ホームスパン 制作工程


  白を基調に黒、青、グレー、緑、茶など10色の羊毛をミックスして
婦人スーツ地を作りました。その工程です。

 使用する糸   ホームスパン5番手   経糸・緯糸とも同じ
 使用する筬  8/2 吋  吋間8羽の筬に丸羽
 通し巾  35 吋 (89cm)  仕上がり巾 80cmの予定
 整経長  5 m   仕上がり丈 4mの予定
 整経本数  560 本  8×2×35
 経糸必要量  2800 m  560本×5m
 緯糸必要量  2200m〜2500m  経糸の約8〜9割



白の羊毛 3 に対して黒・紺・青・グレー・緑・カーキ・茶・黄茶
黄に染色した羊毛 2 の割合いでミックスします
羊毛を混ぜ合わせてから糸にするので、思い通りの色を作り
出せるのがホームスパンの魅力です
平織りスーツ地の制作工程です
カーディング
電動式または手回し式ドラムカーダーでかける場合、
単色でそれぞれ2〜3回かけて、それからミックスして1〜2回
かけます。始めから羊毛を合わせてしまうと色が混ざりすぎて
しまいます。約1.2〜1.5sの羊毛をカーディングします
楽しい糸紡ぎ
5番手に紡ぎます
1日8時間紡いで、服地1着分約10日かかります
同じリズムで1日のノルマを決めてやらないと、1月近くも
かかってしまいます。好きな仕事ですが試練の日々
整経の準備 
経糸を16個の小枠に巻きます
1枠に 175m(2800m÷16個)巻きます
糸が伸びきってしまわないように、ゆっくり巻きます
整経の準備ができました
組み立て式の整経台 (畳1枚位の大きさ)
16枠で35回 560本の経糸を5mの長さに整経します
綾を取り、始めと終わりと真中をしっかり綿テープで結びます
経糸の重さは570gでした
粗筬通し(仮筬通し)
経糸を巻くための粗筬は吋間9羽を使います
31吋の巾に通します
経糸を巻きます
31吋巾 5mの長さを、腕を伸ばし体の重みも利用して
きっちり巻きます
綜絖通し
一人で560本の経糸を約45分で通します
平織りなので順通し   間違いのないように
筬通し
吋間8羽の筬に通します(丸羽)
ゆっくり点検します
織り付け完了
いよいよ織り始めます
経糸と緯糸の割合は同じに織ります
吋間16本緯糸が入るように、たびたび確認します
伸子を張って織ります
巾85cm 長さ4.45m 重さ1.04sに織り上がりました
縮絨
すべての工程の中でとても難しい作業
織り上がった布をモノゲンを溶かした60℃のお湯に入れ、
ビニールで覆いをして約1時間そのまま置きます
長靴を履いて踏むこと20分
モノゲンと熱めのお湯と踏む力で布を縮めていきます
やりすぎに気をつけて、経験だけが頼りの作業です
縮絨し終わったらお湯ですすいで軽く脱水
筒に木綿の布と一緒に巾を整えながら巻きます
皺のないように
巻き終わったら紐を結び筒に物干し竿を通して吊るし
乾燥させます。1〜2日経ったら巻き始めと終わりを逆に
巻いてもう1日干します
いよいよ最後の工程、スチームアイロンでプレスします
服地の巾より大きいアイロン台で巾を整えながらします
ここまでで何の問題もなくきれいに仕上がっているので
アイロンプレスは補助的な作業と考えます
布地をひっぱったり伸ばしたりしないように
アイロンは押すように力を入れスチームをあてます
両面をプレスします
表面に浮き出てきたゴミをピンセットでとります
2時間で終了。巾79cm 長さ4.2mに仕上がりました

染色から糸紡ぎ、織り、仕上げとすべての工程で羊毛に
無理やストレスを与えないよう気をつけます
紡いだ糸の弾力性をその後の作業で失わないように
糸を張りすぎたり伸ばしすぎたりしないよう注意します
織り縮み+仕上げでの縮みは1割にとどまりました
縮絨やアイロンプレスもとても楽でした
こうして出来た服地は注文してくださった方のもとに行き
洋服に仕立てられます