ノンストップヒーロー!
             第12話

 
『あ、こちらレアン。大変なことになったかも。』
 
しばらく音信が途絶えていたと思っていたレアンからの連絡が入り、
正義のヒーローのギルとカインは、悪の秘密結社のクガイとアークに目を配りながら、
レアンに返事を返しました。
 
「もしもし、こちらカイン。何かあったか?」
 
それぞれ散らばっていた3人が、連絡用のごつい腕時計を持っているカインの側へと近づき、
耳を立てます。
 
『それがさ〜・・・・。』
 
腕時計から聞こえてくる、どこか言いよどんでいるレアンの声が聞こえ、
 
『こっちの囮のみーちゃんが逃げちゃったみたい。』
 
と、あっさりとこちらに告げてきました。
 
「は?」
 
カインがもう一度聞き返すと、レアンがやれやれ、と言った風なため息を付きながら、
詳しい事情を説明してきました。
 
『それがさ、さっき気が付いたんだけど、みーちゃんと縛ってたロープが切れ落ちてるんだよね。
もちろん、本人の姿は無いから、もしかしたら、怒りに任せてそっちに向かってるかもね。』
 
「お前、それじゃあ囮の意味がねーだろーが。」
 
疲れたような声と共に、ギルがレアンに告げました。
 
『えー。だって気が付いたらいないんだもん。僕もこれからそっちに向かうから。
途中、みーちゃんかカノトを発見したら連絡するよ、じゃね。』
 
がちゃん、と一方的に切れた連絡元の腕時計を、4人は眺め、それからおもむろに顔を合わせると、
そのまま、未だ人質役のリーヴァとキュアンの様子を遠くから眺めました。
 
 
 
 
「・・・・いつまでここに立っていれば良いんだ・・・。」
 
重いため息と共に、リーヴァが呟きました。
 
「そうだな、もうそろそろだろう。見ろ、リーヴァ。」
 
リーヴァの呟きに、隣にいたキュアンが空を指差しながら答えました。
キュアンの指差した方角にリーヴァがのろのろと顔を上げた、その時でした。
 
「おーーっほっほっほー!!良い男発見よー!!」
 
カノトが魔女の箒に乗って空から飛んできたのです。
 
「!!」
 
「・・・この罠に気が付いて無いのか・・・?」
 
一直線にこちらに向かってくるカノトの姿を見て、リーヴァはその場から一歩後ろに下がり、
キュアンは冷静な突っ込みを入れてみましたが、それは誰の耳にも届いていないようでした。
こっそりと、キュアンが後ろに視線を送れば、仲間たちがしっかりと、自分の頭上にある罠に繋がるぶっとい紐を握り締めていました。
用意は万全のようです。
 
カノトが罠の間合い入る。
それぞれの間に一瞬、緊張した空気が流れた、その時でした。
 
 
「ちょーっとまったぁー!!」
 
どこからとも無く、声が響いてきたのです・・・。
 
 
  


           帰る。    進む。