ノンストップヒーロー!
             第5話
 


 
「帰るんだ!」
 
「いやよー!帰らないー!!」
 
「お、落ちついて下さいリーヴァさん!カノトさん!!」
 
悪の秘密結社入り口。
玄関から追い出そうと、リーヴァがカノトを追いやろうとしているが、
カノトは玄関に引っ付き離れない。
リーヴァが、力ずくで追い出そうとしているところを、
ハクロが慌てて宥めている、そんな状態である。
 
しかし、そんな慌しいなか、遠巻きに微笑みながら3人を眺めているキュアンは、
やはり、この状態を楽しんでいるのかも知れない・・・。
 
「えーい!もういい加減にしてよ!こうしてやる!!」
 
カノトは、どこかに隠し持っていたらしいハート型のステッキを取り出すと、
あの、世にも恐ろしいダサヒロイン魔法をリーヴァに放った。
 
しかし、既に見切っているリーヴァに易々とかわされると、
虹色の光は、弧を描いて空の彼方へと飛んでいった。
 
「カ、カノトさん!」
 
カノトの攻撃に慌てたハクロが慌てて、リーヴァとカノトとの間に分け入った時だった。
七色の光の後を追うようにして現われた、赤いハートが見事にハクロの直撃したのだ。
 
「ハクロ!!」
 
リーヴァが慌てた時には既に遅く、
毒々しい赤いハートに触れたハクロは、
何と、体が小さくなり、そのハートの中に捕らわれてしまったのだった!
 
「あら?思わぬ美人さんゲ〜ット!」
 
地面に転がった赤いハートを拾い上げたカノトは、にんまりと笑いました。
その笑顔を見て、凍りついたリーヴァは、
 
「ま、今回はこのぐらいで帰るわね。じゃっ!」
 
と、言ってステッキから出した黄色い星に包まれ、消えゆくカノトを見過ごしてしまいました。
 
「リーヴァ、追うぞ。」
 
何時の間にか側に来ていた、キュアンの声に我に返ったリーヴァは、
 
「・・・楽しそうだな・・・。」
 
「ああ、あの子とお前のとの掛け合いが、見ていて楽しい。」
 
と、キュアンの言葉に、更に気落ちしてしまいました。
 
 
 
「ありがとう、カイン。おかげで、良いもの買えたよ。」
 
ぽかぽか陽気の午後。
ラティスの同居人、リクへの誕生日プレゼントを買いに来たラティスとカインは、
ようやくラティスのお目に叶う物を見つけだし、プレゼントを買ったのだった。
 
「いや、良いものが見つかって良かったな。」
 
「うん!」
 
歳相応に喜ぶラティスに、カインも知らず知らずに微笑んでしまいます。
そんな、平和な時が流れるさなか、
それは起こったのです。
 
「少し付合ってもらうぞ・・・。」
 
低い声が2人の側で聞こえたかと思うと、
2人の視界が覆われたのです。
 
 
 


           帰る。    進む。