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KURT ROSENWINKEL
(筆者所有のCD等による)

KURT ROSENWINKEL TRIO
EAST COAST LOVE AFFAIR
(FRESH SOUND NEW TALENT)◆ Kurt Rosenwinkel:g , Avishai Cohen:b , Jorge Rossy:ds
◆ Recording:1996.8.10 , 24
● Kurt Rosenwinkel の初のリーダー作。あの Avishai Cohen も参加。ジャズ・クラブでの録音で、観客の拍手は聴こえないが、本当はライブ録音なのかもしれない。オリジナル2曲の他は、Lazy Bird や 'Round About Midnight などの既存の曲。ギーター・トリオという地味な編成だが、地味さを払拭するようなウケ狙いをする素振りは全く見せず、内面に語りかけるように淡々と演奏している。実験的とさえ言える。Kurt Rosenwinkel のギターはこの頃は地味だが、弦の音を間近で聴いているように思わせ、非常に説得力があって、印象に残るものである。
(記2007.4.15)
CHRIS CHEEK QUARTET
I WISH I KNEW
(FRESH SOUND NEW TALENT)◆ Chris Cheek:ts , Kurt Rosenwinkel:g , Chris Higgins:b , Jorge Rossy:ds
◆ Recording:1996.10 , 1997.1
● テナー・サックス奏者の Chris Cheek のリーダー作。タイトル曲 I Wish I Knew や Skylark などを、ソフトなサックスの音で、極めてオーソドックスに演奏。若者とは思えない(年齢は知らないが)?とは言え、出来は素晴らしい。Kurt Rosenwinkel は、リーダー作の EAST COAST LOVE AFFAIR で聴かせたスタイルを、ピアノレスのワン・ホーンのバックとしては理想的な形でバンドにはめ込んでいる。Kurt Rosenwinkel は、オーソドックスなジャズ・ギタリストとしてのバック・グラウンドを完備している。
(記2007.4.15)
KURT ROSENWINKEL
THE ENEMIES OF ENERGY
(VERVE)◆ Kurt Rosenwinkel:g , Mark Turner:ts , Scott Kinsey:key , Ben Street:b , Jeff Ballard:ds
◆ Recording:1996.11.18-20
● VERVE からのメジャー・デビューの作品、リリースは 2000 年だが、レコーディングは何と4年前の 1996 年、INTUIT のレコーディングの2年前である。恐ろしくユニークなオリジナル作品が並んでおり、これは売れないと判断されていたのだろうか。どこから影響を受けたのか分からない印象的なメロディーと微妙なビートを持つ楽曲。慣れてしまえば、現代生活によくマッチする快適な音楽である。ギターにエフェクターをかけ、ディストーション・サウンドも交えている。アコースティック・ギターも使用、自身分のボイスも使用し、音楽を組み上げている。ギター・ソロは、彼の他のジャズ作品のようには多くなく、サウンド・メーカーとしての役割に徹している。キーボードに Scott Kinsey が参加し、ユニークな音楽の構築に貢献している。
(記2007.4.15)
KURT ROSENWINKEL QUARTET
INTUIT
(CRISS CROSS)◆ Kurt Rosenwinkel:g , Michael Kanan:p , Joe Martin:b , Tim Pleasant:ds
◆ Recording:1998.8.14-15
● 極めてオードソックスなスタンダード集。選曲も渋いところを突いている。ピアニストの Michael Kanan のプレーもスウィングしている。ここでのギターとピアノの見事なコンビネーションは、Tal Farlow と Eddie Costa のコンビをも思わせる。一般的な尺度で見ればこのアルバムは、非常に聴きやすく優れた内容のジャズの作品である。Kurt Rosenwinkel が Conception の2ツのバージョンや Sippin' at Bells といった曲で見せるスピーディなピキングは見事。それにしても、ここでの Kurt Rosenwinkel のギターのサウンドは、Grant Green に似ている。セミ・アコースティック・ギターにヘビー・ゲージの弦をセットしているのもあるが、フレーズもある程度は研究しているのでは。
(記2007.4.15)
SEAMUS BLAKE
STRANGER THINGS HAVE HAPPENED
(FRESH SOUND NEW TALENT)◆ Seamus Blake:ts , Kurt Rosenwinkel:g , Larry Granadier:b , Jorge Rossy:ds (, Jesse Harris:g)
◆ Recording:1999.3.10-11
● テナー・サックス奏者 Seamus Blake の作る個性的な曲のバッキングを、ギターならではの独特の寂寥感で満たす Kurt Rosenwinkel 。テナーとギターのテーマのユニゾンでのプレーはエキサイティング。
(記2007.4.18)
JAKOB DINESEN QUARTET
AROUND
(STUNT RECORDS)◆ Jakob Dinesen:ts , Kurt Rosenwinkel:g , Anders Christensen:b , Paul Motian:ds
◆ Recording:1999.5.13
● セロニアス・モンクの曲などのクセのある選曲に、Jakob Dinesen の嗜好が見えている。Kurt Rosenwinkel のギターは、ちょっと聴くと地味だが、テーマでの絡みやバッキングなどで、絶妙なプレーを披瀝している。ラフな部分が目立つセッションでもあるが、枯れた味のあるバンドのサウンド。
(記2007.8.31)
KURT ROSENWINKEL
THE NEXT STEP
(VERVE)◆ Mark Turner:ts , Kurt Rosenwinkel:g,p , Ben Street:b , Jeff Ballard:ds
◆ Recording:2000.5.12-14
● 6弦を極端に下げた驚くべきチューニングにセットしたギターを駆使した、ちょっと聴いただけでは普通だが、注意深く聴くと極めて斬新な演奏。冒頭の曲、3拍子が印象的な Zhivago 以下、意外性に満ちたコード・チェンジを持つオリジナル・ナンバーを、まるで他人の楽曲であるかのように淡々と演奏している。バンドのメンバーの、Kurt Rosenwinkel の難しい楽曲に対する消化度は見事。ピアノレスの編成はジャズ的だが、リーダー作の INTUIT で聴かせたオーソドックスなスタイルからは大きく離れ、アドリブも同一人物とは思えないようなモーダルなフレーズの連続。Kurt Rosenwinkel というギタリストの幅の広さ、才能の奥の深さ、独創性を十二分に発揮している。
(記2007.4.20)
KURT ROSENWINKEL
HEARTCORE
(VERVE)◆ Kurt Rosenwinkel:g,key,drums,programming , Mark Turner:ts , Ben Street:b , Jeff Ballard:ds , and others
◆ 2003
● "THE NEXT STEP" よりも更に先鋭的なサウンド、ジャズ・ギタリストのリーダー作として聴くと不意打ちを食ってしまう作品。VERVE というのは寛大なレーベルである(?)。一聴すると、一体こいつは何を考えて音楽を作っているんだろうと思わせるが、慣れてくると段々馴染んできて、殺風景な大都市のバックグラウンド・ミュージックとして最適とまで思えてくるのが不思議。打ち込みのドラムをバックに、メロディーと呼んでよいのか分からない幾何学的フレーズをテーマとして、テーマとどこが違うのかというソロが続く。ディストーションのかかったギターに、自分の演奏の何かを変えていこうという意欲を感じる。ヘンな曲に平然と付き合っているミュージシャンの幅の広さと音楽性の高さにも驚かされる。
(記2007.9.24)
KURT ROSENWINKEL
DEEP SONG
(VERVE)◆ Kurt Rosenwinkel:g,voice , Jhosua Redman:ts,ss , Brad Mehldau:p , Larry Granadier:b , Jeff Ballard:ds , Ali Jackson:ds
◆ 2005
● "HEARTCORE" のエレクトリック・サウンドから一変、アコースティック・バンドをバックに。しかし、聴いてみると曲想は同一線上にあり、独特のメロディーとコード進行は健在。Jhosua Redman や Brad Mehldau が参加して、演奏のレベルが極めて高い。特に、Brad Mehldau の楽曲に対する理解力が凄く、Kurt Rosenwinkel の提示した楽曲に対するイメージを完璧に体現しているのではないか。Kurt Rosenwinkel の特徴的なモーダル・フレーズは完成の域に達したろうか。If I Should Lose You のキー設定とアレンジが非常にユニーク。
(記2007.9.24)

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