『―――悩み―――』 |
花梨がこの京に残って早六ヶ月。 想いを交わした頼忠の恋人から妻へと変わったが、予想だにしていなかった悩みを抱える事となった。 「うぅぅ、今日も朝のお見送り出来なかった・・・・・・・・・。」 毎夜毎夜、手加減をして慈しんでくれるのだが、所詮、旦那様と花梨の体格、鍛え方の差がありすぎ、体力の消耗が激しすぎて朝起きられない。 でも! 「旦那様の出勤のお見送りって、妻としての役割、特権。憧れなんだもん・・・・・・。」 神子時代は、あちこち京を歩き回って、怨霊と戦っていたから体力には自信があったのだけど。さすがに今の妻の立場では、ふらふら遊び回るなんて出来る筈が無い。 「体力落ちたかなぁ・・・・・・・・・?」 ならば。 「よしっ!体力をつけよう!」 頼忠に内緒にする事は不可能。だったら、体力をつける方法、言い訳も考えなきゃ。 花梨は、昨夜頼忠がお土産として贈ってくれた橘の花を睨みながら、考え込んだ――――――。 夜。寝る準備も整い、二人っきりで寛いでいる時刻。 「頼忠さん、護身術教えてくれませんか?」 「どうなさったのです、いきなり?」 滅多に無い花梨のお願い事に、頼忠は戸惑ってしまう。愛しい妻の願いは全て叶えたいが、なぜ護身術? 「最近少しずつ暑くなってきているでしょう?私、体力が落ちてきているのか疲れ易くて・・・・・・。このままじゃ、夏バテしてしまいます。」 頼忠の眉間に皺が寄る。『暑い?体力が落ちている?疲れやすい?』 「私が倒れたら頼忠さん、心配ばかりして仕事に集中出来ないでしょう?そしたら、危ないもん。かすり傷一つでも、嫌だから・・・・・・。」泣きそうな顔で言う。「それにね。戦うのは無理だとしても、逃げる事が出来るようになれば、普段も少しは安心出来るだろうし。」 武士と言う職業には危険が付き物。とは言え、この自分が負担になるのは、足手まといになる事は絶対に、は不可能だが、何としてでも避けたい。 考え始めたのは個人的な理由、願望の為だった筈なのに、何時の間にか頼忠の事。頼忠の為になる事ならば、と必死でお願いするのだが。 『この女(ひと)は何て可愛らしい事を考えておられるのか!』嬉しすぎて言葉にならない。『私の身を案じてくださるとは・・・・・・!』 無意識のまま抱き寄せ、唇を重ねてしまう。 驚いた花梨が反射的に逃げようとしたが、この頼忠から逃げられる筈が無く。 「貴女を守る事が私の喜び。私の事は何一つご心配なさることはありませんよ。」また口付ける。 「体力のご心配をなさっておいででしたら。」突然、花梨を抱き上げた。「護身術ではなくとも、運動は出来ますよ。」にっこりと愛しい妻に微笑みかけて歩き出す、褥へと。 「ちょっと待ってっ!何処触っているんですかっ?!」花梨は逃げようと身体を捻る。 だが、当然結果は同じ。 「もおおお、何でそうなるですかあ!」 褥に優しく降ろされ――――――後は、毎夜いつもと同じ。 翌朝、また寝坊して起きられなかった花梨は、泣くしかない。 「うわぁ〜ん。頼忠さんのばかあ!」 さて。 花梨の「妻としての役割」を果たせる日はいつになるのか? それより、叶う日が来るのか? 龍神さえ解らない―――――――――。 注意・・・6月頃。 某サイト様の描かれた花梨ちゃんがあまりにも可愛くて可愛くて、つい妄想してしまった・・・・・・。 描かれたご本人様、解るかしら? 2004/06/25 03:05:48 BY銀竜草 |
優しい綾(くろい)様は、持ち帰り&UPの許可を下さいました。もう、嬉しい〜〜〜♪♪♪ |