第13話「それぞれの事情」


 今回は第11話「衣装は偉大なのか否か」の続きなので、前回を未読の方はまずそちらから読んでいただきたい。

 

 

 駄目だ。昨日の会社の飲み会で飲み過ぎた。ちょっと気持ち悪い。しかもちょっと風邪っぽいぞ。

僕はすこぶる体調が良くなかった。それでも、まるとフルとコスプレ鍋屋へ行く為に1人で電車に乗っていた。

最終目的地は鍋屋であり、鍋料理やお酒を嗜むのである。体調が悪くて楽しめるはずが無い。

本当に体調が悪くなって来たら2人に飲ませて食わせておこう。それが僕の魂胆だった。

ちなみに、本日の催しはオフ会と呼ばれる様な物ではなく、普段から会っている仲間達の集まりの一環である。

 

 電車に乗っていると僕の携帯電話にメールが入った。見てみるとまるからだった。

『わりぃ。出遅れたみたいなので五時半ぐらいになりそうだけど大丈夫かな?』(本文そのまま掲載)

最初に設定していた集合時間と場所は17時頃に名古屋駅となっていた。まぁ、遅刻ではあるが、その時間からでも予約していた時間には間に合うので、特に問題はなかった。ただ、主賓であるまるが遅れるだなんて意外だった。と言うか、予約までしている僕もちょっともどうかと思われる。

 

 僕は先にフルと合流した。

「ごめん、今日は体調がすこぶる悪いんだわ」

と僕が告白するとフルは

「ごめん、俺、今日帰りの電車賃無いかも知れん。あんまり金持っとらんのだわ」

と言った。

 

 体調不良に遅刻と金欠。

いきなり波瀾を含んだスタートとなったのである。

 

[続く]


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