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PAT METHENY GROUP
THE WAY UP
2005.4.21 19:00
東京国際フォーラム ホールA

PAT METHENY : g , syng
LYLE MAYS : p , key
STEVE RODBY : b
CUONG VU : tp , vo , perc
ANTONIO SANCHEZ : ds
GREGOIRE MARET : harmonica , perc , g
NANDO LAURIA : g , vo , perc

★ set list
◆ This Is Not America
コンサート開始前、会場内が暗くなる前の段階で、最新アルバム "The Way Up" の冒頭部分のシンセのサウンドが低く流れている。このサウンドをバックに、PAT はバリトン・ギターで This Is Not America を演奏。
◆ The Way Up
PAT のバンドは、少なくとも自分がリリースした作品は当然の如くライブで再現しており、60分を超える The Way Up であろうとも完奏。リリースされたアルバム自体が凄い作品であるが、このコンサートの開催はマサに偉業中の偉業であると言える。"SECRET STORY LIVE" での映像で驚かされて以来、彼らのスタジオでのサウンドのライブでの再現は当然だと思ってしまっているが、本来であればいくら驚いても驚き足りないほどのものであろう。
複雑過ぎる楽曲中に、更にピアノやギターのソロを挿入し、奏者はライブ演奏である事の意義を忘れてはいない。ANTONIO SANCHEZ のドラミングは、前回の来日公演時よりも更に鋭さを増し、バンドをドライブさせる為の原動力となっている。The Way Up の演奏への貢献度も大きい。ハーモニカの GREGOIRE MARET と トランペットの CUONG VU のユニゾンのサウンドは、このバンドにこれまで無かった要素であり、コンサート全体でも各場面で素晴らしいサウンドを聴かせていた。ツアー・メンバーの NANDO LAURIA は良いギタリストで、アコースティック・ギターのカッティングなどでナカナカのプレイを見せた。
スタジオでのサウンドを再現する為に複数のギターを頻繁に交換する必要があり、スタッフも秒単位のスケジュールでテキパキと働いていた。一番驚いたのが、ANTONIO SANCHEZ が抱えていた大きなパーカッションを突然後方に投げた場面で、いつの間にか待機していたスタッフが見事にキャッチしていた。
◆ Go Get It (g + ds)
前回公演と同様、ギターとドラムスのデュオ。ここでの2人のコンビネーションも前回以上で、ベース抜きのデュオにした PAT の意図を強く感じさせられた。
◆ James (g + b + ds)
トリオというシンプルな編成で、ジャズ的なラフなプレイ。オリジナルのテーマも大きくフェイクさせた。ベース・ソロの途中でリズムがレゲエになったのが、なんともユニークであった。
◆ Lone Jack (g + p + b + ds)
オリジナルよりも更に早いテンポ。ギターとピアノの掛け合いのソロに続き、4コーラス以上にも及ぶドラム・ソロを展開。ANTONIO SANCHEZ が果てしなく繰り出すポリリズムのパターンが圧巻。The Way Up での構築的な演奏と、3曲続いたラフな演奏とのコントラストが、非常に効果的。
◆ Are You Going With Me?
ピカソ・ギターとトランペットによるデュオでのイントロが付加された。オリジナルでの LYLE MAYS によるシンクラビアのソロのサウンドはハーモニカにソックリだったが、ここでは、新加入のGREGOIRE MARET の本物のハーモニカとシンセ・ソロとの掛け合いが行われた。
◆ Last Train Home
この曲への人気の高さが窺われた。
◆ The Roots Of Coincidence
前回公演に引き続き演奏、他の楽曲との極端なコントラストが効果的ではあるが、本人達が気に入っているのかもしれない。
◆ Always And Forever (g + ha)
バリトン・ギターとハーモニカとのデュオ。GREGOIRE MARET のインプロビゼーションが素晴らしい。
◆ Farmer's Trust (g + p + b)
ナイロン弦のアコースティック・ギターとピアノのデュオ、後テーマでベースが加わる。
◆ Minuano (Six Eight)
例によって、イントロ抜き。
(EC)
◆ Song For Bilbao
CUONG VU と GREGOIRE MARET のソロが、やはり素晴らしい。

★ SPEAKING OF NOW からの楽曲が一曲もナシ。過去の曲からも、これは意外だと思わせるセレクトやアレンジはあまりなかった。だが、今回のコンサートは The Way Up を完奏するためのもので、これに相当なエネルギーを使っていると思われ、その他の楽曲に費やす余力は無かったのだろう。彼らもやはり人間であった??

(記 2005.4.23)

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