Gibson J-160E
このギターには、特別な思い出があります。
僕の事について少しだけ話すと
当時、14歳位だった僕は本物(舶来製ギター)に触れるようになりました。
(今、考えればなんて贅沢な話)
その衝撃は、かなり大きなものだったようで
今でも、初めて触った67年製のJ-160Eのあの感触は覚えています。
おお、John Lennonのギターだああ!と思い
弾いてみると「ガシャッガシャッ」といった感じで響きました。
「何じゃこのネックの細さは!なんて鳴らないギターなのだろう・・・」
(今考えれば、J-160Eは構造上鳴らない感じが正解なのです。)
ところで、叔父は僕を連れてしょっちゅう楽器屋に行きましたが、めったに試奏しませんでした。
中学生だった僕には、彼が何を考えているのかさっぱり分かりませんでした。
ところが、横浜の日本楽器でこの楽器を見つけた珍しく試奏したのです。
それまで、J-160Eは僕の記憶する限り2〜3本弾いていたのですが
60年代前半のJ-160Eは初めてでした。
これが、今までにはないくらい鳴ったのです。
そして、すぐに叔父が購入を決めたのを覚えています。
(当時、BonJoviが使った影響もあり価格は高騰し始めていましたが
今に比べればだいぶリーズナブルな金額でした。)
僕にとっては、夢のような話でした。
奏でてみるとどうやってもBeatlesのレコードから聴こえてくるあの音だったからです。
(購入当時の写真、ブリッジがまだ樹脂製のオリジナルが付いているのが分かる)
Beatlesが愛用した楽器として有名です。
62年にジョンとジョージは初めてこの楽器を手にしている。
Gibsonのエレクトリック・アコースティックとして51年に発表されたCF-100Eに継ぐモデルとして誕生。
元々は、カントリー&ウエスタン用に開発されたものとのこと。
ネック・エンドにむき出しのP-90を搭載し、フィードバック防止のためにボディは合板仕様となり、横方向のみ平行に配置された
ラダー・ブレイシングを採用。エレアコのため生音を抑えるというコンセプトだ。
(CF-100Eは、トップは単板、Xブレイシング)
J-160Eはラウンド・ショルダー・ドレッドノートをベースにしアジャスタブル・ブリッジを標準装備したモデルとして
1954年に発表された。
発売当初は、19フレット仕様で、丸いツマミのクルーソン・チューナーとコントロールにスピード・ノブを採用。
アジャスタブル・ブリッジはボディ内のプレートに下駄の歯のようにサドルが垂直に固定され、
ブリッジ両端にセットされた大きな金属ノブを回転させることにプレートが上下して弦高の調整を行う設計になっている。
ブリッジのサドル・スリットはトップを貫通しており、背の高いサドルがその中を上下するというユニークな構造。
55年に20フレット仕様、59年にはセラミック・サドルを採用。
J-160Eは、初期タイプには単板を使うものもあったが、
強度の確保、そしてハウリング対策のために55年、プライウッド(合板)の採用となる。
その内部の構造にはJ-160E専用のラダー・ブレイシングが採用されていた。
(資料によっては、ラテラル・ブレイシングと書いてある。)
Bodyは、フィードバック対策としてトップにシトカ・スプルースの3枚合板が採用されている。
サイドは、3プライ・マホガニー、バックはセンター2ピースのソリッド・マホガニー。
トップ・ブレイスは、ブリッジに平行した配置のラダー・ブレーシング。