ドーン・オブ・ザ・デッド(原題:DAWN OF THE DEAD)

 


 なんとなんとこの映画、アメリカでは大手ケーブルテレビで、公開5日前に映画の冒頭から10分間をノーカットで放映したと言うではないですか。この映画、冒頭でタイトルクレジットがされるまでの10分間ぐらいが全てだ!とは言いませんが、とにかくタイトルクレジットがされるまでが凄い。ここまでハイスピードで魅せる作品は少ないと思います。まったく、『キューティーハニー』もノンストップ系でしたが、同じ日にそれを上回る超ハイスピードノンストップ映画を観るとは思ってもいませんでした。

 

 とりあえずこの映画を一言で説明するなら、「ゾンビ映画」です。ゾンビに噛まれると、噛まれた人はゾンビに感染するし、ゾンビの頭を撃ち抜けば活動が止まる、定番の設定です。しかし従来のゾンビと決定的に違う点が有ります。それはゾンビが走る事。とにかく走る。しかしその走る事によってここまで面白みが増すとは。

 

 本来なら、トロくて、近くを走り抜ける事も可能であろうゾンビが猛ダッシュして襲ってくるシーンはある意味滑稽で笑えます。

自動車に猛ダッシュしてくる様子などは、何をそんなに必死になっているんだろうと思えるぐらい走って来ます。実はこの映画、じわりじわりと怖い物が出てくるタイプの映画ではなく、出る時は出る、出ない時は出ないとしっかりメリハリがついていて、出ない時には笑えるシーンも多々出てきます。ショッピングモールに篭城した主人公達が、街に溢れるゾンビたちを標的にゴルフをしたり射撃をする場面は、何かの皮肉も感じながら笑えます。って言うか、結構絶望的な状況なのに主人公達がどっしり構えているのも、何かの皮肉かもしれないですね。

 そしてゾンビが出る時は出る。もう町が壊滅するぐらいゾンビばかりの状況になってしまうのですが、そこから脱出しようとバスで強行突破するシーンは正に地獄絵図。このレベルの「絶望的な場面」は今まで観た映画の中でもかなり上位に来るでしょう。それこそ『アルマゲドン』や『ディープ・インパクト』よりも「人類はもう駄目かも知れない」と思わされます。

 監督はこの映画が長編デビューのザック・スナイダー。この人、CM界ではかなり名の通った人らしいですが、そのせいか、映画全体に物凄い映像センスが溢れています。エンディングも魅せ方が上手いなぁ。ストーリー中の主人公とマイケルの恋愛部分はどうにも無理矢理って感じがしてしまいましたが、この監督の次回作にも期待しましょう。ほんと、これは良い映画でした。

 

 実は僕、カプコンの大ヒットゲーム「バイオハザード」シリーズが大好きで、このゲームの新作を買う為に各種ハードを買い揃えているのです。あのゲームの主人公達はこの世界では即死ですな。ま、リメイク版の「バイオハザード」では走るゾンビが出るには出ますがね。

 

 

2004年6月5日鑑賞


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