<疾風龍 『ロゼ』>

風を司る龍

の魔法属性の内、風の『全て』を変幻自在に操る風の魔力の化身である。
その力は本人が無意識の内に流した魔力が有り余り、狂える竜巻となり、それが裁きの龍巻とまで呼ばれるほど。
制御をしている上でこれである。
それほどまでの魔力を内包している故に、古龍の中でも魔力に関してはトップクラスの力を誇る。
また、風を司る故に空を飛翔する能力においては全ての古龍、神龍すらも上回るとされる。
体型は翼竜に近く大型の翼が特徴であり、その重々しいまでの深緑の鱗は驚くほど軽く強靭、
その気になれば宇宙まで飛べるだろう。
そも、ロゼは翼を羽ばたいて飛ぶのではない。
翼を媒体として空中に魔力を浸透させ、自身を空気の一部とすることで飛ぶのである。
推進方法はジェットエンジンに近い。
その為、翼を羽ばたかせる他の龍達とは間違いなく次元の違う速度を得る。
直線飛行における最高速度はマッハ2,3Mと言う、
視覚すら困難な常軌の逸し具合はその昔真実の乱において他を震撼させた事だろう。
ただ、そのロゼが最後には逃げる為にこの翼を使わねばならなかったことからして、
古龍の9割が消えたと言われる真実の乱の壮絶さが伺える。

あまり知られていないことではあるが。
人の及びも付かぬ戦闘能力を持ちながら、それに反するようにロゼの性格は穏やかと言われている。
無論
消滅機関ディストラクターディストラクターとも言われた龍の猛々しさと圧巻なまでの威厳は備えているが、必要外の殺生は好まず、
他の龍種の殆どが肉食なのに対してロゼは野菜主義である。
龍の存在概念はその全て―――『骨<構成記憶因子>』以外の全てが魔力であり、
魔力で練られた肉体の維持にはさほどの食事は必要としない。
力の供給は世界そのものとの繋がりから行っているのだから、食事は道楽なのである。つまり群れから外れる、
このことからロゼが龍にしては少々変わり者である事が伺える。
龍の殆どが人食いを楽しむ位置にある。
それが常識であり。龍は同時にこの世界を護る存在でもある。これは矛盾ではない。
さて、そんな事情により人が龍についての知識を得る場合は大抵ロゼを介してと言う事になる。
何しろ気紛れでも食わないのだから。
『龍は世界に10を超えるほど居ない』『龍は下位竜と同じと見なされる事を激しく嫌う』『龍は太古の戦いの生き残り』
そういった情報は全て偶然ロゼの住処であるポウル・ロウ大陸北部の疾風龍の森に迷い込んだ冒険者が持ち帰っている。
……ただし、「お前は下位竜と似た者ではないのか?』とロゼに言った冒険者は四肢を四十に切り刻まれた姿で戻ってきたが。
食わないだけで殺さないとは誰も伝えては居ない。
そもそも、現代に残る龍とは、力の大半を失い宝物の使用能力を失った神々の『宝具を守る』任を帯びている。
蔵でもある住処に立ち入った上に刺激などしたらロゼでなくても間違いなく明日は来ない。

そんなロゼであるが、実は最近人間の子を育てていると言う。
その子の母親を自らの過失で死なせてしまった罪滅ぼしと言うが、どう見ても厳しいながらも見紛う事もない愛情を注いでいる。
その程は、その子を守る為に自らの片翼を失うほどの大怪我をしている事からも察せられる。
龍は心臓を貫かれようとも脳を潰されようとも、骨……最も人間のそれとは大きく異なる意味を持つが、それを傷付けられない限り死ぬ事はない。
そんな龍であるロゼが永久に左の翼を失ってでも人間の子を助けようとした………、
それは、龍の存在意義を揺るがすほどの出来事であった。

情報
データデータ

・体長15m
・体高10m(尾長5m)
・体重2200kg
・形状:翼竜に近い形状するが翼と四肢は別にある、首は長く牙は二本だけ長いのが特徴。
 鱗の色は緑で一枚の大きさは約30cm。龍種によく見かけられる紋章が体中の何処にも無いのが逆に特徴である。
・備考:片方の翼が欠けているが飛行には殆ど支障が無い。全身に空気の断層と言うダイヤモンドも容易く列断する刃を纏い、
 その速度を持って突撃する攻撃法を得意とする。使える神はセルト・アル。