた。ウッド・ベースの JEFF PEDRAZ も若く、強烈なビートとアルコの凄いテクニックに眼を見張った。ドラムスの SCOTT ROBINSON も、モダンなテクニックを備えたハイ・レベルなミュージシャンであった。
◆ やはりスタジオ・レコーディングでは、MARTINO の真のギター・サウンドは捕らえられていない事が良く分かった。間近な席で聞く事の出来た MARTINO のサウンドは、弦の音を本人のイメージに出来るだけ近い形で、出来る限りのインパクトを持って、自分と観客に伝えるようにセッティングしている筈である。ギターは、本人のサイトにも出ている GIBSON の Pat Martino モデルで、色は黒。ギター・アンプのスピーカーは何と大型の MESA BOOGIE (アンプ・ヘッドも?)。ギター・サウンドに対するビジョンは、ロック・ギタリストとは勿論異なるが、一般的なジャズ・ギタリストとも一線を画する。ヘビー・ゲージのギター弦を粒立ち良くピッキングし、それを人間の耳にインパクトを伴って達するようにしおり、ジャズ・ギター特有の円やかさは排除する傾向にある。だがハードなサウンドとは対照的な側面である音楽に不可欠な人間らしさや哀愁といった要素が、決して損なわれないのが実に不思議な点だ。出来るものなら、ギタリストの VIC JURIS も衝撃を受けたという、1970年代の更に強力だった時代の MARTINO のライブを見てみたいものだ。スタジオ・レコーディングでは残念ながら、ライブで感じる事の出来るインパクトが、どこかの段階で消滅してしまっている。
◆ 60歳にもなる MARTINO であり、今回のライブも激しさよりも渋さを感じさせるようなもの変化しているのではと予想していたが、全く逆であった。"復帰"直後のライブ・ビデオの頃よりも、現在の方がはるかに強力で、嬉しい限りである。テクニックにも、特に衰えを感じさせない。どんな難曲でも MARTINO 的なフレーズを織り込んでしまう。ついつい出てくる"指グセ"のフレーズは、何の為にそんな事をする必要があるのかとさえ思わせる程に、難しい運指である。"スイープ・ピッキング"や延々と繰り返す三連符フレーズも健在。プレーぶりが若々しいと言うよりは、音楽性が普遍的であると言うべきである。その普遍性とは、ジャズの普遍性である、極めて MARTINO 的であるにしても。
◆ "復帰"後に演奏されている数少ないオリジナル曲でないナンバー、MILES DAVIS の "BLUE IN GREEN"。ステージの中ほどに挟んだこの曲は、MARTINO にとって相当演奏し易く、何かを表現出来る曲なのであろう。アンコールの"SUNNY"の演奏は、昔からのファンにとっては有難いところである。このシンプルな曲で、MARTINO の止め処も尽きないアイディアと、昔のようなマシンガン・フレーズを堪能する事が出来た。今回のような狭い会場で"真実の音"を間近で確認する事の出来るのは大変有難いが、出来るだけ多数のジャズ・ファンに聴いて欲しいのも確かである。

★ SET LIST
◆ THE PHINEAS TRANE
◆ ? (BOSSA)
◆ EARTHLINGS
◆ BLUE IN GREEN
◆ AFRICA
◆ DOZEN DOWN
(EC)
◆ SUNNY

■#1■ (#1-MUSIC) ■#2■ ■HOME■