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PAT METHENY GROUP with LYLE MAYS, STEVE RODBY & ANTONIO SANCHEZ
BLUE NOTE TOKYO
2008.12.31- (1st set)

パット・メセニー PAT METHENY : g
ライル・メイズ LYLE MAYS : key
スティーヴ・ロドビー STEVE RODBY : b
アントニオ・サンチェス ANTONIO SANCHEZ : ds

◆ PAT METHENY GROUP の THE WAY UP のツアーから早くも3年が経過。そろそろグループでのライブが行われるタイミングだったが、今回はグループの核となる4人のみでのツアーとなった。ライブ開始直前にスタンドに固定されたアコースティック・ギターが運び出され、Phase Dance の演奏が予想された。という事は、今回のツアーは、Phase Dance がオープニング・ナンバーの定番だった頃の、グループが4人のみだった初期の曲が多く演奏されるハズであると思われたが、その通りとなった。特に、筆者がリリース当時に延々と聴き続けたライブ・アルバムの TRAVELS から4曲も取り上げていた。
◆ 2009年へのカウントダウン・ライブの一つ前のセットで、通常より時間的な余裕もあったのであろうが、1st セットにして1時間半を上回る非常に長い演奏時間。彼らのような実力派のミュージシャンであれば、スタンダード・ナンバーなどを織り交ぜて、いつもより緩めのスタンスで演奏しても十分以上の出来になるハズだが、大ホールで演奏するような異常とも思えるエネルギーが注ぎ込まれていた。特にリーダーの Pat Metheny は、いつものように、フル・アコ、ギター・シンセ、ガット・ギター、エレクトリック・シタールを使用。思えば、THE WEY UP のツアーではCD収録の難曲の再現に忙殺されていたし、Gary Burton のバンドや Brad Mehldau との双頭バンドではサウンド・クリエイターとして若干ながら相方に譲っていた面もあったかもしれない。しかし今回のツアーは全てを理解している自分のバンドのメンバーと自作曲を演奏するというシチュエーションで、完全に解き放たれたギター・プレイを披瀝していた。
◆ Lyle Mays というのは本当にユニークなインプロバイザーで、アドリブで聴衆を圧倒しようという意図がまるでないような、自分に対してのみ演奏しているような感じ。ソロやアドリブで聴かれるバラけた音の広がりは、ちょっと聴くと頼りなさそうだが、Pat Metheny のギターとのコラボレーションはマサに絶妙、目の前での演奏でそれを強く感じさせられた。Chick Corea や Brad Mehldau という桁違いの個性を持ったビッグ・ネームでは、Pat Metheny 相手にこのような関係を築くのは難しいだろう。
◆ Steve Rodby のベースは、アコースティックでもエレクトリックでも、余りにも堅実。しかし、テンポや構成が非常に厳しい場合があるこのグループの楽曲のアレンジに対しても完璧にフォロー出来ているベース・プレーは、やはりサスガと言えるものであろう。Antonio Sanchez は現在最高のドラマーの一人だが、このグループでは過去の楽曲のイメージに合わせながらも、自己主張にも欠けるものがないという、理想的なプレーを見せていた。

★ SET LIST
◆ Phase Dance
SPEAKING OF NOW のツアーでも復活させていた曲だが、今回もあのイントロが聴こえてきた。
◆ Jaco
筆者はライブでこの曲を聴くのは初めて。Steve Rodby のアコースティック・ベースのソロが聴けた。Steve Rodby と Antonio Sanchez は素晴らしいメンバーだが、ここで当時のメンバーをリユニオンさせて欲しいと思ったのは筆者だけではないだろう。
◆ Goodbye
TRAVELS 収録の、絶妙のコード進行を持つ隠れた名曲。Pat Metheny のソロ・ギターでのイントロは、他のメンバーが入るのが難しいみたいだった。Nana Vasconcelos が担当していたボーカルでのテーマをギターに置き換えていた。
◆ (It's Just) Talk
アルバム STILL LIFE から。アルバムには無かったギターのアドリブもしっかり入れていた。
◆ When We Were Free
PAT METHENY GROUP の中でも地味な作品の1996年の QUARTET から、派手に演奏。この曲がこのセットでの最新の曲!!Antonio Sanchez のドラム・ソロの後に、例によって Pat Metheny はギター・シンセの GR-300 に持ち替えた。Pat Metheny を長年聴いているが、曲の途中で GR-300 を1オクターブ上げる事があるのに初めて気付いた。
◆ Farmer's Trust
TRAVELS 収録の、一度聴いたら忘れられないテーマを持つバラード。
◆ Last Train Home
Pat Metheny のエレクトリック・シタールのアドリブは素晴らしい。
◆ So May It Secretly Begin
オリジナルではギター・ソロに入って半音上げているが、今回はそのままのキーで終了。
◆ Song for Bilbao
Antonio Sanchez のドラム・ソロの後にギター・シンセのソロという最近のパターン。一応のステージの終了。
(ec)
◆ Minuano (Six Eight)
シーケンサーを使用してない(ハズの)生演奏バージョン。Pat Metheny がテーマを弾き始めたが、オクターバーがオンになっており、Lyle Mays と Steve Rodby が「あれ??」と Pat Metheny を見ていたが、直後に Pat Metheny が「おお、これか!」という顔をしてフット・スイッチを押したのが面白かった。

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