さて、ライン川の対岸へ渡った私たち。
車を下流(つまり、来た方向)に向かわせる。
ほどなくして、
オーバーベーゼルの標識と石造りの門を通り越した。
ドイツの城を持つ大抵の街がそうであるように、オーバーベーゼルも街を守るための門と城壁があるらしい。
この小さな街は山肌にはりつくように立っていて、私たちはこの山の上にある古城ホテル「
アウフシェーンブルク(美しい城の意)」にたどり着くために、街の中の細い道路を上へ上へと登っていった。
道路の両側には古い建物が並んでいる。伝統的な木組みの家(ローテンブルクにあるような、おとぎ話に出てくるみたいなやつ)もあれば、それより重厚な、石造りの古い家まで。全体にとても優雅なかんじのする街並みだ。どの家も窓やドアも花で飾られている。
観光の街ではないので観光客の姿はなく、地元の人がときどき散歩をしている姿が見える。
すぐに、私はこの街が気に入った。
ドイツを発つ日になっても、やっぱりこのオーバーベーゼルが私のナンバー1だった。
しばらく街を走るが、一向にホテルへの標識が出てこないので、散歩していた夫婦に尋ねてみる。
初老の夫婦は、車の中から話しかける怪しいアジア人(笑)にも優しく道を教えてくれた。しかも、英語で!
ときどき英語の単語が分からなくなるのか、お互いに「なんだっけ、あれ、あれ…」と言いながら、一所懸命に古城までの道を説明してくれる。
本当に、ドイツ人の親切さには頭が下がる。
おかげで、すぐに古城まで続く山道に入ることができた。
ぐるりと一周してしまうようなヘアピンカーブが連続する細い山道を、信州で鍛えたこのドラテク(笑)を駆使してうねうねと登っていく。
ようやく古城ホテルの案内が出てきて、横道に入ると、そこが駐車場だった。
ちょうど他の宿泊客も到着する頃合だったらしい。
わいわい言いながら、車のトランクから荷物を降ろしている。
係員が、その荷物を受け取って、トラクターに荷台をつけたようなものに積んでいた。早速私達も荷物を渡して運んでもらう。
身軽になって、城へ歩く。
駐車場は城と少し離れているようで、ここから城の全景が見える。
城と駐車場を結ぶのは、古い木の橋。下はお堀になっているようだ。
石で出来たアーチ状になっている小さな門をくぐり、石畳を上へと登っていく。なんか、
ミナスティリスみたガフンゲフン!!(笑)
城の入り口の狭い階段を登り、「no sightseen(観光はお断りします)」と書かれたプレートを横目にドアを開けると、そこがフロント。
フロントとはいっても、たった20部屋ほどのホテルのこと、駅の窓口一つ分ほどの大きさしかない。
きれいなお姉さんに予約してある旨を伝えると、ようこそ!とにっこり。
早速部屋に案内してくれた。
小さなエレベーターで上まで上がり、そこからさらに細い螺旋階段を一階分登ったところに、私たちの今夜の部屋22号室はあった。
実は、折角古城ホテルに泊まるのだし、と、2つしかないtower
room(塔の部屋)のうちのひとつを予約しておいたのだ!
予約の際のメールでは、その他にそれぞれ値段の違う「とても広い部屋」「スイート」「リビングルームがある部屋」「小さい部屋」「ライン川の見えるテラスがある部屋」などがあった。
私たちの部屋の値段は195ユーロ、日本円で27000円ほど。一泊7,8000円で十分泊まれるドイツではもちろん高級ホテルの部類に入るけど、日本でミラコスタに泊まることを考えたら全然高くない(ほぼ半額)。
円形(塔の中なので)の部屋に入ると、まずラインの雄大な眺めが飛び込んできた。
うわあ…!
思わず私もなんなんも歓声を上げる。
正面にテラスへ続くドアがあり、開け放したドアの向こうには小さなテラス。そこにはテーブルクロスのかかった小さなテーブル。
眼下にはライン川がちょうどローレライのあたりでカーブを描いて流れているのと、観光船がそこを下っているのが見える。
山の上にある古城の、さらに塔の上から眺める景色は、とんでもなく美しい。
「今日は天気がいいから、景色がとても美しいわね」
とのおねえさんの言葉に、うんうんと大きくうなづく。

左の方には城の別の棟も見える。
部屋の中に目をやると、これまた素敵!
大きな天蓋付きベッド、

シャンデリア、

羽ペンの乗ったライティングデスク、壁に備え付けられたライブラリー。

テーブルとカウチもあり、テーブルにはフルーツとブランデー。

古城といえど部屋の中はきれいに改装され整えられて、美しいけれど古城の雰囲気を壊していない。
おねえさんが部屋の中の設備の説明をしてくれた。
ライティングデスクのある壁にかかっている小さな絵を開くと、後ろの壁にセイフティーボックスが現れる。

ベッドの反対側にある壁にかかっている二つの額縁のうち、なにも絵が入ってないほうは、実は、テレビ(!)。

ベッド脇の小さな木の扉は、CDコンポとクラシックCDが入っている。
まるでからくり屋敷(笑)
でも、それがちっとも安っぽくないんである。
感動の余り、おねえさんが出て行った後も「こんなところに泊まれるなんて、私たち幸せ〜!」と部屋の中をうろうろする。
お風呂も覗き、白いタイルと真鍮のシャワー、真っ白なバスローブに大喜びv
ひととおり部屋の中を眺めて回ったあと、事前に予約してあるディナーのためにおめかしすることに。
ジーンズでも悪くないだろうけど、折角の古城ホテルなんだしね!
スカートとシャツに着替えて、古城ホテルの中のレストランへ降りていく。
レストランはいくつかの部屋に分かれているらしく、私たちはライン川の見える、メインの部屋と思われるところに通された。
すでにテーブルセッティングがしてあり、テーブルには私の名前が書いてあるプレートが。
食前酒にワインを頼み(そうそう、忘れてましたがライン川沿いは白ワインが有名なのです)、食事が運ばれてくる。
にんじんづくしの前菜

スモークチキンのサラダ

ホワイトトマトクリームスープ

冷たいハーブソースのボイルドビーフ

ブラックベリーソースのアイスクリーム
味はやっぱり、ドイツの味(笑)(よーするにしょっぱい)だけど、リッチなかんじがして、すごくいい雰囲気でした。
(近くにいた家族連れ(英語圏)の、男の子がすっごいハンサムで食事中なのにヨダレが垂れそうでした…)
ワインを2杯も飲んで、いい気持ちになり、ウェイトレスにおやすみを言ってレストランを出る。
レストランの前の中庭を横切ると、そこにフロントに通じる建物がある。
重厚なドアを開けてみると、そこは暖炉のあるライブラリー(図書館)だった。
ここにも、隠し部屋のような円形の部屋があったり、庭に出られるドアがあったりと、いつまでも探検していたくなってしまう。
幸せな気分で白い螺旋階段を登り、部屋の中のテーブルに用意してあるフルーツとブランデーをいただきながら、テラスで星を見た。
あーもうここでドイツ旅行終わってもいいや…(いやいや、まだ2日目だから!)と思うくらいの満足感。
天蓋つきのベッドに寝そべりながら、羽根ペンで日記を書き、眠りについたgucciなのでありました…
(すいません、gucci的ハイライトなので長くなってしまいました〜(汗)!)
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