「12222」番・課題出題者・海の賢者様へ。 |
『―――頼忠の喜劇・花梨の悲劇―――』 |
最近、花梨の朝は祈りを捧げる事から始まる。 褥の上に座ったまま胸の前で手をぎゅっと握り合わせて、願い事を心の中で何度も繰り返す。 『神様仏様龍神様、お願いします。今日こそはあの男(ひと)の顔を見て挨拶出来ますように。笑顔で会話出来ますように!』 ぱんっ! 顔を叩いて自分を励ますと、よしっと声を出して着替え始めた。 数日後。 「頼忠。」勝真が声を掛ける。「お前はしばらく屋敷に来るな。」 「お前に言われる筋合いは無い。己の役目を果たすだけだ。」頼忠は勝真を睨み付ける。 だが。 「しかし、お前が傍にいると神子の気が乱れる。」泰継が言い。 「あの・・・神子は頼忠にだけ、態度が違うのです。」泉水が顔を曇らせる。 「・・・・・・・・・・・・。」 少女のここ数日の態度を思い返すと、頼忠には確かに思い当たる事がある。 「神子殿はお前の姿を見ると緊張していますよ。」幸鷹が眉を顰める。 「花梨はお前の声を聞いただけで震えているぜ?」イサトが睨み付ける。 「姫君を怖がらせてはいけないよ?」翡翠が諭す様に言う。 「花梨さんを脅すような事をしたのですか?」 「なっ!」彰紋のその問い掛けにはさすがに顔色を変えた。「そのような事は――――――っ!」 「無いと言い切れるのか?」 「うっ!」 絶句。 過去、怖いと言われた事がある。お前は視線だけで人を殺せるな、と。そう言った武士団の男は、どんな賊や怨霊にも恐れずに向かって行く頼忠が次々と手柄をあげるのをやっかみ、嫌がらせで言ったのだけれど。 その時は何とも思わなかったが、この眼が『主』であり一人の『特別な女の子』として見ている少女を怖がらせているとしたら―――。気になると、止まらない。考え出すと、深みに嵌って行く。 『怖い、だろうか?いや、しかし・・・。』視線、眼は努力して優しくなれるものではない。『だからと言って、このままでは・・・・・・・・・。』想いを返して欲しいなどとは考えた事は無いが、だからと言って、己から逃げ隠れされては寂しい。みんなが貰っている光のような笑顔を、自分だって欲しいのだ。『だが・・・・・・・・・・・・。』これの解決策など見付からない。 肩を落として武士団に戻る頼忠を、にこやかに、しかし憎憎しそうに見送る七人の男達。 「これで少しは時間稼ぎになりますか?」 彰紋の問いに、六人は頷いた。 「そうでなけりゃ、困るぜ。」 「そう、ですね。」幸鷹が眼鏡を外して拭く。「神子殿の御心に気付いていないのは、頼忠だけですからね。あの方の態度が怖がっているのが原因と考えたのなら、そう簡単には近寄れないでしょう。」 「全く、花梨の悪趣味には呆れるぜ。」イサトのその言葉に、全員が頷く。「おっかない顔でだんまりじゃあ、何を考えているのか解らなくて気持ち悪いったらありゃしない。あいつのどこを気に入ったのか、理解に苦しむよ。」 全くだ、と全員が頷くが、内心、ホッとしてもいる。頼忠以外の男なら気付いてしまう。あっと言う間に両想い。隙は無いだろう。恋敵が頼忠ならば、横から掻っ攫う事が出来るかもしれない。今はこいつらと手を組むが、何とかして抜け駆けする方法は無いものか?―――考えている事も皆同じだ。 「ん?頼忠、今日も任務はお休みか?」 最近、某貴族の警護という特別任務で武士団にはほとんど居なかった頼忠が、ここ何日も姿を見せているのを不思議に思った同僚が尋ねた。 「・・・・・・あぁ。」暗雲背負う、との表現とはこうだとの雰囲気の頼忠が答える。「しばらくあちらには行かれないから、その間、稽古をしている。」 「稽古?」そんな覇気の無い状態で稽古?「何かあったのか?」 「いや・・・何も無い。」 「相談ぐらい、乗るぜ?何時も世話になっているんだからさ。こんな時ぐらい、役に立たせてくれよ。」 わくわく。何事にも真面目に取り組み、どんな難しい任務もラクラクとこなしているように見えるこの頼忠の悩みとは何だろう? 「・・・・・・・・・・・・。」しばらく躊躇っていたが、とうとう白状する。「どうしたら優しい眼になれるだろうか?」 「はぁ?」意味が解らない。「何を言っているんだ?」 「お守りしているお方が、私の眼を怖がってしまうのだ。だが、努力をして優しくなれるものではない・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・?」なぜこんな事で悩むのか?こいつが悩むような事か?今までの頼忠なら気にはしない筈だ。「お守りしているお方って、あの髪の極端に短い女童だよな?」 「女童ではない。りっぱな女人だ。」 「へっ?」何を言っているんだ、こいつは?あれのどこが女人なんだ?「・・・・・・・・・。」もしかして・・・・・・。ふぅ〜〜〜ん。「なぁ、頼忠。」 「何だ?」 「そのお方が怖いと言ったのか?」 「はっきりとおっしゃられた事は無いが・・・・・・・・・他の者達とは、態度が違うのだ。」ぼそりと呟く。「私にだけ、笑顔を見せてはいただけない・・・・・・・・・。」 「そうかそうか。」そういう事か。にんまり。「なるほどな。」どんな美人と付き合おうが長続きしなくて不思議だったのだが、最初から美人に興味は無かったのか。あれのどこが良いのかは解らないが、人にはそれぞれ好みと言うものがある。ここは一つ、友人として役に立ってやろうじゃないか。 面白い案は無いかと、一生懸命に考える。そして。 「まぁ、暇なら久し振りに稽古をつけてくれよ?これでもお前がいない間、みっちり稽古をしていたんだ。上達したかどうか、見てくれ。」 「・・・・・・そうだな。」やる気が有るのか無いのか、イマイチ解らない返事。 「じゃあ、道場で準備をしておいてくれ。俺はちょっと用事があるから。」 そう言って、仲の良い若者数人に頼み事をしに行った。 震えて嫌がる数人を宥めて無理矢理木刀を持たせる。そして、他の一人に文を頼む。これで準備万端、それから頼忠が待つ道場へと向かった。 元々、剣の腕前は比較にならない。今のこの頼忠に真剣を持たせるのは怖い。手加減をする余裕は無さそうだ。命は惜しい。木刀で練習する事にする。 「・・・・・・来い。」 男は息を吸うと。 「おりゃあ!」声を張り上げながら闇雲に斬りかかる。 それを頼忠はひらりと右に避ける。 「・・・・・・・・・。」 今度はじりじりと移動しながら間合いを計る。そして、再び打ち込む。 ビシッ! ガンッ! 今度はあっさり木刀で受け止めると、弾き返す。 『・・・・・・こんなに覇気の無い頼忠は初めてだ。』 何度か稽古をつけて貰っていたが、何時も相手にならない。今日は互角、とまではいかないが、頼忠の剣に鋭さは無く、打ち合いが続くのだ。 「ふぅ。少し休ませてくれ。」 男はそろそろ頃合かと、疲れたように言うと。 「・・・・・・・・・。」 頼忠は何も言わずに木刀を下ろした。 その瞬間。 男に頼まれた若者が数人、足音を立てずに頼忠に近付く。そして、一斉に木刀を振り下ろした。 「「「「たぁ――――――っ!」」」」 ガンッ! ボカっ! ゴンっ! ボスッ! 日頃の鍛練のお蔭か、殺気を感じた頼忠、自然と身体が動いた。 「お見事っ!」 男は思わず感嘆の声を上げてしまう。 「「「「くっ・・・・・・・・・!」」」」 頼忠の足元には、頭や腹を押さえて転がる四人の若者。 「・・・・・・ふん。修行が足らんな。」つい先程まで稽古の相手をしていた男を睨む。「何を企んでいる?」 『・・・・・・・・・怖っ!』鋭く光る刀のような眼に射抜かれ、恐怖で身体が動かない。『これじゃあ、女は裸足で逃げ出すわ。』 「お前がやらせたのだろ?何を企んでいるのかと訊いているのだ。」 「えっと・・・・・・。」気が緩んだその瞬間なら、この頼忠を倒せるかなぁ、なんて考えたとは、とても言えない。あの女の子が頼忠を嫌っていなかったら心配してくれるかも、と期待したとは。恋の橋渡し役をやろうと思ったなんて。「いや・・・・・・覇気が無いから・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・。」瞳がキラリ。木刀をぎゅっと握り直す。「そうか、私の為か。鍛錬が必要か。」 相手をしてくれ、と一歩近付いて来るが、その漲る殺気に怖じ気付き、無意識のまま後ずさりしてしまう。男は命乞いをしようと口を開きかけたが。 「頼忠さんっ!」女の子が駆け寄って来た。「頼忠さんが大怪我をしたって。大丈夫ですかっ?」 「神子殿?」 花梨は頼忠に抱き付かんばかりに近寄ると、怪我の箇所はどこかと身体を触り出す。 「どこ?どこを怪我したの?」 「神子殿?私はどこにも怪我などしておりませんが。」 「えっ?」顔を上げて、頼忠の眼を見返す。「だって、手紙、文が来たよ?頼忠さんが大怪我をしたって。」 「文?」花梨の手には文が握られている。それを受け取って読むと、確かに書かれていた。あの男の筆跡で。「私と他の者とを勘違いしたのでしょう。私は掠り傷一つありません。ご心配お掛け致しまして、申し訳ありません。」 「・・・・・・・・・・・・怪我、していないの?痛いところも無いの?」 「はい。」神子に心配掛けさせてしまった事を、どうお詫びすれば良いものかと考えながら男を睨んだが。 頼忠の袖を掴んでいた少女の手がズルズルと下へ滑り落ちる。 「神子殿?神子殿!」花梨は地面に座り込んでいた。慌ててしゃがみ込み顔を覗き込む。「神子殿?いかがなされましたか?」 「良かったぁ・・・・・・。怪我、していないんだ。」呆けたように繰り返す。「そっかぁ・・・大丈夫だったんだ・・・・・・。良かったぁ・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・。」この頼忠の身を案じて下さった?頼忠を嫌ってはいないと・・・そういう事ですよね?「ありがとう御座います。」 ふっと笑みが浮かんでしまう。 「良かったぁ・・・・・・・・・。」 そう繰り返し言って頼忠に微笑み返すが、身体から力が抜けてしまう。倒れそうになり、慌てて頼忠が抱き支えた。 「神子殿?神子殿!」 「・・・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・。」この頼忠に微笑んでくれたのも、安心しきって身を預けてくれるのも嬉しいが、このまま抱き抱えていて良いものかと悩んでしまう。『どうすれば良いのだ?』 困った頼忠、周りの男達に助けを求めるように見渡したが。 男達はにやにや笑みをを浮かべながら、ぎゅっと抱き締める真似をする。『ほれ、こうするんだよ!』 『出来るかっ!!』 少女が立てないのなら武士団で休ませた方が良いのだろうが。『この荒くれ者の中で休ませるのは・・・・・・。』心配だ。 「馬でお送り致しましょう。少々、お待ち下さいますか?」 「う、ま?馬に乗って帰るの?」ほけ〜〜〜と聞いていたが、とんでもない事を言われている事に気付いた。以前、他の人に乗せて貰った時には怖くてしがみ付いてしまった。頼忠さんにしがみ付くなんて、そんな事出来ない!「嫌です!歩いて帰ります!」 そう言って立ち上がろうとしたが、足に力が入らない。よろけてしまう。 「神子殿!」慌てて抱き支えるが。 「大丈夫ですっ!」振り払う。「一人で帰れます!」よろけつつ蹴躓きつつも歩き出す。 「神子殿!頼忠に掴まって下さい。」追い掛けるが。 「うわっ!」追い掛けられれば、本能でつい走り出してしまう。「一人で大丈夫だってば!」 ピキっ! 頼忠の中で何かが切れた。 『なぜ、私だけお傍に居る事をお許し下さらないのか?』 納得がいかない。なぜ、私だけを怖がるのか?信頼していないと、そういう事なのか? 勝真が馬に乗ると言ったら、乗せてくれと強請ったではないか? イサトが喧嘩をし始めると、怒鳴るイサトにも怯まずに止めに入るではないか? 彰紋様と一緒に、あのような高い建物の屋根に上られたではないか? 幸鷹殿が夜中に神泉苑に行くとおっしゃったら、付いて行ったではないか? 翡翠が海賊でも、平気で二人きりになられるではないか? 泉水殿が宮様に責められていると、守ろうとするではないか? 泰継殿が秘密を明かしても、態度はお変わりにならないではないか? 「神子殿!頼忠を信頼出来ぬ理由が有るのなら、それをおっしゃって下さいませんか?」走る花梨の後を追い、頼忠も走り出す。 「信頼しています!」当然、逃げる。 「ならば、頼忠からお逃げになるのは何故で御座いますか?」 「逃げても居ません!」 「現に今、逃げているではありませんか。」 「帰るんです!」 「ですから、屋敷までお送り致します。」 「一人で大丈夫です。」 「危のう御座います。」 「一人で来たんだから、一人で帰れます!」 「神子殿!」 「大丈夫だってば!」 賑やかに、騒々しく去って行く二人を、五人は呆然と見送る。 『何だよ・・・・・・、両想いじゃんか。』頼忠の事が初恋なのか、女の子の初々しい反応が可愛い。『頼忠のヤツ、どうして気付かないんだ?』 いや、武士団の中でも飛び抜けて女心に鈍感な頼忠だから、気付かなくても仕方が無いかもしれない。仕方が無いのかもしれないが・・・・・・毛を逆立てた子猫のような反応の女の子に、怒って真正面からぶつかって行く頼忠はあまりにも大人げ無いと言うか情けないと言うか。 『お前、幾つだよ?――――――可哀想に・・・・・・・・・。』 呆れるのを通り越して、女の子に対して同情の涙が止まらない。 次の日の朝、花梨は反省をしていた。 「屋敷に送るって言うんだから、ありがとうって言って送って貰えば良かったんだよね。」そう、ただそれだけの事の筈だったのに。なのに、過剰反応を起こしてしまった。「逃げちゃった・・・。」拒絶の言葉とともに、支えてくれた腕を振り払ってもしまった。「何で頼忠さん相手だと、普段の私ではいられないんだろう?素直になれないんだろう?」いや、理由は解っているけど。 「はぁ・・・・・・・・・。」 大きなため息を吐きながら、のろのろと身支度を整える。 昨日の今日では、頼忠さんには逢いたくない。自分が情けなくて恥ずかしくて。こんな落ち込んだ気分じゃ、逢えない。それに、どうせ眼の前にいたら、素直に昨日の態度を謝る事は出来ないだろう。だったら、謝罪の手紙でも書こうか。 「紫姫に文の用意を――――――。うわっ!」ぶつぶつと独り言を呟きながら妻戸を開けた花梨は、驚きのあまり悲鳴を上げた。 「神子殿。おはよう御座います。」眼の前に頼忠が立っていた。「今日から、神子殿の信頼を得るべく、従者としての務めを果たさせて頂きます。」 「えっと・・・えっと、あの―――。」動揺。 「ちょっと待て!」勝真が怒鳴り駆け寄って来た。「しばらくここには来るなと言っておいただろうが!」 「私だけが信頼されていないのは、この頼忠の不徳の致すところ。この頼忠が信頼するに値する従者だとご理解して頂けるよう、努力する。」勝真を睨む。「それには、ずっとお傍にいて神子殿をお守りする。」 「そう言う問題じゃない!」 「いや、そう言う問題だ。」 「花梨の為にあっち行っていろっ!」 「いや、それでは何時まで経っても信頼して頂けない。」 「それで良いんだっ!」 「嫌だ。」 「・・・―――っ!!」 「―――・・・っ。」 怒鳴り合いの喧嘩はしばらく続いたが、頼忠の決意を変えさせる事はついに出来なかった。 そんなこんなで。 頼忠はずっと影のように花梨の傍に付き従う。 「・・・・・・・・・。」部屋の中にいると。 「・・・・・・・・・。」廂で静かに控えている。 「えっと、他の用事は無いんですか?」 「神子殿をお守りする事が、この頼忠の役目ですから。」 「・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・。」 寛げない・・・・・・。 「・・・・・・・・・。」簀子に出ていれば。 「・・・・・・・・・。」庭で高欄の傍に立っている。 「ずっと傍にいなくても大丈夫だから、たまには休んで下さい。」 「いえ、私の事はお気になさらずに。」 「・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・。」 沈黙が痛い・・・・・・。 「・・・・・・・・・。」散策では、下を向いて黙々と歩くが。 「・・・・・・・・・。」三歩後ろを黙って歩く。 『き、気まずい・・・・・・。』花梨は落ち着きが無く、情けない表情になってしまう。 『何が何でも絶対に、お守りする。』頼忠は相変わらず、生真面目で厳しい表情だ。 「・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・。」 護衛されていると言うよりも、監視されている気分になってしまう。傍から見ても、異様な光景だ。 怨霊退治の時は、更に居たたまれない気持ちになる。 頼忠「一歩も退くつもりは無い。いざっ!」怨霊など、神子殿のお側には近づけんっ! 泰継「ふむ。私などの出る幕は無さそうだ。」 イサト「おぉ、やる気満々だな。」 翡翠「さてと。ここは頼忠に任せて私達は後ろに下がって見物していよう。」 花梨「・・・・・・・・・。」 頼忠「はぁ!」このような者、頼忠の敵ではないっ! 彰紋「凄い・・・・・・。一撃必殺ですね。」 泉水「怨霊が頼忠の気迫に押されています。」 花梨「・・・・・・・・・。」 頼忠「さぁ、神子殿。封印を!」振り返ると、血走った眼でそう言うが。 勝真「お前の方を封印したいぜ。」 幸鷹「危険なのは頼忠の方かと存じますが。」 花梨「・・・・・・・・・。」 頼忠が必死になればなるほど、裏目に出る。花梨からは笑顔が消え、七葉には安堵の笑みが浮かぶ。 「あのね。本当に私、頼忠さんの事は信頼しているんです。」 「でしたら、頼忠からお逃げにならないで下さい。」 「だから、逃げている訳じゃ・・・・・・。」 「・・・・・・・・・(じぃぃぃぃ)。」 「・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・。」まだまだ私の気持ちは伝わっていない。「これからも誠心誠意お仕えする所存です。」 「へっ?ちょっと待って?」 だが、頼忠の態度は、更に悪化した。 緊張感漂う雰囲気のまま、時間はゆっくりと流れる。 好きな男(ひと)が傍にいてくれて嬉しい、とかそういう気分にはなれない。元はと言えば、花梨の頼忠に対する態度が他の仲間に対する態度と違ってしまったからこうなったのだが、だからと言って、こんな勘違いをするとは。蛇に睨まれた蛙のような心境だ。いや、頼忠が苦手な訳ではないけれど。しかし、そんな空気を作り出す頼忠せいで、花梨には心静まる瞬間が無い。 花梨の朝の祈りが少し変わった。 「龍神様ぁ!どう言ったら、この誤解が解けるんですかぁぁぁ〜〜〜!?」 注意・・・第3章〜第4章頃。 頼忠→花梨、花梨→頼忠。 あれあれあれ?ピントのズレた花梨ちゃんを書いていた筈なのに、何時の間にか、頼忠が壊れてしまいました・・・・・・。 課題内容自体は難しくは無かったのに、なぜこんなにも時間が掛かってしまったのでしょう?言い訳を始めれば、2日や3日掛かるので止めておきます。 リクエスト内容と合っているようで、微妙にズレております。 待たせるだけ待たせておいて、こんな作品になってしまいましたが・・・海の賢者様、どうします?やっぱり、受け取り拒否でしょうか?(涙目縋り眼) |
創作過程 |
2005/07/15 18:08:17 BY銀竜草 |