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千秋針灸院の治療について

千秋針灸院では中医学に基づき、中国で実際に行われている幅広い適応疾患に対応した針灸治療法によって、難病を含めた
整形外科分野以外の疾患に対しても、効果の期待できる針灸治療を行うことを目指しています。現在は特に眼科領域に注力
しており、眼科分野を専門とする針灸治療院として、最良の効果を得られることを目標としています。


○集中型の治療方式

難病といわれる病気の多くは病状が停滞しているか、悪化(進行)しているものです。私は治療を始めたばかりの患者さんによく
説明するのですが、「止まっている車を動かすのには大きな力が入り、動き出した車は容易に動き続けられる」という例から、
最初は可能な限り集中して治療を行い、良い方向に向かい始めたら治療間隔を空けるという治療のプログラムを立てています。
多くの例で、初期は週に2回程度、良い方向へ向かい安定し始めたら1回程度、目標に達してからは状態維持を目的として
週1回〜隔週1回を推奨しています。進行性の病気でなければ、この状態で問題が無ければ治癒とし、治療は終了となります。

どのような疾患か、病医院との治療の併用かどうか、治療開始時点の状況(停滞・進行中なのか、回復過程か)等で、必要と
考えられる治療回数は変わりますので、実際には週1回程度からの治療をお薦めするケースも多くあります。当院の実績から
同様の疾患や症状から必要と思われる治療回数を推奨していますが、あまりに治療回数が少ない場合、充分な治療効果は
望めなくなってしまいますので、遠方などで通院が難しい場合には、通院可能な地元の治療院での治療をお薦めしています。

難病の治療では遠方や、時には海外まで治療に行かれる患者さんがありますが、実際に優れた治療であったとしても、通常は
難病に対しての針灸治療の持続的な効果は、1ヶ月も持つものではありません。実際、中国国内の針灸治療で治療間隔が
1ヶ月空けても治療効果が出るという話は聞いたことがありません。状態が比較的良好で安定している場合はともかく、進行中の
場合に月に1回の治療では治療効果は不充分になる可能性が高いと思われます。不思議なことに日本で行われる鍼灸治療は、
月に1回が多いようですが、医療としての針灸ではなく、体調を整える等の慰安、予防的な施術が多いのが理由です。

中国での針灸治療は、集中的に治療を行われています。毎日もしくは隔日治療を行い、一定の期間、回数で区切り(クール制)
現代医学に基づいた評価をして、次の治療方針を立てていきます。千秋針灸院の針灸治療も基本は同じです。病気を治療して
実際に効果を上げるための針灸とは、中国の医療機関でのスタイルであると考えています。

○患部を重視した全身治療

日本には様々な鍼灸治療法があり、使う経穴の数や患部を重視した局所治療法、全身の状態を整える治療法等、治療者の
数だけ治療法があると言っても過言ではありません。中医学の分野に限っても同じことがあり、患部を全く治療部位としない
流派もあります。様々な鍼灸治療があることは、ある意味では治療方法に高い可能性が秘められているのですが、事情が
異なるものの、日本での平均的な鍼灸治療は中国の針灸治療の実績に比較して劣ることも多いようです。

中国にも様々な針灸治療があるのですが、実際に病院内で行われている針灸治療法の多くは、患部を重視した(軽視しない)
全身治療が主です。この意味は同じ病院内で競合する現代医学の治療に対して、実際の効果の高さや速さで劣らないことが
原則とされているからです。中国の針灸臨床は現代医学での評価が前提となっており、非常に合理的な治療内容といえます。 

こうしたことから千秋針灸院でも、多くの場合には患部を重視した(軽視しない)全身治療となっています。治療する部位は
疾患によっても異なりますが、最も辛い症状を早期に軽減させていくことを第一の目標としているため、針を行う場所は局所が
中心で主となり、加えて患者さんごとの体質(証)から補佐として加える治療穴を決めています。このため少なくとも10ヶ所程度、
場合によっては50ヶ所を超える針を行います。必要に応じて低周波治療(パルス)や様々な灸法等を加える場合があります。

私は中国への留学生としては珍しいケースと思われますが、まず先に中国の医療現場を目の当たりにしています。このことから
針灸=現代医学と共同・競争できる治療という認識が前提にあります。つまり多様な症状や疾患に対し、具体的な針灸治療に
よって、全てではありませんが症状や疾患が改善されたり治癒したりすること、病医院での検査結果に反映されることは当然と
いう考えです。可能な限り中国の治療スタイルを維持し、中国国内と同程度の結果が普通に得られることを目標にしています。

○現代医学を基本とした評価方法

中国では中医科(針灸科)が通常病院内にあり、必要に応じて現代医学の検査が行われ、治療効果の評価や状態の把握が、
中医学的な舌・脈診ばかりでなく、現代医学の基準によっても行われています。この結果、針灸治療の効果は疾患毎に統計が
作成されており、同等の治療方法を用いた場合には、一般に同程度の効果は得られることが、可能性として把握できます。

日本では鍼灸院と病医院は全く別の医療機関として扱われ、特に鍼灸治療の効果判定については治療方法が概ね統一されて
いないことから、効果が非常に分かり難いだけでなく、統計化することも容易ではありません。また、そういう現状から医師や
患者さんも鍼灸治療の効果に懐疑的であり、鍼灸治療に対して誤った認識をされている場合も目立ちます。
実は日本の鍼灸師でも鍼灸治療の効果や可能性に懐疑的な方もあり、鍼灸師同士が集まっても臨床の話ができないほど低い
水準を目の当たりにするのが現実です。

当院では主訴をはじめとした問診事項、痛み・痺れ・痒み・耳鳴り等のVASを中心とした自覚症状の測定、脈拍やデジタルカメラ、
眼科領域では視力・視野・変視(歪み・暗点)等、簡便で患者さん自身が自覚でき、医学的に一定の根拠ある測定法を積極的に
取り入れています。加えて、舌・脈診、その他の中医診断法、更に病医院による客観的な診断や検査結果等の検討を加えて、
針灸治療の効果を確実なものにしています。患者さんにとって最も信頼できる治療効果が得られることと共に、その積み重ねは
治療者である私自身が一番成長させていただいているものと感じています。


○難病等の治療への取り組み

国の特定疾患等、現代医学における難病の治療は、中医学からみても難治であることに間違いありません。針灸治療とは、
できる限り患者さんの本来の治癒力を発揮させるもので、どれだけ優れた針灸治療も、魔法のように全ての疾患を治せるもの
ではありません。

しかしながら現代医学と中医学では病気の診断や治療の方法、目標が異なり、中医学の診断ではレントゲンや血液データ等では
なく、痛みをはじめとする症状、舌、脈等から患者さんの全体像をとらえる特徴があります。中医学では患者さんの辛い症状を軽減
させることを、まずは目標としており、結果として現代医学から観て治癒に向かう場合もあります〔難病では少ないです〕が、第一に
生活の質が高まることが期待できます。

当院では医師の治療マニュアルでもある医学書院発行の『今日の診療』を導入し、比較的新しい難病への病医院の治療方法や
投薬等に関しても把握・説明ができます。また特に眼科領域へは注力した取り組みを行っており、専門的に踏み込んだ対応が
可能です。病医院の治療に対し相乗効果や副作用の軽減を狙った針灸治療や、中医学の立場から見た病気の概要説明・養生
指導も行っています。時には当院での診察・治療等による指摘から、病医院で診断のつかなかった症状が後で病気と判ったり、
投薬の副作用や誤診を見抜いた例もあります。難病治療に関しては、私自身が患者であった経験から特に思い入れが強く、
病医院での治療に関しても、患者さんの立場に立った視点から、少しでも力になりたいと思っています。

難病等の治療に関して、医師の投薬等の指示は必ず守ってください。明らかに適用外の疾患や、現代医学のみで治療法が確立
している疾患、一定期間治療を続けても効果がない場合等は、必ずしも針灸治療ではなく適切な治療方法をお薦めしています。

おわりに

私事ですが、総合病院に医療事務として勤務しつつ、クローン病を患っていたことから、現代医学的な手法の概要と限界を知り、
難病を持つ方の立場を実感しました。また私自身がクローン病との闘いを通して、中国伝統医学の可能性に出会い、結果として
完全に薬の服用や食事制限からも離れて、治癒を勝ち取ることができました。

現在の私は治療者でもありますが、私自身が難病を克服した経験から、ホームページを当院受診のお薦めという内容ではなく、
「現在の医療で必ずしも充分ではない部分へ、補完できる可能性のある針灸治療を紹介する」という形をとっています。
現代医学の治療効果が不十分な患者さんに、少しでも針灸治療の可能性を知っていただけたらという思いから、ホームページを
更新させていただいています。

遠方のため、当院で直接治療をされる機会のない方も、お近くの良い治療院と出会われることを願っております。

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