『―――紫姫を慰める方法―――』



深苑くんが家出してから一ヶ月以上過ぎた。だけど紫姫は相変わらず無理を続けている。

「このままじゃ、紫姫が倒れちゃう。」
日々元気を失っていく紫姫を見ていた花梨は心配していた。
「何とかしなきゃ。苦労を掛けているのは私なんだから、私が力になってあげなきゃ。そうよ、星の一族の為に頑張るのも、龍神の神子の役目の一つよ。」
花梨は決意を固め、ぐっと握り拳を作った。
「でも、休んでって言っても、素直に従ってくれないからなぁ。」
花梨は悩み続ける。
「だったら相談役、悩みを聞いてくれる人がいれば良いんじゃない?話すと気持ち的にラクになるから。」
そして一つの結論に辿り着いた。
「うん、みんなにも協力して貰おう!」



「ねぇ。私を守ってくれているのと同じように、紫姫の事も支えて欲しいんだけど。」
八葉が屋敷に来た日、早速頼む。
「おう、オレ達に任せとけ!」
紫姫の顔色が悪いのに気付いて心配していたイサトが、ドンと胸を叩いた。
「それは勿論構いませんが。いえ、当然、協力させて頂きますよ。」
幸鷹が頷いた。
「神子。それが必要か?」
しかし泰継一人、疑問を投げ掛けた。
「当然です。」きっぱりと答える。「龍神の神子と星の一族は一心同体、紫姫は私にとって掛け替えの無い大切な人ですから。」
「そうか。」
あっさり納得。
「具体的にはどうすれば宜しいのですか?」
頼忠が尋ねると、花梨は泉水の手を握った。
「泉水さん、紫姫のお母さんになって!」
「はい?」
「「「「「「「はぁ〜〜〜?!」」」」」」」
「うん、優しい母の愛情で包んで守って欲しいの。」
「花梨!お前、泉水殿が男だと知っているだろう?」
勝真が喚いた。
「当たり前じゃない。そんな事、言われなくたって知っているよ。」眉を顰める。「でも今の紫姫に一番必要なのって母親だって―――。」
「しかし、紫姫が男の泉水殿に甘えられるとは思えません。」
彰紋が言うと、八葉がそうだそうだと口々に同意した。
「そう?」
私だったら大喜びで甘えるけど。
「はい。泉水殿を女人として見るのは、無理があります。」
「う〜〜〜ん。」確かに紫姫には難しいかもしれない。「そうかもしれない・・・。」
渋々頷く。と、他の案が閃き、顔を輝かせた。
「じゃあ、幸鷹さん。紫姫のお父さんに―――。」
「ふざけた事言ってんじゃねぇ!」
「ふざけていないよ、大真面目だよ!」
怒鳴り返したが。
「「「「「「「「余計に悪いわっ!」」」」」」」」
大きな大きな雷が落ちた。



当然、花梨のお願いは却下され。
その代わり翡翠の提案で、神子の役目を一日休んだ花梨が紫姫の話し相手を務めたのだった―――。






注意・・・第4章頃。そして紫姫との友情イベント第3へと進む。

こんなに短い話なのに、意味も無く、八葉全員登場。

2006/10/07 03:36:14 BY銀竜草

掲示板から再掲。

2007/06/21 18:11:48