オメガ3脂肪酸は精神病性障害の予防に役立つ
最新疫学研究情報No.72
オーストリアのウイーン医科大学のG.Paul. Amminger医学博士らの研究チームによって、「オメガ3脂肪酸は統合失調症などの精神病性障害の予防に役立つ」との報告がなされました。
研究チームは、精神病性障害のリスクが極めて高い13~25歳の若者(※1)81人を対象に、オメガ3脂肪酸が精神病性障害の予防、または症状の進行を遅らせるかどうかを調査しました。被験者を「オメガ3脂肪酸(魚油カプセル1.2g/日)を摂取するグループ(41人)」と「プラセボを摂取するグループ(40人)」に分け(二重盲検・無作為割付)、12週間連続して摂取させました。
その後40週間の観察期間中に精神病性障害を発症した人は、オメガ3脂肪酸を摂取したグループでは2人(4.9%)、プラセボのグループでは11人(27.5%)であることが確認され、オメガ3脂肪酸は精神病性障害の発症率を低下させることが明らかになりました。また精神障害の症状も大幅に減少させることが報告されました。なお、オメガ3脂肪酸摂取による副作用は見られませんでした。
研究チームは、「今回の研究により、オメガ3脂肪酸は精神病性障害の発症リスクを減少させることが示された。精神病性障害の徴候のある若年層に、安全で有効な予防策となることが推測される」と結論づけています。
※1被験者は、家族に精神病性障害の病歴がある人、または既に軽度の精神障害の症状が見られる人を対象にしています。
出典
- 『Archives of General Psychiatry 2010年2月号』