待って・待って入手したら、なんと新品!MAMIYA09。

 2人の友人が保有していましたし、結構調子よく回るうえ非常に小型で軽量なので、以前からほしかった1台です。設計者は間宮精一さん。呉服屋に生まれたものの、のちに発明家となり、間宮カメラ(間宮光機製作所:マミヤオーピー)を起こした人です。正確な発売年はわかりませんが、1950年代でしょうね。
 同じ小型09エンジンでは「KYOWA09」がありましたが、こちらは背が低くてつぶれたイメージが強いです。MAMIYA09は背が高く、贅肉はほとんどないように見えるエンジンでして、本当に09クラスもの排気量があるのかと疑ってしまいます。
鋼の一体型シリンダー/冷却フィンをクランクケースに押し込み、かしめ止めでしょうか。ちょっと信じられない組み立て方をしています。したがって、そのままではシリンダー部は分解できないため、ピストンも抜くことができません。

 保有している資料にないので、スペックは実際に測定してみました。もちろんピストンが外れませんので、ノギスによるシリンダーの測定ですが。で、ボア:13.1mm、ストローク:12.75mmですから、排気量は1.7185ccとなり、なんだ、10クラスじゃん。

 シャフトネジのサイズは、M4.5×0.75。KO099Gといっしょ。ただし、初期型はM4×0.75ですので、良く調べてね。

 シリンダーヘッドはアルミの削りだし。ピストンは鋳鉄と思われます。形式は当然のクロスフローですが、デフレクターは円弧を描いています。現代でもF2B専用エンジンである「ストーカー」に採用されている形式で、円筒形の気筒内での掃気効率向上が期待できる半面、製作に手間がかかるので敬遠されがちです。

 一体型シリンダーは鋼製みたいです。黒色染色されていますので、OSのMAX−35の3型みたい。

 使用されているビスは、全てM2.5です。

コンロッドはメタル入りのアルミ製で、クランクケースとフロントハウジングはアルミダイキャストです。このダイキャストが非常に薄い上にきれいに仕上がっていて、見る限りひけなどはありません。これがカメラのボディを作る技術なのでしょうね。ダイキャストの「型」は、フロントハウジングは前方抜きの二分割型。しかし、クランクケースは前後に抜けるスライド型を採用していました。当然排気口とシリンダー部はスライド抜けするのですが、ふつうクランクケースと言えば、型は左右に二分割が一般的でしょうね。

 フロントハウジングは3本のビス留めです。それも取り付けラグの根本を使い、無駄な肉盛りを増やさない工夫がなされています。

 29クラスモデルと同様、カービュレーター内に断面積制御用のデバイスが挟まっています。これで、おおむね吸気口断面積は半分になります。

 パーツの鋳肌を見ると、クランクケースはダイキャストで、打ち出し圧力も良好みたいですが、しわのよったドライブワッシャは、なんかいまいち。29クラスのドライブワッシャは、股裂き状態になりましたしね。

 型が前後に二分割のため、他エンジンでは通常入っているメーカーロゴや排気量の文字が、クランクケース掃気側に入っていません。型が抜けなくなりますからね。かろうじて「MAMIYA」のロゴは、フロントハウジングのベンチュリー前方に入っているに留まっています。したがって、通常であれば取付ラグには左右方向についているはずの「抜き勾配」は、前後についています。具体的には、エンジンの真横からラグを見た場合、その中央が膨らんでいますので、金属エンジンマウントに載せようものなら前後に「かったんかったん」。当然フライス仕上げしておきましたけどね。

 上写真は、KO10との比較です。充分に一回り小さいことが分かります。現物を見るともっと小さく感じます。たしかにKO099と同じくらいですね。

 

 左写真はしゃれで製作した燃料タンクです。旋盤で旋削したのですが、ちょうど良い手持ちのビスが25mm長しかなかったため、タンクの全長は22mmとしました。ネジのくいつきは3mmくらいですからね。

 どうも新品のようですね。多少すすけていましたが、アルコールで洗浄したらこのとおり。

 入手当初はプロップワッシャにENYA09用とおぼしきものがついていたのですが、こちらはドライブワッシャの外径を見ながら自作しておきました。プロップナットのサイズはM4.5×0.75。ここは精度がやや悪く、現代のタップで製作したスピナーナットは、少しきつめになりました。つまり、クランクシャフトの雄ねじがちょっと太いんです。

 クラブ・ハイネス支配人の同エンジンでは、ドライブワッシャがアルミの削りだし(「ひきもの」ですね)でしたが、こちらはダイキャスト、保有している29クラスと同じです。

 あとはマフラーの製作ですが、雰囲気を考えると難しいですね。おそらくいつものパターンになると思います。

(2009年2月11日)

以前、こんなこともやりました。

 やっとマフラーを作りました。構造はいつもの通りで、ジュラルミンパイプの前後に蓋と排気管を圧入です。固定はスプリングで行いますが、このスプリングも自作品です。排気口の合わせ面は0.7mmの淵を残してあります。この辺は手作業ですね。

 フロント側でスプリングを固定していますので、リヤ側で引っかけるようにしています。内容積はやや小さめではありますが、昔のエンジンですからよござんしょう。

 昔風の機体に搭載を考えていますので、胴体幅を見越してマニホールド長は15mmに設定してあります。パイプ内径はφ14、例によって角を丸めただけですが、丸め方を明確にしましたので、なんとなく古っぽく見える・・・・・でしょうか。

 フォーマットのできた構造なので、比較的簡単に完成するマフラーではありますが、それでも4時間以上はかかりますね。細かい作業も多いですし。でも、無いものは仕方ないですね。

(2009年2月13日追記)

 最近アルマイト加工も始めたので、タンクに着色してみました。写真ではどぎつく見えますが、実際はまあまあの鮮やかさ。電流や温度の管理と安全面で目が離せないのが難点ですが、便利になったのは良いことです。

 コマーシャルタイプの寸法などは分かりませんが、私にはこれで充分満足。搭載するときはこのままにするのかなあ。とりあえず回して、モーターラン測らなきゃ。

(2009年2月19日)