--> -->

ベルギー・オランダ旅行記5日目

3月29(水)

午前3時頃、突然電話が鳴って飛び起きる。
まさか自分の携帯(ボーダフォン)に電話がかかってくるとは思わず、寝ぼけ眼で必死に電話を止めようともがいているうちに、切れてしまった。なんなんだよもうー。
午前6時頃、ようやくうつらうつらとしたところへ、再び電話。
思いっきり不機嫌な声で出てみると、相手は4月から赴任する病院の事務だった。
内容は、ただの事務連絡。おいおいおい、なんでわざわざ携帯にかけてくんの?書類で送って来い書類で!友達かお前は…(ムカムカ)(ていうかその携帯番号どこから手に入れたんだ…)
睡眠を邪魔されると、地の底まで機嫌が悪くなるgucci。こんな電話がかかってくると分かっていたら、電源を切っておくんだったのに!

7時頃起床。
Rちゃんに夜中の電話のことを謝ると、どうも彼女は気づいていなかったらしい。よかった。
朝食をとりに下へ降りる。
昨日のサロンの隣にある、運河に面した朝食ルームには、ビジネスマンぽい男の人二人と、私たちだけ。
ビュッフェは素晴らしく豪華だった!

さすが、ブルージュで一番美味しい朝食に選ばれただけのことはある。(なんせこれがあるからこのホテルを選んだのだv)
各種焼き立てのパンやスモークサーモン、ハム、チーズの類、果物、しぼりたてのいろんなジュース、それに朝っぱらからシャンパンまで!

卵は好きな調理法を聞いて、作ってくれる。
もちろんサーブするのは白いカチューシャのメイドさんv萌え〜vv(笑)

私たちが朝っぱらからの大ご馳走に舌鼓を打っているとき、欧米人のおばさんと男の子(中学生くらい)が入ってきた。
二人ともなぜかスーツを着て、そして黙ってもくもくと食べている。
そして、こんな豪華な朝食を前にして、彼らのテーブルにあるのはフルーツのみ!
し、信じられない…!も、もったいない…!
全種類制覇!とか言って食べまくってる私たち(貧乏人)に比べて、なんて余裕のあるブルジョワジーっぷり!
私とRちゃん、彼らが日本語を理解できないのをいいことに、二人がどうしてこのホテルに泊まっているのか、そして二人の関係は!?などなど大予想。

Rちゃんの予想→二人は親子。今回はブルージュ高校にお受験に来たの。緊張しちゃってフルーツしか喉を通らないよー。

gucciの予想→二人は親子。ブルージュには離婚してしまった父親(もうすでに再婚して娘がいる)との1年ぶりに面会するために来た。このホテルは父親がとってくれた。そしてフルーツの下には絶対パンとかチーズとか生ハムを取ってあるはずだ!!

これがなぜかツボにはまってしまい、静かな朝食ルームで大爆笑してしまった私たち。朝っぱらから飛ばしすぎです;

もー今日のお昼はいらないや、ってくらいパンパンにおなかに詰め込み、腹ごなしに水曜日の朝だけ開かれる(私たちってラッキー!)、朝市を見に行くことにする。
広場には、所狭しといろんな屋台やお店が並んでいた。

花、チーズ、鳥のグリル。朝っぱらから、鳥のモモ肉にかぶりついてるひともいる。
やっぱり市場って活気があっていいね!

ホテルに戻り、荷物をまとめてチェックアウト。
素敵なホテルだったなー。いつか親を招待したい。

さよなら、ブルージュ!

タクシーでブルージュまで行き、アントワープまでのチケットを買う。
アントワープまでは一時間半ほど、本を読んだり日記を書いているうちに、アントワープセントラル駅に到着〜。

セントラル駅はアールヌーボー風のデザインがとても素敵だった。できれば改修工事をしていないときに見てみたかったけど…。


ちなみに、アントワープはオランダ語圏だった。(ベルギーは下半分がフランス語、上半分がオランダ語)
駅構内の標識はオランダ語、フランス語、英語、と基本は3種類。

ブルージュも実はオランダ語圏だったのだけれど、最初気がつかなくて、すっとボンジュ〜、ボンジュ〜、と挨拶してた(笑)途中でお店のおばさんがダンケdanke、と言ったように思ったので、それからずっとドイツ語で挨拶していたのだけれど、よく考えたらdankyu(オランダ語でありがとう)だった。オランダ語とドイツ語は似ているので、なんとなく通じちゃっていたらしい;

インフォメーションでネロとパトラッシュのパンフを買い(そう、アントワープはフランダースの犬の舞台なのですよ!ついでにアントワープといえば、シャープがハーパーに、自分に何かあったらルシールをアントワープまで送っていけといった、あのアントワープですよ!←細かい)、タクシーで今日のお宿となるB&B、Charles Rogiersへ向かう。

B&Bでは、マダムが待っていた。
すごくよくしゃべるおばさんで、部屋の中を案内しながら使い方をいろいろ教えてくれた。
ドアを入って一階はおばさんのプライベートスペース。
2階から上がゲストルームになっているらしい。私たちは鍵を渡され、好きなときに出入りしていいと言われた。それから、ポーチにおいてあるチョコレート(さすがベルギー!)や果物は自由に好きなだけ取ってね、とのことv
階段を上がると、中二階に朝食スペース(今はまだ改装中らしい)があり、その上が私たちの部屋。
入って右手には大きな鏡、猫足のバスタブ(!)、トイレや洗面所があり、ふわふわのバスローブやたくさんのタオル。バスアメニティはエトロだ。


そして左手の部屋には暖炉(!!!)

と大きな大きな天蓋つきベッドが…!!

壁には動物の剥製や肖像画がかけられ、う〜ん、ゴージャスvv
TVやコンポもあり、冷蔵庫の中のもの(ビールやジュース、ミネラルウォーターetc)は自由に飲んでいいと言われた。

素敵…!!!
あとで絶対猫足のバスタブで泡風呂するんだ!!vv

きゃあきゃあ言って喜んでいる私に、「そうそう、もうひとつ言わなくちゃいけないことが…」とおばさん。

「上の階にフィガロのカメラマンが泊まってるんだけど、明日、あなたたちが部屋にいるところを写真に撮ってもかまわない?」。

フィ、フィガロ!!!???

い、今フィガロっつった!?フィガロって、あのフランスの有名雑誌!?
なんでフィガロのカメラマンがここに、いや、もうなんでもいいッス!なんなら脱げと言われれば脱いでもいいッス!!(笑)
もちろん!もちろんOKッス!!と二つ返事でOKする。
よかった、じゃあ明日9時半に上の階に行ってね、とマダムは去って行った。
うわあ、うわあ…!やばい、どうしよう、フィガロに私たちが載っちゃうよ〜!と大はしゃぎの私vv

小雨がパラつく中、アントワープの街に繰り出しても、観光どころではなく、明日どの服を着よう、とかそんなことばっかり。
とりあえず地球の歩き方を取り出して、なんか知らんが有名な噴水を見たり、

市庁舎を見たりする。

大聖堂ではさすがにちょっと我に返った。
ここ大聖堂では、ネロが死ぬ前に見たルーベンスの絵が見られるのだ。

絵の前には各国の言葉(もちろん日本語も)でフランダースの犬のあらすじが書いてあり、天皇陛下もここにこの絵を見に来たと書いてあった。
(ちなみに、「フランダースの犬」はアントワープの人たちには全く知られていなかったらしい。子供の頃アントワープに住んでいたイギリスの女性作家が書いた話で、悲しく美しい結末を好む日本人になぜか広く広まったんだって)

アニメの、あのラストシーンを思い出すだけでじわっときてしまうgucci、あらすじを読んでその絵を前にして泣けないはずがなく、欧米の観光客が不思議そうに見る中、絵の前でボロボロと泣いてしまう。
いかん、恥ずかしい、と思っても、やめられないとまらない…;
(gucci、子供が幸せでない話は泣けて仕方がないとです;AIとか、映画館でしゃくりあげるほど泣きました…。あと、「いつでもあえる」もダメです。本屋さんで表紙見るだけで無条件に涙が…)

だめだ、このままここにいても、涙が止まらないわーと早々に退散。
ところで、ネロはなんであの絵をあんなに見たがったんだろう。確かに迫力のある絵だったけど、他の絵とどう違うのか、いまいち理解できんな…(笑)←芸術オンチ。

しとしと雨の降る中、ルーベンスハウスへ向かう。
ルーベンスは有名な画家だけど、一人で絵を描いていたわけではなく、工房の何人もの弟子と一緒に、たくさんの作品を作っていたらしい。絵が今みたいに芸術として描かれていたわけではなく、どっちかっつーと壁紙とか家具のような扱いを受けていたからなんだろうな。
ルーベンスハウスには一部屋ごとに監視人がいて、カバンのふたをしめろとか近づくなとかやたらうるさい。もーうっとおしいな!

それを見終わると、やることがなくなった。
アントワープはファッションの街らしく、いたるところに素敵なブティックがある。それをぶらぶら眺めつつ、歩き回る。

これは確かモード館だったかな…


街歩きの途中で見つけた、モード学園みたいなのの壁にかかってたオブジェ。キモ〜ッ!

ついでに、アントワープのもうひとつの有名なもの、ダイヤモンドをウインドーショッピング。
10万くらいなら記念に買ってもいいかなと思ったけど、とんでもない!
何百万、何千万のダイヤモンドばかりが並んでいる。いくら日本に比べ破格の値段とはいえ、そんなものに手が届くはずもなく、むなしく指をくわえて眺めるだけ…。
しかし購買意欲はそそられ、近くにあったデル・レイという有名なチョコレートショップで、お土産のチョコレートとマロングラッセを買った(日本に帰って食べたらめちゃめちゃうまかった〜〜!)。

歩きつかれて、喉が渇いたので、繁華街近くのジモティだらけのカフェに入る。
観光客なんて全くいない、しかしお客さんでいっぱいの、オールドヨーロッパな雰囲気の店内に、Rちゃんは大変満足げ。もちろん私も。
オランダ語のみの店内のメニューから、苦心してパネクックという文字を読み取り、コーヒーと一緒に注文した。
パネクックはオランダ名物のパンケーキ。ベルギーにいるのにオランダ名物もないと思うけど、オランダに近い場所だからこれもありか。

しばらくすると、大きなお皿にのった、厚めのクレープみたいなものが運ばれてきた。

お店のおばさんは、これになにかお酒のようなものをかけ、火をつけてフランべし、上にのってたアイスクリームと混ぜて食べろ、のようなジェスチャーをした。
一口食べて、びっくり。
激うま〜〜〜!!!

懲りすぎてない、シンプルな美味しさに、Rちゃんも私も、夢中になって平らげてしまった。
ふう〜〜、満足vv

店を出て、さあ次はどこへ行こう、とガイドブックを広げる。
が、しかし…時刻は夕方、ネロとパトラッシュの村ホーボーケンに行くには遅すぎるし、夕飯にするには早すぎる(第一、今おやつを食べたばかりだ)。
小さなアントワープには他にたいした見所もなく、途方にくれる私たち。
んじゃあまあ、海洋博物館にでも行ってみますかー、とそのへんのトラムに乗り込む。
行き先とか、あんまり確かめずに乗っちゃったけど、まあ海のほうにいくんじゃない?みたいなノリで。

しかし案の定、トラムは海の直前で道をそれ、どんどん寂れた田舎道へ…。
アメリカあたりと違い、このへんで下車してもちっとも危なそうなかんじを受けはしないんだけど、今ここで降りても、反対方向へのトラムがすぐに来るかは非常に疑わしい。し、それに、二人とも疲れていたので、ガイドブックを引っ張り出して方向を修正するという作業がとてつもなくめんどくさく、そのまま雑談などしながらトラムが一周して元の場所に戻っていくのを待った。
結局、どこへも行かないまま、40分間トラムの旅を堪能して時間を潰しただけ(笑)

呆然としていたら、背の高いニイちゃんが「May I help you?」と聞いてきたので、ありがたくメトロの乗り場を教えてもらい、夕方になると光るネロとパトラッシュのベンチがあるというマルクト広場を見に行くことにする。
ベンチは…確かに光ってましたが…日の丸をイメージした赤い電気がぼんやりともってはいましたが…果たしてこれがこの街に似つかわしいかどうかははなはだ疑問というほかありません、という代物でした;


がっかりしつつ、海のほうへ歩いていくと、途中にイタリア料理店が並んでいる通りが。
店頭で呼び込んでいるおじさん、おにいさんも、明らかに濃いイタリア系。
このへんはアントワープの中のイタリア人街なのかな。
少々フレンチに飽きてきたところだったので、移民のイタリアンにも惹かれたけど、Rちゃんが夕飯はシーフードがいいといったので、諦める。

海沿いの道をしばらく歩き、海洋博物館に到着。
しかしすでに閉館時間を過ぎており、中を見ることはできなかった。
まあいいさ。それほど見たいわけでもなかったし。(あのブドウは酸っぱかったのさ!)

そーいや、B&Bの近くに、なんかよさげなレストランあったよね。あそこで夕飯食べてもいいんじゃない?と、海沿いに並んでいるのレストランを眺めつつ、ぶらぶらとB&B方面へ帰りかける…とそのとき、私たちの目に、ひとつだけ、超満員のレストランが…。
見ていると、周辺から集まった客が、さらにその店に吸い込まれていく。
そんなに、おいしい店なのか!?

興味を惹かれて、私たちも今日の夕飯はそこでとることに決定。
入り口をくぐると、パブのような店内はスーツを着たビジネスマン&ウーマンでいっぱい。こ、これは味にも期待できるか…?!
席に案内された私たち、無国籍風なメニューの中から、シーザーサラダとリゾット(Rちゃんはセットメニュー)を注文。
…シーザーサラダはぼやけた味で、リゾットは給食か病院食に出たようなシンプルすぎる味つけだった。

はっきり言って、まずい。


(見た目はいいけど…;)
なんでこんなに客が集まるんだ…!?
と、周りの客を観察して気づいた。全員、英語で喋ってるよ…(T_T)
そりゃ味に期待できなくて当たり前ガフンゲフン!!
少なくとも、「ジモティの集まる店」では無かったわけだ;
想像するに、この近くに商談をするような外国人向けのホテルがあり、そのに宿泊している外国人が、仕事のあとでビールを飲めるようなパブは、このあたりではここだけなんだろう。
ガッカリ…。

夜道をポクポク歩いてB&Bに帰る。
帰る途中にかんじのよさそうなレストランを見つけ、そこが今度こそジモティでいっぱいになっているのを恨めしく思う。

B&Bでは猫足のバスタブを泡で満たして、ゆっくりつかる。
部屋では暖炉で火が燃えていて、BGMにクラシック。
Rちゃんは疲れたといって早々にベッドにもぐりこんでしまったので、私はひとり、暖炉のそばに陣取って、リンゴとチョコレートを囓り、冷蔵庫のミネラルウォーターを飲みつつ、日記を書く。

海のように広いベッドにもぐりこみ、就寝。

6日目へ