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ベルギー・オランダ旅行記6日目

3月30(木)

7時半起床。
木目の天井に、一瞬、実家にいるのかと思う。ぼんやりとした意識の中で、今までに住んだアパートやおばあちゃんの家を思い浮かべては消し、ようやく、そうか、ここはアントワープ、この木目はベッドの天蓋か…と気づいた。
私が今こうしている間にも、地球の裏側ではつつがなく日々が過ぎていき、私がかつて暮らしたあの部屋も、現在借りているあのマンションも、そのまんまなんだろうなあ、と思うと不思議な気分になる。

さすがにキングサイズのベッドの寝心地は良かった。ダブルベッドとはいえお互いに寝返りをうっても全く振動が伝わらず、身体が触れ合うこともない。
おかげでとてもよく眠れた。
しかも、天蓋とドレープで囲まれているので、なんだか冬眠中の熊になったようで、ひじょーに落ち着くのだ。

う〜ん、私の家にもこれが欲しい。
もっとも、日本の小さな家では、部屋自体があなぐらみたいなものなので、全く必要ないのだけど(笑)(つーかこのベッド絶対部屋に入りません)

着替えて用意をしているとき、ドアをノックする音に気づき、外に出てみる。
ドアの外の椅子の上に、大きなトレイに準備された豪華な朝食が乗っていた。

階段を降りていくマダムに、ダンキュー!とお礼を言い、いそいそと朝食のトレイを運び入れる。
暖炉の前のテーブルにお皿を並べ、温かいクロワッサンと各種のパン、スモークサーモンとチーズ、オレンジジュース、コーヒーにヨーグルトの朝食をいただく。
うまーvv
私、クロワッサンが大好きなんですが、もうこうやってトーストされたパリパリでふわふわでしっとりのが出てくると、他に何もいらないってかんじです…!
ペーターのおばあさんだって、きっと白パン食べたときより驚くと思うな!

のんびり食べていると、またしてもドアをノックする音。
最初、テレビの音にまぎれて聞こえなかったのだけれど、何度目かにハッと気づいた。
慌ててドアを開けると、そこには小柄な若い女性が立っていた。
「あの、マダムから聞いてるかしら、私、上の部屋に泊まってるものなんだけど…」
「ええ、ええ、分かります!フィガロのカメラマンでしょ!?ごめんなさい、ついうっかりしてて…!5分、5分で支度して行くから、待ってて!」

いいのよ、ゆっくりしてね、という女性を尻目に、ダッシュで歯を磨き靴を履いて、「ええー行くのぉー?」と渋るRちゃんを急かし、階上へ向かう。

上の部屋のドアをノックすると、さっきの女性が「どうぞ入って」と招き入れてくれた。
部屋には、もうひとりの女性がいて、テーブルに置いたノートパソコンをチェックしていた。首からカメラを提げているところを見ると、この女性がカメラマン(カメラウーマン?)のようだ。
この部屋(私たちの部屋とは違って、ピンクの花柄でまとめられた、フレンチシックな部屋だった)ですでに撮影のテストをしたらしく、さっきの小柄な女性が椅子に座っているところがパソコンの画面に映っている。

二人は、私たちにパソコンを見せ、テーブルの上に広げた数冊の雑誌「FIGARO」を広げて、説明をしてくれた。
彼女たちは、フランスの雑誌「フィガロ」の夏のバカンス特集に載せる写真を撮って、ヨーロッパを取材旅行しているらしい。
彼女たちはまた、ひとつの街に1枚紙面を割いて、レストランやホテル、観光名所などを載せるのよ、と教えてくれ、そのアムステルダムのホテルの写真に、写って欲しいと言った。
もーOKOK!全然問題ない!と目をきらきらさせて二つ返事で引き受ける。
あんまり興奮してたので、英語も出てこず(笑)、日本語で「でその本はいつでるの?」「日本にもフィガロって雑誌あるよ!」等しゃべりまくったのをRちゃんに通訳してもらった。

早速撮影開始。
じゃあまず、椅子に座って、と言われ、花柄のベッドの前にある肘掛け椅子に座らされる。カメラマンの女性はクローゼットの上によじ登って、上から部屋全体を写すように構図を決めている。
本を読んでいるふりをして、と画集を渡されたので、ページをめくるようなポーズをとって、そのままシャッターを切る音がするのを待つ。何度かそのポーズで撮った後、今度は窓のほうに歩いていって、だの、ベッドの上に寝転んでほお杖をついて足をぱたぱたさせて(こんなポーズ子供時代にもしたことないぞ)、だの指示される。

実はgucci、ベトナムや韓国など、アジアを旅行したときにコスプレ写真を撮るのが好きなのだけれど(アジアではそういうのが流行っているらしく、格安できれーなアルバムを作ってくれますv)、そのときの経験が役に立ったかも(笑)
もうひとりの女性が「彼女、good modelね!」と言ってくれ、gucci、超ハッピーvv
私の(?)撮影は30分くらいで終了。
じゃあ次はあなたね!とRちゃんが指名され、Rちゃんビックリ。
ええっ、私はいや、写りたくない!とかなり嫌がっていたけど(写真嫌いだったのね…)、大丈夫、顔写らないようにするから!と説得され、バスルームでの撮影をすることになった。

その部屋のバスルームはさらにかわいらしいフレンチシック。
白い猫足のバスタブ、花柄の天蓋、花柄の衝立、ソファ。
Rちゃん、蛇口をひねって水を出してるところとか、お風呂の湯加減を見ているポーズをとらされている。…が、写真が嫌いというだけあって、めちゃめちゃ 不 自 然 。
か、顔が恐ろしいほど無表情ですよー!!
部屋の端っこからからかって大笑いする。

しかし、カメラマンはその不自然ぷりが表情やポーズではなく、着てるものにあると思ったらしく、バスローブに着替えて欲しいと言った。いわく、バスルームでセーター着込んでるひとはいないでしょう、と。うーむ、確かに。
とはいえ、当然、「ババババスローブゥ!?」と猛反発するRちゃん。
私たちに説得されて着てはみたものの、中に洋服一式を着たままなのでかなり膨らんでるし、動くたびに裾からまくりあげたジーンズがチラチラ見える。
な、なんか余計 不 自 然 なんですけど…!!(笑)

それでもなんとか撮影を終えたときにはすでに2時間が経過していた。
メールアドレスを教えて、フィガロ楽しみにしてるからね、と握手して別れる。

急いで部屋に戻り、荷物をまとめて階下に下りる。
マダムにお金を払い、タクシーを呼んでもらって、セントラル駅に向かう。
アムステルダムへの切符を買い、Berchen駅でアムス行きのタリスに乗り換え一路オランダ、アムステルダムへ…と思いきや、ここで問題発生。
検札に来た車掌さんに、切符を見せると、この電車じゃないと言われてしまったのだ。
どうやら、アントワープの駅で切符を買うときに、アムス行きの電車としか言わなかったので、タリス以外の会社の切符を買ってしまったらしい。
日本じゃあ違う会社の電車(例えばJRと名鉄)が同じ駅、同じホームから出るなんてこと考えられないけど、ヨーロッパではあるんだね。気をつけなくちゃ。
仕方が無いので、使わなかった切符はまるまる無駄になるけど、タリスのお金をもう一度払う。
しかしそのおかげでアムステルダムには予定より早く、2時くらいに着くことができた。

アムステルダムの第一印象は、ひたすら、「自転車が多い」!!
自転車の立体駐車場が駅前にあるんだけど、その詰め込まれっぷりは圧巻です!!
ほへえーと感心しながら、今日の宿、Herenstaat B&Bまでスーツケースを引っ張って歩く。
アムステルダムは、今までに見てきたヨーロッパの街よりも、少し日本やアメリカの都会っぽいかんじがある。どこがどうとは言えないんだけど…。歴史よりも、新しいものにも興味津々なところとか。そして道が広いせいか、明るい印象の街だ。

ちなみに、オランダは自国の文化を大事にするヨーロッパの中で、一番アメリカ文化を受け入れる国だそうだ。
長崎の出島のこともあるし、やっぱり新し物好きなのかも。
ベルギーと比べても、ベルギー人は暗い色の洋服を好み、オランダ人は原色の服を好んで着るという傾向があるらしい。お隣の国なのに、しかも半分は同じ言葉で喋っているのに、面白い。

運河沿いの道を歩いて10分ほど。今日のB&Bの住所にたどり着いた。
しかし、二つの家のどっちだろう…と迷っていると、左側の家のドアから出てくるアジア系の男性がいた。
背の低いその男性、私たちに気づくと、あ、今日のお客さん?よろしく、僕はジェイソン、ここで働いているんだ、とにこやかに挨拶し、私たちを中に通してくれた。

中に入ると、物腰の柔らかい、背の高い(185はありそう)金髪の男の人が現れた。
彼のことは実はB&Bのサイトを見たときに学習済み。
名前をケンといい、元パティシエらしい。
彼と恋人のブラッド(現役ダンサー)の2人がこのB&Bのオーナーなのだ。

そう、恋人。
っつか、むしろ夫婦。
アムステルダムはゲイが多く、B&Bの多くはそういうゲイカップルによって運営されているのだ!
ヨーロッパってわりと自由な雰囲気だけど、オランダは中でもさらに自由なかんじ!(なんと麻薬も合法…)いいよねこういうの。

ケンは玄関の鍵を渡し、家の中を案内してくれた。
アムステルダムの家の多くは狭い土地を利用するため「カナルハウス」と呼ばれる細長いつくりになっていて、このB&Bでも狭くて急な階段が上に続いている。
ケンが、狭いから気をつけてね、と注意してくれたけど、他の欧米人はともかく、日本人にはあんまり問題ないんじゃないかな…(笑)だって、田舎のおばあちゃんちの階段と同じだよ!


2階にはキッチンがあり、テーブルの上にはケーキやフルーツがのっている。
コーヒーや紅茶、冷蔵庫の中にはジュースやミルク。
ケンは、ここにあるものは好きに食べていいよ、と言ったので、私もRちゃんも目を輝かせる。

3階を過ぎ、屋根裏を改装した4階に到着。
ここが今夜から2晩の私たちの部屋。
小道に面したリビングルームはシングルソファベッドが二つ(ソファには私が頼んでおいたシーツと上掛けが用意してあった)。それぞれに小さなテーブルがついていて、簡易キッチンもついているのでお茶を沸かして飲むことができる。

バスルームをはさんで反対側には、ドアで仕切られたベッドルーム。

細長い部屋だけど、ワンフロア全部が私たちのものなので、リラックスできそうvv
ホテルがバカ高いアムステルダムにあって、これで115ユーロなら破格の値段だ。

ケンが今日はどこへ行くの?と聞くので、ザーンセスカンスに行きたいと言うと、ケンはキッチンに下りて、壁の地図を見ながら行き方を説明してくれた。ついでに、今晩のためにオススメのレストランも聞いておく。
そうして、ケンは2階のドアを通って隣の建物に帰って行った。ケンとブラッドは、2つの建物を繋げて、自分たちの住居兼B&Bにしているらしい。
それにしても、柔らかな物腰だった。
英語だからいまいち分からないけど、あれを日本語に直したら「ここがあなたたちの部屋よ…困ったことがあったら、なんでも言ってくれると嬉しいわ」みたいなかんじ?特にしぐさが女っぽいわけではないんだけど。
心の中でケンが受け決定(笑)え?下世話ですか?ええもう腐女子ですから!!

出かける用意をして、早速キッチンでお茶をする。ケーキうまーv
モグモグ食べながら壁の地図やチェストの上の観光名所のパンフを見るともなしに見ていると、椅子の下に隠すように置いてある、ゲイスポットのパンフを発見〜!
裸のマッチョな男が、金属のポールに腰を擦り付けている写真が載っている。ウヒョヒョ!!これ帰りに一枚もらっていこう…vvごくごく一般人のRちゃんが見てないときに(笑)

コーヒーとケーキを堪能し、さて、と立ち上がってザーンセスカンスへ。
ザーンセスカンスは、オランダの伝統的な家や風車を集めて保存している村。日本でいうと明治村みたいなもの?いかにも観光名所ってかんじだけど、一度は風車を見なくてはね!

駅で切符を買い、電車で15分。
ザーンセスカンスのひとつ手前の駅“ザーンセ○○"というところで、Rちゃんが勘違いして飛び出して行ってしまったため、次の電車を待ってホームで待ちぼうけというハプニングもあったけど、それ以外は問題なくザーンセスカンスのある駅に到着。
駅から少し離れたザーンセスカンスまでは、標識が出ているのでそれを頼りに歩く。

しばらく歩くと、大きな工場のようなものが見え、そこから濃厚な甘い匂いが漂ってくる。
どうやらこれはチョコレートかココアの工場らしい。
槙原敬之の「NO.1」を思い出した。
夕暮れ僕のまーちにはーチョコレーイト工場の匂いがすーるー♪

…素敵だけど、一日中この匂いがしてると、たまにオエッとなるときもあるかもしれないな(笑)
風がびゅうびゅう吹き付ける中、大きな川を渡ると、そこがザーンセスカンス。

地面すれすれに川(運河?)が流れていて、その運河と運河の間に、かわいいブラウンの家が建っている。

観光地のはずなのに、もう夕方だからか、ほとんどひとがいないので、普通の集落のようにも見える。(実際まだ住んでいる人がいるみたい)
お店を冷やかしながらぶらぶら歩くつもりだったけど、ほとんどの店が閉まっていた。残念。

とりあえず川沿いを歩いて、大きな風車が並んでいるのを見に行く。

風車のひとつは、昔と同じようにそこでマスタードをひいていて、小さな窓口から覗くと、棚の上にビンが並んでいるのが見えた。
ひとつ買ってみるか、と大声でエクスキューズミィー!と呼ぶと、中で作業中だったらしいお兄さんが出てきて、無愛想に「ひとつ0.75ユーロ」と言う。
ええー!一個百円!とびっくり。
日本で売っているマスタードより、かなり大きいビンなのだ。
Rちゃんなんて、喜んで二つも買っていた。
(ちなみに、このマスタード日本で食べてみたらめちゃうまー!!でも買われる方、注意してくださいね。スーツケースの中で、漏れますから!!)

再び川べりを歩く。

(写真に写っているのはRちゃん)
とにかくすごい風で、普通にまっすぐ歩くことができない。
このまま風に乗って飛べそうなほどだ。髪の毛は乱れるなんてものではなく、肩まである長い髪が、とぐろを巻いて逆立っている(笑)
そんな中、地元のおじちゃんはスイスイ自転車に乗って走っていく。や、やるな…!!
強すぎる風にぎゃあぎゃあ言ってるうちに気づいたのだけれど、ここらへんは昔からいつもこんな風が吹いてるんだね。だからこそ、風車が発達したんだろう。そういえば、ベルギーも風が強かった。

昔、小学校のグランドで風が吹くと、目に砂が入って痛かったよな〜と思い出して下を見ると、なるほど砂は既に吹き飛ばされて一粒も無く、地面を構成しているものは、小さな石や貝殻のかけらのようなものばかり。にゃるほどー!

ぐるりと一周すると、お土産を売っている店が集まっているところに出た。
中に入ると、暖かくてほっとする。
ミッフィーグッズ(ミッフィーはオランダ産)や木靴をかたどったみやげ物を見る。
木靴を作っている店もあった。
壁にはずらりとサイズ別に木靴がかけてあり、実用的なものから飾りまで、カラフルでとてもかわいい。

店の奥では、アジア人の団体客(中国だか台湾)に、木靴をつくるデモンストレーションをしていた。

女のガイドさんが「で、中を削りまーす」とかなんとかいうと、木靴を履いたオランダ人のおじさんが据付のドリルで木靴の中をブイーッ。で、中を見せる。中国人、オオーッ。
「じゃあみなさん木靴をご覧になってくださーい」の合図と共に、我先にと押し合いへしあいして木靴の棚に押し寄せるひとたち。レジでもみ合いになる団体客に、眉をひそめるレジ係り。
…うへえー…。

あまりのイキオイに圧倒されて、早々に木靴屋を離れる。
次はゴーダチーズを売る店。
試食の皿がたくさん置いてあり、ひとつつまむと、すごくおいしい!
チーズを使ったサンドイッチなどもあり、小腹のすいていた私は思わず食べたくなったけど、Rちゃんと相談して、もう夕飯の時間も近いし、夕飯を美味しく食べるために、やめておこうということになる。
しばらく丸い玉のようなチーズをみて、そろそろ行こう、とRちゃんに声をかける。
と、くるっと振り向いたRちゃんの手には、でっかいサンドイッチが…

驚いて、え、え、え、だってさっきやめておこうって言ったじゃん!もう5時半なのに夕飯入らなくなるじゃん!と抗議すると、しれっと「なんか食べたくなった」とRちゃん。
ええーーー夕飯…とがっくりきている私に、ナンデ?gucciは夕飯食べればいいじゃん、と言う。
……(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)

ええ食べますとも!例え同席者が水だけだったとしても、お店の人に変な目で見られても、私は3ツ星レストランでフルコースを食べてやるぞ!!!

なんだか割り切れない気持ちで元来た道をたどり、電車でアムスまで戻る。
私はとてもおなかがすいていたので、しぶるRちゃんを連れて、ケンに教えてもらったオススメのレストランへ。
レストランはちょっと遠かったけど(といっても歩ける程度)、すごーーく、すごく美味しくて、びっくり!!
実はグルメの国ベルギーで食べたどの料理より、このレストランで食べたもののほうが美味しかった〜vvv
オランダ名物マスタードスープも、なんだかわかんないけどポークソテーのようなものと付け合せのズールコール(ドイツでいうザワークラフトのようなもの)も、すべてがうまかった。


(Rちゃんも、予想外にこの店を気に入ってたらしく、私が帰国した後、自分ひとりでもう一度行ったらしい)

B&Bに帰り、キッチンからもらってきたオレンジを食べ、沸かしたお湯でお茶をする。
シャワーを浴びようと思ったのだけど、Rちゃんが浴びてるときに水になってしまったので(ヨーロッパではありがち)、朝入ることにして、寝る。
Rちゃんが、私はリビングのベッドがいいと言ったので、私がダブルベッドの寝室を使わせてもらうことにする。
私ばっかりダブルベッドで、申し訳ないと思ったけど、Rちゃんは夜遅くまでリビングのテレビを見たり、キッチンに下りて取って来たケーキを食べてお茶してたりして楽しそうだったから、まあいいか。

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