ノンストップヒーロー!
             第4話
 


 
 
「えーっと! 向こうの黒髪の長い方がアークで、短い方がクガイ。
そっちの銀髪がリーヴァで?茶色の長い髪がキュアンね!
それで、あなたはハクロ!」
 
「・・・はい。あってますけど・・・。」
 
悪の秘密結社の会議室。
もとい、団らん室。
 
暖かい紅茶と、焼きたてのクッキーの匂いが漂う暖かい広間は、
今、不思議な空気に満ちていた。
 
悪の秘密結社の4人がそれぞれ、
アークは無表情を、
クガイとリーヴァは何処か嫌そうな顔を、
キュアンは普段と変わらず、
椅子に座ってカノトの行動を眺めていた。
 
「アーク・・・。」
 
地に這いそうな低い声をだし、クガイはアークを睨んだ。
 
「お前の言った「それなり」のことはした。」
 
そう言って立ち上がると、アークはそのまま姿を消してしまった。
 
クガイは舌打ちをすると、同じようにイスから立ち上がった。
 
「クガイ様?どこに行かれるんですか?」
 
立ち上がったクガイに気付いたハクロが、声を掛けたが、
クガイは振り向きもせず、無言で部屋を出ていった。
 
「あら?2人も姿を消しちゃったわね・・・。
まあ、3人残っているし、いっかv
ねぇねぇ、何でこのメンバーで悪の秘密結社何かやってるの〜?
4人はどういう関係〜?
あ!このクッキー食べても良い?」
 
こうして、悪の秘密結社では、カノトの質問攻めが始まってしまったのである。
 
 
 
その頃の 正義のヒーローといえば、
 
ギルは日の当たる柔らかいソファの上で、昼ねを
カインとラティスは、ラティスの同居人、リクの誕生日プレゼントを買いに町に
レアンは、家に帰り、CDを聞きながら読書を 
と、それぞれがとても 平和な時間を過ごしていました。
 
 
 
「お前は、今自分がどう言う状況なのか理解しているのか?」
 
「へ?何が?」
 
カノトの質問攻めが始まってしばらく。
あまりのカノトのハイっぷりに付いて行けなくなった
(もともと、付いて行ってないが・・・)
リーヴァは、カノトにストップを言いました。
左右に座る、ハクロとキュアンを見れば、
ハクロは、カノトの質問のスピードとその内容に目を白黒させ、
キュアンは、何時も通りに変わらぬ顔をしてる様ですが、
(・・・この状況を楽しんでいるんじゃないだろうな。)
と、キュアンの様子を遠巻きに眺めながら、
もしかしたら、一番の曲者は彼じゃなかろうかと、リーヴァは感じずには入られません。
 
「いい加減、人質としての立場を思い出したらどうだ?」
 
「人質?私、美形がいっぱいいるよ、って聞いたからここに来たんだけど?」
 
「え?無理やり連れて来られたんじゃなかったんですか!?」
 
ハクロの驚きの声に、カノトは不思議そうな顔をしつつ、
 
「ううん。逆ハーレムが出来るよって言われたのよ。」
 
と、言った。
それを聞き、リーヴァが小さくずっこけ、
キュアンがにっこりと笑ったのは、残念ながら、誰の目にも入らなかったようだ。
 
 
「大体、私嫌よ。帰るつもりないもん。」
 
「誰が帰れと言った。」
 
「じゃあ、残っていいの?やったぁ!私こっちの組織の方気に入ったし!!」
 
「気に入るな!さっさと帰れ。」
 
「さっきと言っていることが違うじゃない!」
 
 
世にも珍しい、リーヴァ vs カノト の公式が出来あがっている中で、
ハクロは、キュアンの空いているカップに紅茶を注ぎ、
キュアンは、「仲が良いな」と、ハクロと話ながらクッキーを摘んでいた。
 
 
 


           帰る。    進む。