『―――女の子からの告白―――』 |
「頼忠さん、まだ起きてる?」 息子を寝かしつけて寝室に入って来た花梨は、夫に話し掛けた。だが、返って来たのは、ちょっぴり拗ねた声。 「もう、寝ています。」 花梨側に背中を向けて、枕に顔を半ば埋めるようにして寝ている。 「起きているじゃないの。」 苦笑してしまう。バレンタインのチョコを頼忠だけでなく、息子にもあげたのが気に入らないようだ。大切な男(ひと)に贈るチョコレートを、自分以外の男にもあげた事が。 「何を拗ねているんですか?忠直は貴方と私の息子ですよ。大切な男(ひと)には変わりは無いでしょう?」 「それはそうですが・・・・・・。」 十歳も年上なのに、こういう事に関しては子供のように拗ねて甘えてくる。困った男(ひと)。―――まぁ、こういう所も可愛くて好きだけれど。 普段自分が寝ている方のベッドの上に座り、背中越しに頼忠の耳元に口を近付けて囁いた。 「頼忠さんが欲しい言葉を、一晩中囁いてあげる。」 途端、跳ね起きると花梨を抱き締める。 「本当に宜しいのですね?その言葉に嘘はありませんね?」 「うん。」こっくり頷く。「だって今日はバレンタイン・デー。女の子が告白する日だもん。」大胆発言した割には全身真っ赤になって、恥ずかしそうに下を向いたままだ。 「覚悟なさい。」 脅すように、でも嬉そうにそう言うと、愛しい女(ひと)の顎に手を添えて上を向かせる。 そして、その後は――――――。 花梨は本当に、頼忠の欲しい言葉を一晩中囁き続けた。 当然。 翌朝の忠直と花梨の世話は、やたらとご機嫌な頼忠がするのだった――――――。 注意・・・現代ED数年後。ここでも息子の名前は『忠直』・・・安易な(汗) これ・・・・・・バレンタイン創作のつもり。 突然、話が思い浮かんで約1時間で書き上げました。 短すぎるけれど、何も無いよりはマシかな?(どきどきどき) 花梨ちゃん、妻であり母であって女の子ではありませんが(苦笑) 2005/02/12 02:20:50 BY銀竜草 二次創作の部屋に移動。 2005/03/02 0:37:28 ホワイトデー創作『―――願いを叶えると―――』に続きます。 2005/03/11 1:40:06 |