第49話「カレーが好きなのだ 6」


カレーが大好きなのだ。

ココ壱でメニューに載っているロースカツカレーやエビフライカレーと言ったいわゆる「○○カレー」とは、同様にメニューに載っているポークカレーに○○の部分にあてはまる具を乗せた物の事を言うのが一般的である。だからロースカツカレーとは、ポークカレーにロースカツの乗せた物であり、エビフライカレーもチーズカレーも同様である。例外はビーフカレーで、これはポークカレーとは全く別のカレーソースが使われており、値段もポークカレーよりも高く設定されている。ココ壱で働いていた者によると、ビーフカレーの辛さはポークカレーの1辛相当だそうだ。

 

 これを書いている2004年7月現在、ポークカレーに具を乗せた調理法のレギュラーメニューは31種類存在している。

これらの具はトッピングが自由で、オーダー時に「ロースカツカレーにチーズをトッピングで」と言えば、出てくる料理はポークカレーにロースカツとチーズを乗せた物になるのである。ちなみに「チーズカレーにチーズトッピングで」と言うと、店員さんは途惑う様子も見せず、いつも通りオーダー内容を確認すると、厨房に戻り「オーダーお願いします。チーズダブルワンです」と叫ぶのである。

 前回の日記にも書いたが、僕が気に入っていたトッピングは「牛もつカレーチーズミックス」である。とにかく、トッピングは自由なので「納豆カレーチーズ乗せ」とか「やさいカレーなす、ほうれん草、キムチトッピング」等も可能なのである。学生時代、まるは「エビにこみカレーバナナミックス」を試みていた。

 ココ壱に少しでも足を突っ込むと誰もが考えるのは、先程挙げた様なちょっと変なトッピングである。しかし考えるだけで、まるの様に実際やってしまう人は多くはないだろう。ちなみに、今までで僕が試した最も変わったトッピングをご紹介しよう。

 

 まず、僕とまるとフルの3人でココ壱に行き、席につく。そしてオーダーを聞きに来た店員さんに僕は言うのである。

「全部トッピングしてください」と。はっきり言って、ココ壱で奇抜なトッピングを試す時に最初に伺うのは店員の反応なのだ。この時は、奇抜なオーダーをしてやったり顔の僕らだったのだが、店員さんも負けていはいなかった。

「量が多くなりますので、少々お時間が掛かりますが宜しいでしょうか?」と返してきた。

「はい、お願いします」と僕。店員と僕らの戦いが始まった気がした。

 

 そして20分も経たない頃、なんだか見た事もない物がテーブルに運ばれてくるのである。

「量が多いので1皿には乗らなかったので2皿にしました」と店員さんが平然と言ってのける。後からついてきたもう1人の店員さんも1皿持っているのである。

「これで全部?」と聞くフルに店員さんは

「はい。確認の為に読み上げましょうか?」と返してきた。もう完全に店員ペースだ。

読み上げを断った僕等は早速全種類トッピングされたカレー・・・とは言い難い物を食べ始めるのである。

 

ココ壱に行ってメニューを見ていただいたら分かるのだが、ココ壱のカレーの具は、火を通す手段として油で揚げると言う手段を取っている物がほとんどなのであるが、これがそもそもの誤算だった。カレーライスと言うよりは揚げ物の盛り合わせと化したこの料理、とてもじゃないが3人では完食出来ないのである。成人男性が3人、1時間以上掛かっても結局完食は無理だった。帰る時、レジで店員さんに「おいしかったですか?」と聞かれた。完敗である。その日の会計、1杯のカレーに締めて7520円也。

 

しかし僕等はリベンジをするのである。

 

[完]


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