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ベルギー・オランダ旅行記7日目

3月31(金)

7時半起床。
Rちゃんを起こさないように、足音を忍ばせバスルームへ。
バスタブにお湯をためてお風呂に入る。今度はちゃんとお湯が出た。(たぶん、夜のうちにタンクの水を沸かすスタイルなんだろう)
ヨーロッパらしくシャワーカーテンがないので、床を濡らさないように苦労して髪を洗う。

お風呂から上がるとRちゃんも起きていたので、用意をして、朝食をとりに階下へ。
キッチンには昨日のケンとは違う白人のマッチョな男性がいて(しかも寒いのに半袖)、「おはよ〜」と降りてきた私を見て、You are so tall!! と両手を広げて驚いていた。

クソッ、世界一長身の人が多い国オランダでそれを言われるとはな…!!

もっとも、この男性、ケンの恋人ブラッドはオランダ人ではなくロシア人なんだけど…(本名ヴラディミール)。

ブラッドは容姿こそ奥目でマッチョなロシア人だけど、性格は西海岸のアメリカ人みたいに陽気で、朝っぱらから「昨日はどこ行ったの?」「よく眠れた?」「さあ座って座って!」「コーヒー?紅茶?何でも言って!」と超ハイテンション。
ちなみに、彼には昨日のケンのように物腰の柔らかな話し方は全くない。
ついでに言うと、彼、私よりも5センチほど背が低かった。
とすると、ケンとの身長差20センチ…?

下 克 上 ですな!!
(ケンを受けとするならば)

ブラッドは、私たちと、もう一組のゲストにコーヒーや焼きたての小さなパネクック(パンケーキ)をサーブすると、じゃあっ!なにかあったら呼んでねっ!と風のように去っていった。

残された私たちともう一組のゲスト(ロンドンから来たという中年夫婦。旦那さんはガッチリ太っているかんじで、イメージは自動車修理工場の工場長。)は、しばしポカーンとブラッドを見送ったあと、はっと我に返り
「す、すごい筋肉でしたね…」
「…きっとビルドアップしてるのよ、ジムに通って」
「いや、プロテインかも…」
とぎこちなくコミュニケーションをはかってみる。

イギリス人の夫婦は、毎年こうやってヨーロッパのあちこちを旅しているらしく、いつもこうしたB&Bに泊まっているそう。
どうりで、見知らぬ私たちに話しかけるにもためらいが無いはずだ(笑)
おばさんは、休むことなく積極的に話しかけてくるので、食べる暇がない;
しょーがないので、おばさんの相手はRちゃんに任せることにして、私は適当に相槌を打ちながら、朝食をかきこむ。

朝食は、ケンの焼いたクロワッサンや各種のパン、コーヒーやジュースにヨーグルト、チーズやハム、果物、それに、10種類以上のジャム!


クロワッサンとパネクック以外は全部スーパーで買ってきたものなんだろうけど(なんせジャムはビンのまま)、どれもすごくおいしい。しかも、取り放題というのが自宅にいるみたいで嬉しいvv

Rちゃんは、ちゃんとした英語が話せるのが嬉しいらしく、おばさんといろんな話題を楽しんだようだ。
ようだ、というのは私が聞き取れなかったところが多々あったから。
英会話、勉強したい…(T_T)

私もようやく空腹が満たされたので、そろそろ会話に入りたくなってきた。
そこで聞いてみる。

「ショ、ショーン・ビーンって知ってる?」

すいませんすいません豆オタク丸出しで…!!!

おばさん、ア〜ハ〜ン?と笑って、あなた彼のファンなの?部屋に大きな写真が貼ってあったりするの?というので、慌てて、いやいや、それはないです、ただ彼の映画が好きなだけで!!とごまかす。
おばさんはショーンのことは「そうねえ、彼は人気あるわよね」と言っただけだったけど、ヒュー・グラントの話題になると、「彼ってすっごくsweetだわ!」と目を輝かせていた(笑)
そうですか、おばさんは甘めがお好みですか。

ついでに、オーランド・ブルームは?と聞くと…「んー、He is OK」
が…頑張れ、オーリ(笑)

おばさんたちが部屋へ戻ったあと、私たちもあらためて好きなだけ食べ、部屋へ戻り、用意をして出かける。

まず、B&Bのすぐ近所にある、アンネフランクハウスへ。
ここは、「アンネの日記」のアンネが強制収容所に入れられるまでの数年間、潜伏していた場所。
館内は狭いので、入場制限されているらしく、少し並んで待ってから中へ入る。修学旅行なのか、小中学生もたくさんいた。
初めは、細い階段や本棚の裏の入り口に探検気分だったけど、だんだん、展示物が悲惨なものになってくると、心が沈んできた。
アウシュビッツや、アンネの家族の死亡通知、虐殺されたユダヤ人の名前を小さな字で載せた、電話帳ほどの厚さの記録。後ろにいたイギリス人の女性が「Crazy...」とつぶやいたのに、心の底から共感する。
展示物の横にある説明を読みながら、思わず鼻をすすってしまう。
私、こういうの苦手なんだよー。
沖縄に毎年行くけど、ひめゆりの塔を見たことがないのも、ベトナムに行って戦車や地下トンネルを見たことがないのも、辛くなるからです。
もし自分の家族がこんな目にあったらと思うと…。

家族でたった一人だけ生き残った父、オットー・フランクの、娘たちの生存を信じているという手紙、死んだんじゃないかと思いつつ真実を知りたくない気持ちを書いた手紙を読んだところで、もう見ていられなくなってしまった。
どうして人間はこんなことができてしまうんだろう。

重い気分で出口へ向かい、途中ではぐれたRちゃんを待つ。

待つ。

待つ…

喉が渇いたなー。Rちゃん来たらカフェにでも入りたいな。

(40分経過)

ま、まだかよ!!!

Rちゃんとはぐれたのは、出口からたったひと部屋しか離れてない場所のはずなのに、なにをそんなにじっくり見てるんだーー!?
出口で立ちんぼするgucciを横目で見つつ、さっさと通り過ぎていく人々。

そこへよーやく、現れたRちゃん。
おおおお、遅いよー!もーなにしてたのさ!

「あ、喉渇いたからカフェでお茶してたー」。

…。

……。

貴様そこへなおれ!!!!!(T_T)


グッタリして外へ出る。
今日はチューリップで有名なキューケンホフ公園へ行く予定なので、まずはダム広場にあるツアーバス乗り場を確認。チケットは昨日、帰りに買っておいてある。
少し早いけど、軽くお昼ごはんを済ませようと、若者でごった返す渋谷みたいな通り(コーヒーショップもたくさんあった。コーヒーショップというのは、麻薬を吸ったり売ってるとこなのです)を抜け、駅前のハーリング屋台へ。

ハーリングとは、オランダ名物生にしんの酢漬けのこと。
オランダ人はこれが大好きで、道ばたで尻尾を持ってパクリと食べたり、パンにはさんで食べたりしているらしい。
これはぜひ試してみなくては!
「いらないー」と言ってたRちゃんも、屋台の前に来てジモティがパクついているのを見るうちに、食べたくなったらしい。
ひとりひとつずつ、ハーリングサンドを買う。

パクリ!と一口食べて、



オエエエエェエ〜〜ッ!!!!!


こ、こんなにマズイものは初めて食べた!!!(驚愕)

酢漬けにしんというんだから、魚のマリネをパンにはさんだようなものだろうという私の想像をはるかに上回る味…!!!!
これぞ、未知との遭遇…!!!

あえて例えるなら、腐った分厚い刺身を生のたまねぎといっしょにパンにはさんだようなかんじ…!?
まあ保存のために酢に漬けるわけだから、新鮮なわけが無いんだけれども、理性では理解できても、本能がついていきません…!!
しかも、私、勘違いしてた!
マリネって、一度揚げたのを酢に漬けてんじゃん…?
これ、ほんとに生だよ!!!
(いや、だから、最初から生にしん生にしんと自分で言ってたわけなんですが…)

あまりにも衝撃的なまずさで、とても二口目にチャレンジする気が起こらず、申し訳ないけどゴミ箱行き…。
Rちゃんはというと、「おいしくはないけど、まあ食べれる〜」と完食。
ゆ、勇者…!むしろ、猛者(もさ)!
でもRちゃん、口がめちゃめちゃ生臭いです。そしてあとからくるたまねぎ臭。キョーレツ!

口直しにそのへんの店でケバブサンドを買い、これまた強烈な塩辛さに涙ぐみながら、口の中をコーラですすぐ。
あ〜衝撃的だった…。

ひいひい言いながらバス乗り場へ戻る。
そこにはすでに、同じキューケンホフ公園行きのツアーに参加する人たちが待っていた。
バスに乗り、途中の大きなバスターミナルで乗り換えさせられ(ここでさらに違うツアーの人たちが乗り合わせる)、キューケンホフ公園へ。

連日の疲れもあって、バスの中はほとんど寝ていたけど、キューケンホフが近づきましたよ、というバスガイド兼ツアコンのおばちゃんのアナウンスで目が覚めた。
おばちゃんは、数ヶ国語が喋れるというのが自慢らしく、このツアーは英語ツアーだというのに、オランダ語、英語、ドイツ語、スペイン語で解説をしている。
もちろん私が理解できるのは英語(とほんの少しのドイツ語)のみ。
「キューケンホフは英語で言うとキッチン・ガーデンという意味なんですよ」。
聞いていると結構面白いことを言っているので、ぼんやり聞いていると、Rちゃんも起きて聞いている。

関係ないけど、オランダ語って、最初見たときはドイツ語に似てるなーと思ったですよ。
標識のオランダ語見て、これならドイツ語で通じるんじゃ?と思ったくらい。(スペイン語とイタリア語も似ているので、お互いの言葉で喋ってもそこそこ通じるらしい)

例えば、

入り口 ingang(蘭語)eingang(独語)
出口 uitgang(蘭語)ausgang(独語)

ねっ!?似てるでしょ?
聞いたときの語感も、すごくドイツ語っぽい。

Wij wonen in het huis dat daar staat.
Ze hebben twee kinderen. De kinderen spreken alleen Engels.
これはネットに落ちてたオランダ語の例文ですが、すげードイツ語っぽい。特に、-enのあたり。

でも、よくよく見ると、英語にも似てることに気づきます。
staat(スターアト)がstreetで、kaas(カース)はcheese、kaat(カーアト)はcard…。
ちなみに、ドイツ語ではそれぞれ、シュトラーセ、ケーゼ、カルテ。
結局、なんだか英語とドイツ語の中間みたいな言葉のような気がしてきた(笑)

フランス語とイタリア語も似てるし(例えばフランス語でチーズはフロマージュ、イタリア語ではフォルマッジョ、ボンジュールとボンジョルノetc)。
スペイン語とイタリア語は似ていて、イタリア語はフランス語に、フランス語はドイツ語に、ドイツ語はオランダ語に。

なんだか、英語から始まって、ヨーロッパを一周して、また英語に戻ったかんじ。
言葉って、面白いなあ。
(英文科、外国語学科のみなさま、素人の言ってることです、いじめないで〜!(笑))

そう思うと、英語圏のひとはうらやましい。
私たちが英語を習得するのより、はるかに簡単に他の国の言葉を覚えられそうだ。そのかわり、アジアの言葉を覚えるのはとんでもなく苦労するだろうけど…。
そうすると、もともと漢字を知ってる私たちのほうが有利なのかも。
やっぱり日本人でよかった!(笑)

そうこうするうち、バスはキューケンホフ公園に到着。
まずは車内でチケットをもらい、ガイドさんに先導されて、園内へ。
園内の花壇は、まだ開園したばかりとあってほとんど花が咲いておらず、これがあの、チューリップで有名なキューケンホフ?と悲しくなる。

↑かろうじて咲いてるところを撮ってみた

ガイドさんは、この花やには世界中のすべての種類のチューリップがあります、とか説明してくれるけど、なにが悲しゅうてオランダまで来て花屋さんで花を見なければいかんのじゃ〜!(T_T)

↑とはいいつつもやっぱり撮ってみる

どうやら、この時期のキューケンホフはまだ屋外では花が咲かないため、公園の真ん中にある温室で花を見せているらしい。
えー、がっかり。

園内マップの前で、効率的なめぐり方を教えてもらい、17時にパーキングに集合するように、と注意を受けて、解散になる。
Rちゃんと私は、教えられたとおりに温室のほうへぶらぶら歩く。
3月とはいえ、まだまだ寒い園内を歩く観光客はまばら。

温室は二つあった。
ひとつは、切花がまばらに展示してあり、もうひとつは、世界中のチューリップが所狭しと栽培されている。

水と植物の匂いに、癒される(それに暖かいし)。
チューリップには、いろんな名前がついていて、面白い。明らかに誰かにあてたメッセージとか、ちょっとエロチックなものとか。
豆たんっぽいチューリップがないかと探したけど(オタク)、あまりに数が多いのと、Rちゃんがスタスタ行ってしまうので、断念;
でもこれならなばなの里のほうがよほどきれいだと思うのは私だけ?(汗)

温室を出て、多少体が温まっていたので、屋台でヨーグルトアイスを買う。
このアイスが美味しくてね〜!
日本でフルーツヨーグルトのアイスといえば、フルーツの匂いがする程度を思い浮かべるけど、さすがオランダ(!?)。
カップ(スタバのラージサイズくらい)にいちごやらオレンジやらブルーベリーやら、どさどさとカットフルーツを入れ、その上から濃いヨーグルトアイスをモリモリモリっと入れ、ざくざくっとかき混ぜたものを渡してくれる。
寒かったけど、うまうま言いつつ完食v

この園内にも、風車があることを知っていたので、それも見ておくことにする。
実はgucci、小学5年のときの担任、橋本という男の先生の自宅で、この風車の写真を見たことがあるのだ。
この担任、たぶん当時30台前半だったと思うんだけど、明らかにちょっとおかしかった。
宿題を忘れた女の子(私だ)を、黒板に吹っ飛ぶまで張り飛ばしたり、身体測定のときに体重を測るのに女子をパンツ一枚にさせて、ニヤニヤ笑ってパンツの柄をからかったり(胸が膨らんでる女の子は半泣き)、クラスの生徒たちをわざわざ自宅に呼んで、自分のアルバムを見せたり。
いやー今だったら絶対セクハラ教師として新聞沙汰だな。

それはともかく、そのアルバムの中に、この風車とチューリップと、橋本先生が写ってたのだ。
これがボーイズラブなら、幼い頃に自分を虐待した男を克服するために、風車を訪れる…という展開なとこだけど、別にトラウマにもなってないので、風車に上ってきゃあきゃあ言いつつ写真にピースv(笑)
いやーあの先生も若い頃こんなとこまで来たんだね!


そろそろ時間が迫ってきたので、走って駐車場へ。
帰りは眠らなかったけど、意外に早くアムステルダムに到着。
ガイドのおばちゃんは、あいかわらず各国の「good bye」を言ってたけど、「さよなら」がないですぞ〜っ!(笑)

バスを降り、運河沿いのパネクック(オランダ名物のパンケーキ)の有名店に行く。この店は、B&Bのケンもオススメだと言っていた。
時間帯によっては並ばないとは入れないらしいけど、時間が早かったせいか、あっさりテーブルにつけた。
スープとシードル(ガレットによくあうリンゴ酒vもちろんパンケーキにもあう)、チーズとベーコンのパンケーキ、りんごとアイスクリームのパンケーキ。
どれも、すっごくうま〜!vv

ほろ酔いで運河沿いを歩いて帰る。

街灯が灯ったアムステルダムの街はとても美しい。

部屋のキチネットで紅茶を沸かしてのんびりする。
Rちゃんは、椅子を窓に向けて、外を見ている。
「こうやって、街を見てるのが好きなんだー」。
ちょっと少女っぽいとこあるのね。猫みたいだ。

「あっ、ねえねえ!向かいの家のひと、服脱いでるよ!!」

それは覗きというんではないだろうか…。


確かに、オランダの家はカーテンをかけないのが一般的であるけれども…!!

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