■#1■ (#1-MUSIC) ■#2■ ■HOME■

Esperanza Spalding
Billboard Live TOKYO
2008.9.5 19:00 (1st)

Esperanza Spalding エスペランサ・スポルディング:b,vo ベース,ボーカル
Leo Genovese レオ・ジノベーゼ:p ピアノ(フェンダー・ローズ,ピアニカ)
Otis Brown オーティス・ブラウン:ds ドラムス
◆ リーダー作の "Esperanza" が非常に素晴らしい、ウッド・ベーシスト、ボーカリスト、おまけにコンポーザーでバークリー音楽院で教鞭をとるという驚くべき才女、Esperanza Spalding 。その来日公演に勢いで行ってしまった。いくら才女とは言え、若干24歳にして、自分のバンドで、ビルボードライブ東京というステータスの高いライブ・スペースが発する威厳に負けないだけのパフォーマンスを見せる事ができるのか?
◆ まだまだ知名度が高くないようで、客席は満員にはならなかった。しかしそのお陰で、Esperanza の正面の席を楽々とゲット。余り見かけることのない、スケールは通常のようだがボディが3分の2程度のサイズしかないウッド・ベースをかかえて登場。形式名は分からないが、箱型のエレキ・ベースも1曲で使用(全くどうでもいいが、2本のベースを切り替えるライン・セレクターが筆者のと同じ)。Esperanza の手というのが女性的で小さいのだが、サスガに鍛えあげられている感じで、強力なウッド・ベースのプレーであった。ハイポジションでの複雑なメロディーも楽々。演奏した曲にもよるのだろうが、単純なランニングというのは避ける傾向にあるようで、リズム的なフェイクを連発させていた。エレキ・ベースなら普通なのだろうが、ウッド・ベースでやってしまうという発想は独特。
◆ ボーカリストとしては、ジャズ的な歌唱法ではなく、ポップス的といえるのでは。ボーカリストからではなく、楽器の音程を声に置き換えているイメージ。ピアノとのデュオ曲(曲名「Tokyo Check Out」?)があったが、ピアノでの難しい音程の複雑なメロディーとボーカルをユニゾンさせていたのだが、これには驚いた。5拍子の Body And Soul では、ベースのアドリブに続けて、CDで聴かれるようなベースとボーカルのユニゾンのソロもあった。裏声でなくともかなり高い声が出るので音域が広く、これは今後も何とか持続させて欲しいものである。ベースを弾かなくともボーカリストとしてやって行けそうで、そのようなステージも見てみたい。
◆ ステージの前半はひょっとしたら幾分ナーバスになっていたかもしれないが後半はもうノリノリで、Esperanza 独自の音楽世界に完全に引き込まれた。1時間の演奏だったが、まだまだこれからという段階で終ってしまったと思わされた。そういう意味では、観客としては元を取ったといえる?複雑なハーモニーとリズムを持つオリジナル曲は一筋縄ではいかないもので、Esperanza が持たれているであろうポップス的なものとは裏腹の、音楽的に非常に高度なものである。客席の一番前だったので、ピアノとドラムスの生音が聴こえ、ウッド・ベースが持つ音色をバンドに組み込もうとする Esperanza の持つ独自の音楽観を十分に垣間見る事ができた。ただ、Esperanza の曲は難解系も多いので、他のお客さんがエンジョイしていたかどうかは定かではない。
◆ 今回はトリオというシンプルな編成だったが(ギターは入れてほしかったなー)、バンドの人数を増やし、複雑な構成を持つ音楽も聴かせて欲しいし、それが可能な才能のポテンシャルは十分以上に持っている。アンコール前の最後の曲は、Milton Nasimento の Ponta De Areia (アレンジが素晴らしい)だったが、自作のヒット曲も欲しいところである。
◆ CDでも演奏しているピアニストの Leo Genovese は Esperanza の音楽にフィットしているようで、よくサポートしていた。ドラムスの Otis Brown のフォローも過不足のないプロフェッショナルなものだったが、ソロがなかったのは残念。

下は、ギターがいない以外は同じメンバーの演奏、Esperanza の衣装も同じデザイン(全く同じ?)。この曲も演奏していた。
She Got To You


この曲もやってほしかった、I Know You Know

5拍子の Body And Soul

◆ 「嵐」の国立競技場での公演があり、帰りの地下鉄が帰りのファンで一杯になってしまった。
■#1■ (#1-MUSIC) ■#2■ ■HOME■