「女の子は好きですか?」 関山利道九段
昭和48年6月29日生まれ。関西棋院所属。平成14年4月九段に昇段した。現役105人目の九段,そしてまた,このとき現在現役最年少九段。ご父君は故関山利夫九段。他でも書いたが,私の亡くなった師匠小山久良七段のお孫さんでもある。
今年の夏,恒例のお盆で里帰りされたおり,旧小山門下の有志でささやかな昇段祝いの席を設けた。そのあとは例によって,カラオケ。私もどちらかと言うとマイクと仲良しの方だが,利道は私の上をいく。
まず私なんか題名も知らない若者の曲を,テンポよく甘い声で歌う。
「碁より上手いよ」という皆さんのひやかしにも,ニコニコ笑いながら,次々と演歌まで数曲こなした。
さて本題はこれから。
関西棋院の若手棋士が数人で韓国を旅行した。旅行といっても目的は囲碁の研修。そこで彼,李昌鎬と手合わせする機会が得られた。二つ年下のこの天才に私淑していると言っても過言でない利道君,すこし舞い上がった。(彼の言葉による)。そして感想のときなんでこんな質問をしたのだろうということを聞いてしまったのである。
「女の子は好きですか?」
この唐突な質問に、さすが李昌鎬。
「あなたと同じです」
と笑顔で答えたという。
「こんなに素晴らしい彼と同世代を生きることが出来るのが,私の幸せです」と利道君は言う。
道は遠い。しかしいつの日か利道君が世界の舞台で,この天才と烏鷺を戦わせて欲しいと願うのは私だけでないだろう。