地獄のバンタム号
 昔のおもちゃには詐欺みたいなものもあって、動かなかったりすぐに壊れたりということが記憶に残ります。まあ、品質が悪かったってことで納得せざるを得ない訳ですが・・・



 我が国の古い模型飛行機というと、CL機がほとんどでしょうから、やっぱり模型飛行機の「スカもの」はCL機になりますね。





 とある雑誌のほーんの隅に載っていた図でしかお目にかかったことはありません。もちろん友人も同様で、「本当に販売していたのかいな?」と噂していたキットです。機体名は「バンタム号」。





 安価で作りやすく、軽量で飛行性能も・・・・・・って、キット?!を見たときにそーんなの全部すっ飛んじゃいました。雑誌の解説通りエンジン回り以外はみーんなダンボールで構成されており、しかも金属パーツはぱらぱらと材料!が入っているだけ。このピアノ線、どこに使うんだろう(脚として曲げて使う様でした)って次元です。





 水平尾翼や垂直尾翼までダンボールで、それも単板(って言うのかなあ?)ですからダンボールの構造上、空気は抜けますね。と、言うことは燃料や廃油も染みこむ(と、言うよりも入り込む)わけで、耐燃料用塗料をしっかりと「塗り染みこませて」おかないと、空中分解でしょうか。





 負けず嫌いな私は、それでも一時木材に材質変更して復元を考えましたが、半日後に「こ、こんなものー!」となってしまいました。後日談ですが、このキットを私にくれた友人も同様だったそうです。

 どうしよう、本当に。






恐怖のスーパースクラッパー号
 本来なら希少キットとして博物館行き・・・にはならないか。

 島谷治郎さんの設計になるトレーナーですが、東京・神田の模型店がエンジンやハンドルなどのセットで販売するために設計を依頼した機体だそうです。  したがって、専用の説明書が同封されていたのですが、そーんなのとっくに無くなっていました。

 キットの概要はというと、お得意のラワンベニヤ主尾翼に加え、胴体はコンクリートパネル材です。厚さは10mmの「あれ」ですよね。でも、重量を気にしてか非常に細い胴体で、まるで棒!だから「スクラッパー」って付いているのかもしれません。外観はちゃんとした実機風なんですが。

 でも、やっぱりラワンベニヤにキャンバーつけるなんて無理で、お湯につけようがヘアードライヤーで暖めようが、カーブした主翼用の溝に翼を強引に入れると「バキバキ!」です。

 仕方がないので0.6mmの航空ベニヤ外皮に、1.5mmバルサを芯にして、あらかじめ曲面にしたまま接着するといった「シャーレ工法?」で主翼を製作しました。

 しかし、胴体と接着してからだとサンディングが面倒なので、主翼単体でクリヤウレタン仕上げをしたまでは良かったのですが、結構きれいに出来たこの主翼のつやを見た後にキット内の胴体材料を見ると、やっぱり「こ、こんなものー!」でしたね。

 何かの補強用かと思われたベニヤの三角材はオープンコクピット風のキャノピーとヘッドレストだったし、垂直尾翼は胴体にイモ付けなので、エポキシ接着剤を使用しなければ外れそうです。ヒンジ用とおぼしき糸やとてもたわみそうなロッド用のピアノ線など、もーうかんべん。

 同封してある「お兄さんの横顔」は薄い紙ですので、「折って張り合わせ、機体に載せましょう。」なんて無理!だいたい、左右で少しデッサンがちがうぞ!!

 ある日友人が「このキットを買ってこい」と言いました。私は「買う必要はねえだ、これをやるだ。」と言ってキットと自作の方の主翼を渡しました。友人はキットの箱を開けた瞬間「けえすだ」と言いました。その後、「言動には責任をもて!」となり、現在に至ります。悲しいかなスーパースクラッパー。



恐るべし、米山模型(「厚木のK社」かな)

 資料によると、1970年代前半に厚木の某K社から発売されたバルサキットです。当時はバルサキット状態の物と、キットやエンジン、ハンドルにワイヤーなどが燃料とともにセットになっている物との2本立てで販売されていました。「懐かしのキット」のコーナーで紹介している049のセットは当初4900円で発売され、数年の内に5800円になっています。こちらのセットは8200円で発売され、排気量アップに見合った金額ってとこでしょう。







 写真は米山模型の「塗装済み完成機:パイパーカブ」でして、K社のキットと寸分違わないものでしょう。主翼は平面型のようなバルサ板の上にリブをのせ、胴体はバルサの芯に機首部だけベニヤを貼った物です。つまり、エンジンをビスとナットで締め付けるといくらでも締まるってしろものです。












 塗装済み完成っていっても、「燃料は、簡単には染みこまないぜ」っていう程度のものですし、胴体と主翼の接合なんか、「付属のボンドでしっかりと接着しましょう」ですって。接着面積なんかほんの僅かだから、ちょっと引っ張ったら空中分解でしょうね。だいたい、「付属のボンド」って、普通のセメダインCみたいなやつですよ!






 そして圧巻はなんと言っても「組み立て説明書」でしょうね。子供でももう少しましに書きますよ。





 組み立てて危ない。エンジン付けて危ない、飛ばしたらもーう危ないって、こんなの売って、良かったの?

続きです。