「ちょーっとまったぁー!!」
突然響いた聞き覚えのある声に、キュアンとリーヴァはそちらへと視線を向けました。
するとそこには、第一話であっさりと正義のヒーロー達にバスで踏まれ実家に帰っていたマトリがいるではありませんかっ!
『マトリ」っ!」
驚きの声を上げるリーヴァとキュアン。
「カノトを捕まえる前に聞いて欲しいことがっ!!」
「おーっほっほっほー!!」
マトリが急いでリーヴァとキュアンの側に駆け寄った時でした。
ガッポン
見事、罠が発動したのですっ!
囮となったリーヴァとキュアンと、そしてターゲットのカノトと一緒に、マトリすら巻き込み、
大きなザルが、4人の頭上に被さったのです!
「あっさりかかりやがったな、カノト」
「・・・さっき、マトリっぽいのいなかった・・?」
「気のせいだ、カイン。」
「で、こっからどーすんだ?」
見事なタイミングで罠につけていた紐を引っ張った、
ギル・カイン・アーク・クガイの4人は、完璧にふさがった大きなザルの側に近づいて来ました。
そっと、カインがザルに耳を寄せれば、
(きゃー!何よコレー!真っ暗じゃなーい!何処にいるか分らないじゃないっ!)
(何なんだよこれー!?何で閉じ込められてんだよ〜!!?)
(しくしくしくしく・・・。)
様々な声が中で響いています。
「とりあえず、中の2人を救出しなければな・・・。」
「キュアンとリーヴァか・・。」
「どうやって?」
4人がザルの前で考え込んでいたときです。
いきなり目の前に、ナイフの刃が飛び出してきました。
それは、人一人分通れるくらいの楕円を描いたかと思うと、支えをなくしてこちら側に倒れてきました。
その様子を大人しく見守っていると、作られた穴から無表情なままのキュアンと、
キュアンに手を引かれて、しくしくと泣いているリーヴァが現れました。
「自力で出てきたか。」
そう言ったアークに目を向け、キュアンはにっこりと笑いながら、
「お前たちは考えてなかったと思っていたからな。ナイフを忍ばせておいた。」
と、告げました。
その言葉が告げられると同時に、外にいた4人が半歩づつ後ずさりをしたようですが、まあそれはさて置き。
「・・・・・・・・・・・・・帰りたい・・・・・・・・・・・。」
未だショック状態のリーヴァの後ろから、ザルの中に取り残されている2人の声が聞こえてきます。
(光よっ!外よっ!!)
(俺、一体何のために出てきたんだろう・・・。)
女の声は開けられた穴に向かって走ってくる様子ですが、
男の声は、どこか自身の存在意味に関して自らに問ているようで、近づいて来る気配はありません。
外に出たリーヴァとキュアンはその場から退き、
正義のヒーローである、ギルとカインがザルに作られた穴の両側に付きました。
女の声が段々と穴に近づいてくるのが分ります。
いよいよ、カノトを捕まえる瞬間がやって来たのです・・・。